第18話 もうやめて! 部長のライフはゼロよっ!
俺が
「
「さ、桜庭……」
俺がオロオロしながら桜庭を見ると、桜庭はにっこりと笑い返してくる。
「
「重大な話?」
桜庭は改めて部長に向き直ると、舞台俳優のように、高らかに語り始める。
「こちらにおわします、
「……か、川崎君が、ミッチェル氏の遺産をっ?」
部長は
そりゃ、驚くわな。
ほとんど
俺だってまだ、
「本当は、手の込んだドッキリなんじゃないか」と、今でも思っている。
ドッキリだったら、どんなに良かったか。
桜庭は、にっこりと綺麗に微笑むと、歌うように高らかに続ける。
「つきましては、大株主でもあったミッチェル様が、
「そ……そんな……」
桜庭の話が進むにつれて、部長の顔色は見る見る悪くなり、もはや
デスクに両手を着いて、よろよろと椅子に腰掛ける。
部長が気の毒になってきて、俺は桜庭にそっと
「お、おい、桜庭……あんま、部長をイジメてやるなよ……」
「私は、あくまで、事実をお伝えしたまでです」
桜庭が冷静な声で、俺に囁き返した。
部長に向かって、桜庭はさらに
「なお、川崎様が万が一、相続を
「そ、そうなったら、我が社は……いや、世界はおしまいだ……」
とうとう部長はデスクに突っ伏して、頭を抱えた。
もうやめて! 部長のライフはゼロよっ!
さすがに見かねて、桜庭を
「止めろよ、桜庭。これ以上イジメたら、部長の胃に穴が開いちゃうぞ」
「ですが、ここはしっかり、ご説明しないと……」
「いや、
部長がげっそりした顔を上げて、弱々しい口調で続ける。
「川崎君は、この世界の行く末を
「ええ、その通り。僕は、川崎様を守る
「えっ? そうだったのっ?」
今度は、俺が驚く番だった。
てっきり、俺の
そんな俺を見た桜庭がニッと
すると、四人の執事達が入ってきて、壁に
「お分かり頂けたでしょうか?」
桜庭が問い掛けると、部長はもはや驚きすぎて、声も出ないようだ。
可哀想に……部長、今日は仕事にならないかもな。
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