最終話 この時の気持ち忘れたくない
その日は突然やってきた。
普段通りたくやのアパートで過ごしてて、CDかけながらたくやはベッドに寝転がりながら漫画を読んでた。
うちは、たくやの立てた膝によりかかるように座って雑誌を読んでいた。
「なぁ、俺ら付き合おうか」
「え?」
予想外すぎて何を言ってるのか理解出来ない。
たくやが起き上がって向い合わせになる。
「俺と付き合って」
「……」何か言いたいけど、色んな気持ちが込み上げてきて言葉が出ない
涙が溢れる。
「嫌なん?」
首を横に振る。
そんなわけないやん。
どんだけ待ってると思ってるん?
「…彼女に…して…くれる?」
泣きすぎて言葉に詰まる。
「かおり以外考えられん。
ごめん。もっと早く言いたかったんやけど…
俺、優柔不断やし付き合ったら泣かせるばっかじゃないかって…俺なんかでいいんかって…
ずっと決心がつかんかった。」
うんうんと頷く。
「4月から、かおりの環境が変わったら、他の男のとこ行くんじゃないかって…
今までは、何だかんだで戻ってきてくれたけど、次はそうならんかもしれんやん?
かおりがそばにおらんのなんて考えられん」
すごく強く抱きしめられる。
「たくや、大好き」
「俺も」
ゆっくりベッドに倒される。
心と体が満たされていく。
込み上げる喜びが涙になって流れる。
今の気持ちは嬉しいだけの単純な気持ちではない。
コクや深み、旨みもたっぷり詰まっていて、説明できないくらい、とにかく美味しい料理を食べた時の気持ちに似ている。
ただただ、幸せ。
うちの喜怒哀楽全ての感情が入って、ベースは涙で出来ている。
好きっていう気持ちよりももっと奥底から湧き上がってくるような気持ち。
これが愛情っていう気持ちなんやろうか?
この時の気持ち絶対に忘れたくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます