ダンジョンがある世界で発明家を目指す! ~いつの間にかマッドサイエンティストとよばれてました~

田楽

第1話

ある日私はダンジョンへと分け入った。

スライムの素材採取のためだ。


今いるダンジョンに発生するスライムは、ゼリー状の生物ではあるのだが、まずサイズが小さい、手のひらに乗るサイズだ。

動作も遅い、ナメクジとためを張るだろう。

目撃されることの多いモンスターではあるが、ハッキリ言って無害であり、モンスターとは言えないほどに弱い。


私の調べでスライムはダンジョン内に生えている草やコケを摂取・吸収している事がわかっている。

過程としては、草に覆いかぶさる、枯らす、体内に取り込む、吸収するという手順を踏んでいるようだ。

やたら弱く存在意義の問われるスライムだが、この草を枯らすという過程だけは異常に早い。

なぜ枯らしてから取り込むのかは謎だが、私はこの草を異常に早く枯らすという部分に注目した。


これ、枯らすのに何かの成分を出してるなら、めっちゃ除草剤に使えるんじゃね?


と言う分けで、スライムを乱獲し帰宅する。


帰宅後まずは乱獲したスライムをすり潰した。

うん、プルプルで旨そうだ。 一口含む。

舌が痺れた。


成分を分析してみると体は弱酸性であるが、なんでも溶かす酵素的な物はない、分かってはいたが。

幾つか既存の除草剤と類似する成分が、特に光合成阻害系の成分は顕著に検出できた。

ついでに謎の成分も幾つか、これがあの異常に早い枯れ速度を出しているのだろうか。


とりあえず謎成分と除草剤成分を抽出して、プランターの観葉植物にぶっかけた。

みるみる枯れた、すぐ枯れた。

これ高いのに。


効果がすごかったので雑草に悩んでいた近所の農家さんに少し分けてあげた。


今度は、草ぼうぼうの庭に振り撒いてみた。

庭の草は絶滅した、二度と生えることはなかった。


除草成分を分けてあげた農家さんの畑は翌年住宅になっていた。


除草剤としての能力は高いが売り物には出来なさそうだ。

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