5 Hikaru.side
『おやすみ、カゲノ』
ごめんね、騙してて。
だけど、人間のフリしてなきゃ、カゲノは俺を愛したりしなかったでしょ?
こんなに、俺に溺れたりしなかったでしょ?
『俺はね…』
意識を失ってしまったカゲノの髪を、そっと撫でた。
ふわりと、優しい香りがする。
『カゲノのこと、ちゃんと愛していたんだよ』
でも、俺は叶人を手に入れなきゃならなかった。
『カゲノがもし…』
悪魔だから。
人間だから。
なんて、そんな下らないことに囚われないで、俺を殺してでも手に入れようとしてくれてたら…
『カゲノのものに、なってあげたかもしれないのに』
まだ、チャンスはあるよ。
次はカゲノの夢の中で、もっと俺に夢中になって?
もっと…俺を愛して?
カゲノの心が、壊れちゃうくらいに。
『愛してるよ、カゲノ』
眠っているカゲノの唇に、そっとキスを落として、叶人の夢の中に意識を繋いだ。
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