雨の日なら、学校へ行ける

BULLETandARROW

雨の日なら、学校へ行ける

雨の日なら私は特段力を出すことができる。

みんなが雨だと嘆いていても、「それ」は私の味方となる。


雨の音で目を覚ました朝、私の1日は音楽がかかったように、ドラマチックに軽快になる。

電気をつけないと薄暗い部屋の中が、私に焦らなくていいと諭してくれている。

雨と雲は、太陽のように、「おはよー!」って無理やり起こしてきたりしない。

「おはよう。よく眠れた?」って優しく言ってくれるんだ。


服がびちゃびちゃになった。

せっかく髪を整えたのに台無しになった。

湿気で気分がだだ下がり。


雨と雲に愚痴を漏らす人々を見る。

雨の日が好きだなんて私くらいなのだろうか。

私、1人だけなのだろうか。


過去に封印された声が蘇ってくる。


(私は、いつだって1人だ)


「早く起きなさい!!」と怒るお母さんの声で目を覚ます。

まるであの忌々しい大嫌いな、太陽みたいにうるさい。


私の沈んだメンタルヘルスを理解できず、学校を休むことを決して許してくれない。

自分が皆勤賞を貰うまでの優等生だったから。


クラスメイトも、太陽の下で、太陽みたいに輝いて走り回って、キャーキャー言って。

私には眩しすぎた。

もう目を開けていられない。

現実を見るのが辛い。


でも、雨の日なら。

いなくなってしまったお父さんのように、私に優しくしてくれる。

焦らなくていいよ、1人じゃないよ、大丈夫だよ、って安心させてくれる。


雨の日なら、お母さんは頭痛のせいで仮眠をとって、私に声を張り上げない。私を起こしにさえ来ない。

だから、自分の時間で起きられて、自分のペースで登校できる。

好きな時間に好きなだけ、学校に行くことができる。


雨の日は、私のこころを写しているのかもしれない。

雨がふっているだけさらにいい。

大嵐の日はもっといい!

外に行って、思いっきり叫びたい!


私を連れて行ってよ、と。

雨神様に乞いたくなる。


私の心を晴らしてほしいよ、と。


私は雨の申し子。

6月の湿気の多い雨の日に生まれた子。

雨神様を親とする子。


この世界では、晴れの日は来なくていい。

その方が私は生きやすい。

だけれど、たまには。こころの世界にだけは。

太陽が顔を出しにきてくれたら、嬉しいのかもしれない。

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