終焉

白岩組事務所前の道路へと車を止め外を見つめる松岡の表情は落ち着いてた、すると松岡は又ポケットから煙草を取り出しライターに火をつけた、「フーー、」吐いた煙が上へと昇っていくのを松岡は目で追いかけた、やがて煙は風に巻き込まれ消えてしまった、そのまま空を見上げる松岡はふと神田組長を思い出した、「兄貴、後の島は任せてください」長い雲を見つめながらそう呟いた、「コンコン!」突然運転席の方から何者かがドアをノックした、やがて松岡の座る助手席の方へと回り込んできた、松岡はすかさず窓を開けた、「申し訳ありません、私北中央署の西と言いますが」

「!」その瞬間松岡の頭は真っ白になった、「松岡、殺人容疑、その他諸ともお前を逮捕する」ふと外を見ると事務所から警察に連行されていく部下達の姿が見えた、「あの男、初めから信じてなかった」そう呟くと思わず笑みがこぼれ、シートに体を倒した、「連行しろ!」 「はい!」松岡は車から降ろされると西によって手錠がかけられそのままパトカーへと乗せられた、窓を見ると同じように警察官に連れ出される組員達が見えた、「あの野郎!」。





3日後、その日の午後に眞鍋のいる病室へと警視正の西は足を運んでいた、「怪我の状態はどうだ?」普段は強面で険しい表情をよく見せる西の顔は、病室では落ち着いて柔らかい顔を見せた、「未だこれからリハビリ生活になるので、よくわからないところです」眞鍋はそう応えた、「そうか、早くもどれるといいな」西は優しく応えた、「そう言えば市川の容態は大丈夫何ですか?」 「安心しろ、市川も今回復に進んでいるところだ」すると病室の外から雨粒がポツポツと降りだしてきた、「今、君の処分について上と会議している、突然単独捜査を行ったのは組織として危うい事だ、だがそのお陰で関武連合幹部、旧神田組員を検挙できた、」すると突然西の表情が変わった、「眞鍋 健司、今日からマル暴として動いてくれ。」眞鍋はじっと西を見つめ、固く頷いた。





夜の8時、北中央署の廊下を走る職員の姿がそこにあった、その職員が向かったのは管理監の部屋だ、「失礼します」素早くノックすると慌てた様子で職員は佐々木のもとへと駆け寄った、佐々木は疲れながらも席へと座り込み報告書を作成していたところであったが、手を止めてその職員に用件を聞いた、「先ほど取り調べを受けていた、阿部川がこんな写真を所持ていたみたいで」その話しに佐々木は疑問を感じた、「どういった写真か見せてください」そう言うと職員はすぐに例の写真を差し出した、「こちらです。」

それは2時間前だった、暴力団に抗争を促そうとした罪で署へと連行されていた記者の阿部川は、始めは取り調べを受ける刑事から素直に話していたが、それは突然であった、刑事の事情聴取が聞き終わり、取り調べ室から出ようと立ち上がった時だった、「待ってください、」大人しく応えていた阿部川は突然にして刑事に話しかけた、「他に未だあるのか?」すると阿部川はニヤリと笑みを見せた、「私のデスクを探してみてください、とんでもないもの、差し上げますよ」そう言いながら鼻で笑った。

「!、こんな写真は一体どこから!」佐々木は写真を見て驚きを隠せなかった、その写真の中には殺された神田組員の壮真と北中央署の眞鍋が会合をしている姿が映し出されていた、「彼については私から調査します、ご苦労様」そう言うと佐々木は自分のデスクに写真を閉まった。





時刻は夕方の6時、首都高を抜ける高速道路の前には赤く染まる夕日が見えた、運転する自分の先へと光を照らした、車を走らせる中田 薫はじっとその夕日が見えなくなるまで眺め続けた、気づけば表情は笑顔に変わり、自然と涙が溢れてきた、運転する車はそのまま東京から抜け出し走りっ去っていた。


「バン!」夜のクラブ店では、素性の知らない男達が店員に何度も怒号を浴びせ、店内を騒がしくしていた、「申し訳ありませんが、うちの従業員が何か問題でも起こしましたでしょうか?」恐る恐る伺うと、一人のリーダ格のような男が立ち上がり胸ぐらを掴んだ、「てめぇ、舐めてんのか!」男が怒りをあげたその瞬間、「ゆっくり話しでも聞きましょうか」男の背後から何者かが話しかけてきた、慌てて後ろを振り変えると、警察手帳をだし、不適な笑みを見せる刑事の姿があった、「北中央署の眞鍋と言います、お話聞きましょうか。」





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全員悪人 たけ @Takesaku0001manabu

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