四章 オボコマンドー
第27話 合法ロリは問題児な小学生!? 今日も先生は手を焼いています
放課後。
俺たち小学生にとっては魅惑の響きだ。宿題という忌々しいい呪縛はあるが、友達と遊んだり、ひとりでゲームをしたり……いやゲームじゃなくてもいい。アニメでも漫画でもいい……あぁ、お菓子とジュースがあればベストだ。そうやって有意義な時間を過ごすのが放課後のセオリーなんだ。
だが俺は違う。いつか訪れるVICSとの戦いに備えるため、体力をつけ、生き残る術を学び、強くなる必要がある。
今日の授業も終わり、あとは帰りのホームルームを残すのみ。さぁ楽しい訓練の時間だ。さっさとこんな無意味な学校生活は終わりにして――
「すー……すー……」
「えっと今日の連絡事項が以上だけど……クレアさん」
あ、ダメだ……もうちょっとかかりそう。
一番後ろの席に
「眠るなら帰ってからにしなさい。ほら、起きて。起きなさい……!」
「うぅん……? ……ママ? まんま、ちゅぱちゅぱ……」
「だれがママよ……この子は、もう五年生なのにこんな赤ちゃんみたいな寝言を……」
呆れる清水先生だが、クレアの寝言は続く。
「ママー……授乳……授乳をおねがいします……」
「急に精神年齢高くなったわね、この子……普通に喋ってるし……それにしても赤ちゃんかぁ。小学校の先生をしてると子供と接する機会はあっても赤ちゃんなんて……いつかほしいなぁ」
「妊娠適齢期……妊活清水ちゃん……」
「何が妊活よ、妊娠どころか彼氏すらいないわよ……! というかアナタ、起きてるでしょ。寝たふりなんてして。ほら、さっさと起きなさい」
恋人のいない悲痛な気持ちを抱いているのか、清水先生が仏頂面のままクレアの両脇をつかみ、その小柄な体を持ち上げてきちんと椅子に座らせる。
せっかくホームルームが終わって『先生! さようなら!』って帰れるはずだったのに。クレアのせいで長引いてるぞ。まったく余計なことをしやがって……。
「清水先生ー、早く終わろうよー」
「クレアなんてほっといてさ。早く帰ろうぜ」
「そうだよ。そいついっつも寝てるかゲームしてるかだし、学校に遊びに来てるだけだろ」
みんなホームルームが長引いて嫌気がさしているようで、迷惑そうな視線をクレアに向けている。これは不味い。仲間外れとか良い印象を持たれてないとか、それはイジメに発展しかねないことだ。
清水先生もそれを薄々感じているようで、そんなこと言わないの、と注意している。ただ授業中は居眠り、休み時間はゲームをしているクレアなんて到底庇いきれない。つくづく面倒な奴だ。クレアが転校してきた時に心配してきたことが現実になった。
この問題児は……ホントに学校に何しに来てるんだ? こんなのでも軍人だからシャノンの護衛じゃないのか?
「先生、クレアさんだけズルいと思いまーす。学校でゲームしていいんですかー?」
「それは、ほら、休み時間や放課後なら別に……さすがにクレアさんだって授業中はやってないから……」
もっともな女子の意見を、まぁまぁ、となだめる清水先生。だがそんなことで制御できるわけもなく、教室はざわざわし始める。
「でも、今みたいな居眠りとかはさすがに悪いだろ」
「そーだーそーだ悪いぞー。先生の監督責任だぞー」
「いや、それは……私のせいと言えなくもないけど……」
女子がズルいとか言ったことから始まり、男子のグループの非難で一気に形勢は不利になって……もう清水弁護士の敗訴は濃厚かと思われたそのとき、立ち上がる者がいた。
(次回に続く)
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