第3話
除草剤のおかげで、研究費に余裕が出来たので以前から気になっていたテーマについて研究しようと思う。
ダンジョンから発生していると考えられてる、魔素についてだ。
ダンジョンが発生した当時、それまでの科学の常識を覆す数々の出来事がダンジョン内で発見、発生しことで研究が始まった分野である。
この魔素、研究が始まった当初直ぐに素粒子的な動きをしている事が判明してる。
素粒子的な動きとは何かと言うと、観測していると粒子的な結果を出し、観測していないと波動的な結果をだすのである。
このため魔素は素粒子の一つであるというのが現在の定説だ。
また、魔素の塊と考えられている、モンスターから採取出来る魔石を原料としたインクを使用し一定の法則にそった回路、一般的には魔法陣と呼ばれるものを書くと、一定の動作をすると言う研究の発表も比較的最近された。
面白いのがこの魔法陣は、電気回路のように動作させると必ず同じ動作をするわけではないらしい。発表された論文を見ると、動作の途中の回路が観測されているか否かで結果が左右されるという。
どういう事かと言うと、前述のように魔素は素粒子のような動きをするのだが、魔法陣上の回路内では、観測されていると直流電圧的な、観測されていないと交流電圧的な動きをするという事であるらしい。
論文には回路の動作を安定させる方法についても記されている。
魔素の動きを定常化させるには観測する事が必要、ただこの観測者と言うのは必ずしも人である必要はないらしい。計測器を始めとする誰が見ても同じ結果を出す電子機器を使用していれば、これが観測されているとみなされるとのことだ。
つまり、魔法陣の動作を安定させるには、適所に科学的観測を入れることが大事である、らしい。
この論文を見て私は考えた。
観測する側の装置も魔法陣を用いた物にしたら、面白いんじゃね?と。
思い立ったら、やってみる。が私の行動原理ではあるのだが、魔石で出来たインクは非常に高価で、今まで手が出なった分野なのだ。
インクを入手した今、私の研究を阻むものはなくなったのである。
ではまず、簡単な計算をする電卓回路を描いてみる事にする。
併せて監視装置の回路も設計し別の用紙に書く。
そして、電卓回路魔法陣を監視魔法陣を用いて観測しつつ、計算を実行させる。
62+25=
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
90
やけに計算結果が表示されるまでに時間がかかり、結果も誤っている。
そう、結果が誤っている。
必ず、正しい結果が表示されるはずの電卓回路魔法陣であるはずなのに、結果が間違っているのだ。
これを動作が不安定などと言う言葉でかたずけてはならない。
私は興奮し、知っている限りの魔法陣を作成、とりあえずそれを全部繋げた。
もちろん監視方法は科学的な物ではなく、魔法的な方法でだ。
「マスター、ひまー。ご本よんでー」
結果、私は話相手を得るに至った。
我思う、ゆえに我あり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます