第36話 体育祭 の 朝

前書き


どうも作者のイコです。


相原希さんを相沢希さんと記入していたので、全話相原さんに戻しました。

抜けているところもあるかもしれませんので、気づかれた方はどうぞご報告ください!!!


すぐに修正します!!


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 相原さんと出会った早朝から、僕らは話をしていない。

 相談役(スパイ)として、話を聞かなければならないと思ってるのに、どうしてもあの時の「ごめんなさい」が、僕の心にブレーキをかけて彼女に話しかけるのを躊躇ってしまう。


「レン君」


 呆然としていた僕に、ヒメさんが声をかける。


 まだ誰もきていない早朝の時間。


 僕はあの日から、朝早くに来る癖がついて、ヒメさんはそんな僕と話すために朝早くにきてくれる。


「あっ、ごめん。ちょっと考え事を」

「いえ、最近はいつも何かを考えているようなので。それに怪我が痛む?」


 僕は相原さんとあった日に、膝を擦りむいてズボンを破いてしまった。

 あの日も、教室で体操服に着替えている姿をヒメさんに見られてしまった。


 怪我をしたのを知った、ヒメさんは練習を制限して僕に気遣ってくれた。


「大丈夫だよ。もう痛みはないから」


 怪我はカサブタができて、もう痛みはない。

 少しだけ硬くなって突っ張る程度だ。


 スケボーも普通にできるし、生活には支障はない。


「それならいいのですが、あまり無理をしてはいけませんよ」

「うん。ありがとう。ねぇ、ヒメさんは体育祭は楽しみ?」

「私は、本当は苦手でした」

「えっ?」

「私はあまり人と話すのが得意ではないので、誰かと一緒に何かを成すというのは少し苦手です」


 ヒメさんこれまで多くの告白されて、その度に嫌な思いをしてきた。

 彼女の言葉を聞くまでそれを僕は忘れていた。

 

 僕はバカだな。


 自分のことばかりで……、心の余裕がなくなっていた。

 ヒメさんに対して気遣いができない。

 ダメだな。

 僕は本当にダメなやつだ。


 ツバキ姉さんに色々なことを教えてもらっているのに、自分のことで頭がいっぱいになってしまっていた。


「なら、今年は一緒に楽しもう」

「えっ?」

「僕もこれまでは運動が苦手だったから、あまり体育祭って本気で参加したことがなかったんだ」

「あっ」

「本ばかり読んでいる毎日だったから、こうして自分を変えようと思わなかったら運動もしてなかった。今年のクラスは僕にとって仲が良くて、頑張りたいと思えるしね」

「そうですね。レン君は自分で頑張っているのでした」

「うん。だから、今ならヒメさんの足を引っ張らない程度には体を動かせると思うよ」


 ツバキ姉さんに運動をするように言われて、筋トレやランニング、それにスケボーを初めていて良かった。


 筋肉だけじゃなくて、体を使うことやバランス力も上がったと思う。


「なんだか、体育祭が楽しみになってきました」

「うん。僕らは二人三脚のパートナーだからね。パートナーと気持ちを高めあうことはいいことだよ」

「ふふ、気を遣ったつもりが、気を使わせてしまいましたね」


 ヒメさんはやっぱり美人だと思う。

 笑う顔は見惚れるほど綺麗だ。


「どうかしましたか?」

「あっ! いや、笑った顔が綺麗だなって」

「えっ?」

「ごっ、ごめん。何言ってんだろ」

「レン君」

「はい!」

「嬉しいです」


 ボクは顔が熱くなるのを感じる。

 

 相原さんのことは好きだ。

 それは今も変わっていない。

 そのために努力も続けるつもりだ。

 

 だけど、ヒメさんのことが気になり始めている。

 本当に、相原さん好きなままでいいのか、ボクの中で悩み始めていた。


 僕を好きだと言ってくれたヒメさん。

 好きだとは言っていないけど、僕に全力で甘えようとしてくれているチナちゃん。


 僕は彼女たちのことを考えた方が、幸せになれるかもしれない。


「ねぇ、レン君」

「何?」

「体育祭が終わったら、また一緒にどこかに行かない?」

「えっ、うん。いいよ。今度はどこに行こうか?」

「そうね。レン君と一緒なら泊まりでもいいよ」

「えっ?」

「ふふ、冗談」


 僕はからかわれたのかな? だけど、彼女の顔は今まで見た中で一番綺麗でイタズラをする子供のように満面の笑みを浮かべている。

 

 ヒメさんがそんな顔を見せるとは思えわないから、僕は見惚れてしまう。


 そして、近づいて、強引なイタズラがしたくなった。


「えっ!」


 彼女の髪をクシャクシャにする。

 

「こっ、こら! レン君、何するの?!」

「ヒメさんが僕をからかうようなイタズラをして、僕は勝てないから。実力行使でお返ししただけだよ」


 今、二人がしていることを誰かに見られたら絶対にからかわれると思う。


 だけど、今は二人の時間を大切にしたい。


 そう思ってしまう僕がいた。

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