第16話 勢いで!!

『やっぱりさぁ、何となくダメやと思ってきたんよね。

友達の彼氏やん?

そういう事はせえへんやん?

やるなら他の子とする方がお互いのためやん?

ほら、まだやってないから大丈夫やん!!』

って、うちの弱虫ーーっ!!

やっぱり怖い。進めない。傷つきたくない。


前日の夜泣きながらメールを打つ。

やっぱ無理。


ダースベイダーのテーマ曲の着信音が流れる。

これはたくやの着信音。

他のと絶対に間違えないようにって変えたけど、今日の電話はピッタリすぎて恐怖でしかない。


「もしもし」


「もしもし、何で明日やめるん?

俺楽しみにしてるのに。

好きなやつでもできた?」


「いや、そういうわけではないけど…

冷静に考えたらやっぱり、って…」


「嫌や。ほんまに好きなんや。

信じれんかもしれんけど」

はい、信じれません。

でも、声聞くとヤバい。信じたくなる。


「うちも好きやけどさぁ、好きだけではあかんやろ?

順序ってものがあったりするやん?」

あれ?


「俺の事好きなん?いつから?

好きなんやったらいいやん。

むしろ何がダメなん?順序とか関係ないやろ」

あー!!好きとか言ってしまった。

完全自爆。


「てゆーか、うち、ほんまに大した事ないってゆーか。その…がっかりさせると思うし。

なんか恥ずかしすぎん?

どうしたらいいかわからん感じやし…」


「がっかりせんと思う。

最初からかおりがいいなって思ってたし。

俺の事好きやったとか、嬉しすぎてヤバいって。

お酒でも飲んでわーって勢いでしたらいけるって!」

最初からいいなって思ってたって…

うわー、やばい嬉しすぎる。


「そう?…勢いでしたらいけるかな!!」


「うん、いける!じゃあ明日待ってるから!来んかったら学校まで迎えに行くわ!」


「それはあかんやろ!まなみちゃんにバレるやん。わかった。じゃあまた明日ね」


電話を切った後、枕に向かって思い切り叫んだ。

「わーーっっ!!」

その日はドキドキして全然寝れなかった。







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