第47話 ルート1 黒鬼姫 6
僕は黒鬼姫さんと付き合うことをシュウトに話すために、久しぶりに放課後を一緒に帰ることにした。
今日はヒメさんに用事があるということで、シュウトに声をかけた。
「おっ、久しぶりだな。コイもいるけど大丈夫か?」
「もちろん。二人は仲がいいな」
「まぁな」
僕はシュウトたちとの会話を楽しんで帰り、ファミレスに立ち寄ることにした。
「それで話ってなんだよ?」
「なになに? 最近、変わってきた原因を教えてくれるの?」
「おいおい、そういうのはこっちから聞かないもんだろ?」
「え〜ずっと知りたいって言ってたじゃん」
「まぁそれはな」
二人の視線が僕を見る。
「うん。まぁその黒鬼姫さんと付き合うことになったんだ」
僕は少し恥ずかしいけど、二人に告げるて顔を見る。
シュウとはニヤニヤとした顔をして、コイちゃんは驚いた顔をしている。
「シュウトはわかっていたのか?」
「まぁ見てればなんとなくな」
「え〜そうなの?! 教えてよ」
「確信がないことは言えないだろ?」
「そうか〜。それで? いつからなの?」
やっぱりコイちゃんは女の子だな。
こういう話に興味深々だ。
僕は二人からの質問を答えながら、二時間ぐらいを過ごした。
ふと、窓の外に視線を感じて、視線を向けると黒鬼姫さんが立っていた。
彼女の視線は僕と話しているコイちゃんを睨みつけているような険しい顔をしているように見える。
「どうしたんだろう?」
「うん? どうした?」
「外でヒメさんの姿が見えたから、ちょっと行ってくるよ」
「おう! 行ってこい」
「なんなら連れてきたらいいからね」
「うん。ありがとう」
ヒメさんの瞳には怒りが滾っているように見えて、僕はどうしたのわからないまま息を吸い込んでファミレスを出た。
ヒメさんは立ち尽くしたまま、目はまっすぐに僕を捉えている。
それはまるで刃物のように鋭く輝いていた。
その状況に戸惑いを覚えながら、ヒメさんの感情を理解する必要があると感じた。
「ヒメさんどうしたの? 用事があるって言っていたけど」
「レン君。彼女は誰ですか?」
「紹介したことなかったかな? あれはシュウトの彼女でコイちゃんっていうんだよ」
ヒメさんはコイちゃんに視線を向けて、もう一度僕を見る。
その瞳には深い愛情を抱いている。
僕はそれを知っているけど、彼女の反応は初めてで、戸惑っていた。
ヒメさんが嫉妬している? 僕が他の女性と関わりがあったから?
僕はヒメさんの手を取り、穏やかな声で彼女に話しかけた。
「何か不安にさせたかな? 大丈夫だよ、彼女はただ友達だから。それにシュウトの彼女さんとは、ヒメさんも仲良くしてほしいな」
「わかりました。レン君がそれを望むなら」
ヒメさんの顔は真顔のまま、疑惑が消えることはありませんでした。
僕の手を力強く握り締め、じっと見つめてきました。
僕のことを、ヒメさん深い愛情を持って思ってくれているんだ。
だからこそ、不安に思う一面にも向き合わなければならない。
僕はヒメさんの不安や嫉妬を受け止める。
彼女との関係を築いていく覚悟を決めよう。
「ヒメさんは僕を好き?」
「もちろんです!」
「うん。ありがとう。二人の丁度いい環境を話し合おうね」
「はい!」
僕はヒメさんの手を優しく握り返しました。
「ヒメさんが心配する必要はないんだよ。僕は君と一緒にいることが幸せだから。信じて欲しい」
「わかっています。ですが、不安なんです。あなたは素敵な人だから。それに比べて前にも言いましたが、私の性格は醜い。すぐに他の人に対して、あなたが取られるんじゃないかって、それにあなたにも裏切られたら私は……」
彼女の瞳から徐々に怒りが消え、僕に対する信頼を感じられました。
これまでの彼女は人に裏切られ、酷いことをされてきたから、僕が彼女を支えなければいけないんだ。
僕はヒメさんの手を優しく撫でました。
彼女が少しでも気持ちを落ち着けてくれるように。
僕らはもっと話をしなくちゃならない。
彼女が不安に思うこと、僕がしなければいけないこと。
僕は今回の出来事を通して彼女の意外な一面に向き合うことになった。
「ねぇヒメさん」
「はい?」
「僕が他の女の子と話すは嫌?」
「嫌です」
真っ直ぐとした瞳で告げられる言葉に僕はゆっくりと息を吐いて頷いた。
「うん。だけど、これから会社や行ったり、買い物に行ったりする時も、女性はいるんだ。だから、少しずつでいいから慣れてほしい」
「レン君は私だけではダメなんですか? 私が全てのことからレン君を守ります」
「ダメだよ」
「えっ?」
「だって、それじゃヒメさんを守りたい時に、僕がヒメさん守れないもの。だから、折り合いをつける必要があるところはハッキリとさせないとダメだ」
僕は彼女の思いに気づいたからこそ、彼女との関係をより深めていくことを決意した。
話が通じない相手とは付き合えない。
「……レン君はそうしたいのですね?」
「そうだ。だから、もっと僕のことを理解してほしい。そして、僕にヒメさんのことを理解させてほしい」
彼女がどこかに言ってしまいそうな気がして、僕は彼女の手を握り続けた。
「わかりました。考えてみます」
「ありがとう!」
僕は微笑んで彼女を抱きしめた。
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