第42話 ルート1 黒鬼姫 1
前書き
どうも作者のイコです。
今回は私の提案にコメント頂きありがとうございました。
一位は黒鬼姫さんルートでした。
なので、黒鬼姫さんルートを書いていきたいと思います。
ですが、意外に椿姉さんルート、ハーレムルートが人気だったので、書ければいいな〜という、思いを込めて、タイトルにルート1と入れています。
どうぞ楽しんで頂ければ嬉しく思います。
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ボクは自分の部屋で、一人一人の顔を思い浮かべた。
そして、最後に一人の女性が心に残った。
「やっぱり僕は彼女の側にいたい」
いつも僕を一番に考えてくれて、僕に好きな人がいるってわかっても告白をしてくれて、僕と楽しく過ごすことを選んでくれた。
彼女をずっと待たせていた。
いつからか、僕は相原さんへの気持ちを彼女に向けるようになっていた。
だから、相原さんに好きだと言われても答えることができなかったんだ。
「僕が好きなのは黒鬼姫さんだ」
僕はこの気持ちを大切にして行きたい。
だから……。
明日は、体育祭の振替で学校は休みになる。
「なら」
僕はメッセージを送る。
「明日、一緒に出かけませんか?」
僕のメッセージはすぐに既読がついて、返信がなされた。
「喜んで」
「ふふ、よかった」
前回は黒鬼さんに全てを任せてしまったから、今度は僕も何かデートに行く場所を考えないと行けないな。
その後、僕は自分が決めたことをツバキ姉さんに伝えた。
「そう、レンが決めたことならいいんじゃない。なら、次は女性と付き合う上でのデートプランや絶対にしては行けないことを教えてあげるわ」
「お願いします!」
「レン、相手があなたを好きだからって油断してはダメよ」
「えっ? どう言うこと? 相手からは好きだって言ってもらっているんだよ」
「最初に教えてあげたでしょ。女は他の女からも狙われるような男が好きなの。自分磨きをして、あなたはいい男になったと、他の子達から判断された状態なの。そこで足を止めてはダメ」
ツバキ姉さんの言葉はいつも身に沁みる。
確かにそうだ。
僕はヒメさんと付き合って、幸せになれたらいいと思っていた。
それは僕の成長を止めていい理由にはならない。
「ツバキ姉さんどうすればいいのかな?」
「いい? まずは、彼氏になっても相手に依存しないこと」
「依存しない?!」
「そうよ。彼女だけを好きとか、君だけだよ、なんて言ってはダメ」
「えええ!!!女性は優しくて誠実な人が好きなんじゃないの?」
「それは間違ってないわ。だけど、それは結婚して、子供が産まれて、子供が小さい間だけよ」
物凄く限定的すぎる!
「それ以外ではオスでいて欲しいの。だから、彼女と付き合えても、相手を依存させるぐらいでいなさい」
「依存させるぐらい……」
「そうよ。常に女の影を意識させるの。そして、常に自分磨きをしておくの。そうすれば女性はあなた以外の男性に目を向けている時間はなくなり、女性も綺麗にいてあなたにみられたいと思うのよ」
超高難度過ぎる!
ツバキ姉さん、もしかして一回人生をやり直しているの? そうじゃないと理解できないような内容に思えるよ!!!
「だから、覚えておきなさい。必ず付き合っても、すぐに全てを許してはダメ。むしろ、自分が支配するようにしなさい。恋愛は男と女の主導権を取り合う戦いよ」
ツバキ姉さんの瞳が燃えている。
僕は、ツバキ姉さんにデートプランを伝授され、明日を迎えることになった。
♢
《side黒鬼姫》
体育祭が終わった後、約束通り私とレン君はデートにいくことができた。
私は自分の中で生まれた感情を押し殺すことをやめた。
それは服装にも表れている。
「おはよう! レン君!」
「うっ、うん。おはよう。ヒメさん今日は凄いね」
ふふ、私は自分でも恥ずかしくなるような衣装でやってきた。
短いスカートに足が綺麗に見えるブーツ。
胸元が強調された服、上にジャケットを羽織ってはいるけど、正面に立っているレン君から全てが丸見えになっている。
レン君の視線が私に向けられ、私はそれだけで心が満たされていくのがわかって嬉しい。
「今日は僕から誘ったから、ついてきてくれる?」
「もちろんよ。私のために考えてくれたなら凄く嬉しいわ」
本当に嬉しい。
彼が珍しく積極的に、私のことを考えてくれている。
これなら、大丈夫かな?
「ねぇレン君」
「何?」
私たちは街中を歩いて、デートを楽しんでいた。
この間は私が詰め込み過ぎていたのかもしれない。
レン君は、静かな美術館や隠れ家的な美味しいお店に連れて行ってくれた。
「どうしてこんな場所を知っているの?」
「う〜ん、僕には姉がいるんだけど、相談したら教えてくれたんだ」
「仲がいいのね」
「そうだね。少し歳は離れているんだけど、何かと世話をしてもらってて」
「仲がいいのはいいことだわ」
二人で過ごす時間は凄く楽しくて、デートはあっという間に過ぎ去っていく。
夕日が見える海辺の公園にたどり着いた。
ベンチに座って夕日を眺めるなんて、ちょっと雰囲気を出しすぎだと思う。
私はこの後に、レン君と既成事実を作る。
そのためにこの衣装を選んできたんだ。
「ねぇ、レン君」
「うん」
「この後は、二人きりになれるところに行かないかしら?」
「えっ?」
「言ったでしょ。サービスするって。女性から男性へのサービスって言えば」
私はいつもよりも大胆に彼に体を寄せた。自慢ではないければ、他の女性よりもスタイルは男性が好む体をしていると思う。他の男性なら気持ち悪い。
だけど、レン君に私を欲しいと思ってくれるなら、むしろ好ましい。
「ヒメさん」
「何かしら?」
「僕はね」
「ええ」
「君を好きだ」
「えっ!」
レン君が私を好き? あの女狐が好きだって言ってた。それにあの年下の子に抱きしめられていた。
《好き》は恋人として? それとも友人として? わからない。
「僕と付き合ってよ。ヒメさん」
今までの彼とは違う。
私の瞳を見つけて、ストレートに告げられる告白。
自分の計画なんて、忘れて胸が高鳴った。
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