ep33 十九淵裡尾菜③
場面は戻り......。
小洒落たダイニングバーの一席。
ナゴムと〔リオナ〕が向かい合うテーブル席を、こっそりカウンター席の隅からうかがう二人組がいた。
「ねえ長穂ちゃん」
「な、なんですか?」
「あのスーツの女のヒト、どう思う?」
「ど、どうって......す、スゴイ美人さんだと思います」
「そうよね。あんな綺麗なヒト、そうそういない」
「は、はい」
「どーもあやしいのよね」
「と言いますと?」
「美人局じゃないかしら」
「!」
「ナゴムくん、嵌められなければいいけれど」
「そ、それって...」
「?」
「ハニートラップってやつですか!?」
「まあ、そうね」
「どどどうしよう!このままじゃナゴムさん大変なことになってしまいますよ!」
「長穂ちゃん?」
「この後、ナゴムさんはホテルに連れて行かれるんです。
そしていざ事が始まろうとすると......怖〜いオニーサン達が現れて、
『おい、にーちゃん。ウチの若頭の
と脅されるんです。
それから提案を突きつけられます。
『ワシらとしても事を荒立てとうない。せやからどや?金で解決するっちゅーんは?
金額は......五百万でどや?
あ?そんな金ない?出せてニ百万だぁ?
ほなら四百万にまけてやる。それでも半分は足りんなぁ。
よし、ほんだら足りひん分はワシの知っとる金融家からにーちゃんに融資させたるわ。
なーに心配いらん。二十四時間いつでも現金手渡しで融資可能や。
にーちゃんはサラリーマンやから定職もある。問題はあらへん。
一応、身分証のコピーと勤め先は控えさせてもらうけどなぁ』
お金の用意ができ、無事和解は成立。
でも、本当の地獄はここからなんです。
融資を受けたナゴムさんは、ありえない金利により膨れ上がった借金に悩まされます。
そんなある日、借金取りからある話を持ちかけられ、謎の船に連れ込まれて謎のゲーム〔限定じゃんけん〕に参加させられます。
その船には、ナゴムさんと同じような借金苦の債務者がたくさん集められていたんです。
しかし、ナゴムさんはなんとかゲームに勝ち上がり、次のステージへと進みます。
船を降ろされたナゴムさんは、夜のビルの屋上へと連れて行かれます。
そしてここからが本当のデスゲームの始まりなんです。
続いて行われるゲームとは......ビルからビルへの鉄骨渡り、別名ブレイブメンロ...」
「ちょちょちょっと長穂ちゃん!そこまでそこまで!そこまでよ!」
糸緒莉は明らかに別の方向へ進んでいた長穂の長話を強引に中断させた。
「それ以上は色んな意味でダメだわ!」
「ハッ!す、すすすいません!」
長穂は謎の妄想ワールドから我に返って謝罪した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます