第49話 暗闇のなかの星空

もう、決めた。

フラフラしない。

たくやが好きなんやからたくや以外いらない。


すぐに付き合ってた人と別れた。


たくやだけやってイヤってほどわからせてやる。

それで切られてしまっても仕方ない。

切られたらその時考えればいい。



今まで、一回もうちから会いたいって連絡した事はない。

今日から変える。


『たくや、会いたい。

今日行ったらダメかな?』

ドキドキしながらメールする。


『いいよ。どした?彼氏にでも振られた?』


『彼氏とはわかれた。

また後で話す』



「今日は急にどうしたん?何かあった?」


「あのさ、うち、もう、たくや以外とは付き合わんとこうと思う。

うちがフラフラしてるからあかんのや、もう絶対にせん!!

うちとの事、ちゃんと考えてみてよ!

うち、セフレみたいな関係イヤなんよ。

ほんまはちゃんとしたいし、たくやと普通にデートしたりカレカノになりたいと思ってる。

たくやがうちの事、彼女にする気ないんやったら、綺麗さっぱり連絡するんもやめよ!!

ここまでズルズル変な関係こじらせてるし、急にちゃんとって無理やと思うから、たくやが答えてくれるまで、しばらく待つ。

…考えて」


「…うん。わかった」


「今日はそれだけ言いに来たん。

明日朝からバイトやから帰るね!」


「え!言いに来ただけ?何それ?

…じゃあ送るわ」


言い切ったらすっきりした。


いつもの同じ駅で同じ状況なのに、帰りの電車の暗闇の駅は全然怖くなかった。

停車中、空を見上げると綺麗な星空が見えた。

今まで下ばっかり見てた。

飲み込まれそうで怖いから目を背けてた。

こんなに綺麗に星空見えるの気付かなかった。


自分の中で変われたような気がした。


顔の前で1番綺麗な星を掴んで食べた。


1年前にしてたみたいに、一生懸命に下向いて手のひらに人を書いて食べるなんてしない。


うちは光を手に入れたい。









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