第2話
スライム素材の検証を続けた結果、スライムは取り込む植物に合った枯れ成分を都度、精製分泌していることが判明した。
最初に採取したスライムに光合成阻害系の除草剤成分が多く含まれていたのは、周辺に生えていた草がその除草剤に弱いからだったのだ。
また、謎成分の役割も判明した。
こちらは、予想通り除草剤の働きを促進するものだった。
謎成分は4種あるが、除草剤の成分に合わせて4種の混合比率を変化させ性能をコントロールしている。
つまり、全部乗せした最初の除草剤はやり過ぎだった。
成る程、道理で庭の草が絶滅するわけだ。
観葉植物の生えていたプランターはやむなく廃棄することにした。
それから暫く効率的な謎成分の混合比率と除草剤の関係を調査し、その結果をある農薬会社に売り払った。
結構な金になったので、これから暫くは研究開発の費用に困ることは無いだろう。
追記
私の研究開発にも影響があった為、その後にあった出来事についても此処に記す事にする。
私の研究成果を買い取った農薬会社は、大々的に革命的な除草剤と銘打った商品を販売。
能力は折り紙付きで、すぐさま業界で話題となったようだ。
そしてこの除草剤の登場に狂喜乱舞した団体がある。 農協である。
彼らはより多くの除草剤を手に入れる為に持てる権力のあらん限りを尽くし、探索者協会へと圧力を掛けた。
圧力を受けた探索者協会は、農薬会社から出されていたスライムの採取依頼を大々的に探索者へ斡旋、探索者達も安全かつ短期間にそこそこの収入が得られるこの依頼に殺到した。
ダンジョンの浅層はスライムの草刈り場と化した。
あっという間に浅層のスライムは姿を消し、草だけが残る事態となった。
草刈り場だったにも関わらず、浅層は草ぼうぼうになってしまったのだ。
なんの為に居るか、その存在意義が問われていたスライムはダンジョンの環境維持の一翼を担う重要な存在だったことが判明した。
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