第26話 合法ロリが小学校へ転校! しかし発言がヤバいぞ……!?

「連絡事項の前に、今日は転校生を紹介します。入ってきなさい」

「はい」

「んん――っ!?」


 担任の若い女教師――清水しみず先生に呼ばれて赤毛の少女が教室に入ってきた瞬間、俺は思わず息を呑んだ。

「どーもぉ。クレア・レーデ・リーチェルです。出身はドイツってことになってまーす」

「な、なんで……!?」


 今朝別れたばかりのダウナー系セクハラ娘がそこにいた。俺の狼狽をよそに、クレアの自己紹介が続く。


「前の学校では……学校かぁ、すいぶんと行ってないなぁ――ああもういいや。とりあえず、私の席は一番後ろでよろしく。無理なら退学しまーす」


 色々突っ込みどころが多すぎた。

 何で小学校にいるのかとか、ドイツ出身ってことになってるって設定感が凄いとか、学校にずいぶんと行ってないとか不登校をにおわせるんじゃないとか、自分の席が思い通りの場所じゃないと退学するとか、もうどこまでもやる気のなさが伝わってくる。


 いや、そもそもこの人は小学生ですらない。見た目こそちんまりしていてロリ可愛いが、クレアの本職はNOX隊員だ。こんなところで小学生のコスプレをして、転校生ごっこなんてしている場合じゃないだろ。

 ただ赤白のセーラー服は、クレアの肩口をくすぐる赤毛と合わさってとてもよく似合っている。ベレー帽風の制帽まで被っているが、アホ毛がそれに逆らって跳ねているのも実にキュート。やる気がないながらもその顔は、周りの小学生女子と同じであどけなさを残し、小さく微笑んだ唇は色気の欠片もない。これではクレアが軍人だと言っても誰も信じないだろう。


 もしかして、シャノンは知ってたりして……。


 色々博識なシャノンのことだ。これも想定内と涼しい顔で見てるんじゃないか。そう思って首を回すと、大きく見開かれた桔梗色の瞳が揺れていた。


「「…………」」


 目が合う。信じられない、というように小さく首を振られる。それから肘を机につけ、頭を抱えるシャノン。

 ショッピングモールの襲撃でも取り乱さなかったシャノンが動揺している。ボディーガードがVICSに倒されても、自分が攫われそうになっても冷静だった。そんなシャノンが動揺している。


 これは、面倒なことになりそうだな……。


 電子黒板の前に立ったクレアの眠たそうな面を見ながら、俺は心中で呟いた。



(お願い)

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