第11話【異変】
コツコツとイヴの靴音が廊下に響く。
紅い大きな扉の前には狐の様に目を細め笑う青年が腕を組み立っていた。
「よう逃げられたな。
とりあえず無事でよかったわ、心配しとったんやで~」
青年はイヴの肩に手を置こうとしたが、イヴに振り払われる。
「気安く触らないでくださる?
よく、思ってもないこと言えるわね。
あと貴方、藍の事助けたんだって?
私も一応ピンチだったんだけど」
青年はイヴに振り払われた手をもう片方の手で擦ると、少し目を開きクスッと笑う。
「ホンマ可愛らしくもない女やね。
それに君回収するのニアくんだったしね。
僕、関係ないもんー」
「ちっ、あのガキ……
世釋様は?」
イヴは小さく舌打ちをすると、ふぅと息を整え青年に世釋の居場所を説いた。
「奥の部屋に新入りくんと一緒にいるんじゃない?
これから緊急会議やから」
「……エンマ。
私、本当あの男のこと大っ嫌い。
不愛想だし、しゃべらないし。
ずっと世釋様と一緒にいるし」
「そうそう、エンマくん。
彼、世釋様のお気に入りだよね」
「あの男が来る前は世釋様の隣は私だったのに!
ムカつく」
イヴは爪を噛むと、青年はそんなイヴを鼻で笑う。
「……君って結構妄想癖あるよね。
まぁ、おもろいからええけど」
青年は目を細めながらそう言う。
イヴは先ほどよりも深い舌打ちをつき、青年を押し退けると紅い扉を開いた。
扉を開くと部屋の中心にビンテージ長机が置かれており、周りの壁には絵画が並んでいる。
テーブルには紅茶が注がれたティーカップ、スコーンやマカロンが乗ったスタンド。
紅茶からは仄かに薔薇の良い香りがする。
テーブルの奥には紅茶が入るカップに口を付ける世釋が座っていた。
イヴは世釋を見つけると駆け寄り、膝をつく。
「あれ? おかえりイヴ。
どうしたの跪いて」
「只今戻りました世釋様。
申し訳ございませんノアの箱舟の邪魔が入りました。
私、どんな罰も受けますわ」
「うーん、でも予定よりも大幅にクリアしているし大丈夫だよ?
よく頑張ったね」
世釋はイヴの頬に優しく触ると、可愛らしく笑う。
「ありがとうございます!
これからも精いっぱい世釋様に尽くしますわ……」
イヴは歓喜すると、自分の指定の席に座り、紅茶を注ぎ飲み始めた。
「イヴさん」
イヴは声のした方に目線だけを向ける。
「……あら、藍。
貴女傷だらけじゃない。
まぁ、あの魔女が相手だったものね」
「すいません。
我を忘れてしまい……敵に捕まるところでした」
「本当よ。
次こそ仕留めなさいよ」
藍はぺこりと頭を下げる。
すると次の瞬間イヴの顔にカップケーキが直撃した。
カップケーキはべちゃとクリームだけを残すと床に落ちた。
「藍お姉ちゃんだけのせいじゃないし。
責めるなよな!」
マッシュヘアで身長が百三十センチほどしかない少年がイヴに向けて大きく舌を出した。
そして藍の側に向かうと後ろから抱き着く。
「なにすんのよクソガキ!」
「あっかんべーだ。
藍お姉ちゃんあっちでお菓子食べよ?
僕、食べさせてあげる」
「あ、うん。
すいませんイヴさん」
「ちょっとニア待ちなさい!
貴方私回収するんじゃなかったの?
世釋様の命令で」
「藍お姉ちゃんのこと傷つけたから、助けるの嫌だったんだもん」
少年は頬を膨らますと、つぶやく。
「はぁ?」
「それに追いかけっこ楽しそうだったじゃん。
僕のポぺちゃんはずっと見てたよ」
ニアは獏のぬいぐるみを指指すとふふんと笑った。
「……はぁ、本当ガキって疲れる。
もういいわよ」
イヴはため息をつくと、ニアを追い払うように手を振った。
「さてと、みんな揃ったかな?」
世釋は各々が席に着くのを確認すると、口を開いた。
「ノアの箱舟のおかげでデッドが消滅してだいぶ計画に遅れを生じてるんだよねー」
「……感情が芽生えるデッドは危険だと思います」
藍は手を上げると、意見を発する。
「まあ、僕も正直予想外で驚いたけどね。
まさか感情が芽生えちゃうとは思わなかったから。
……そうだ、薬の製造順調?」
世釋は青年の方に視線を移すと、細い目を薄く開き、青年は世檡に笑い返した。
「まだお試しやけど、少なからず症状を現してる被験体はいますわ。
あの女の知識をこてんぱんに調べたおかげで体内に入っても害することもなくデッドを製造できますよ」
「流石だね」
「褒めてもなあんもでまへんよ。
あんさんの計画は僕としてもおもろいからなぁ。
協力しますよ」
「そう?
ニアもかな?」
お菓子に夢中のニアは声をかけられるとは思っていなかったのか、口にお菓子を詰め込んでいた。
お菓子を飲み込むと急いでカップに入った飲み物をすする。
「……うん、僕も同意見だよ……?
これで合ってる? 藍お姉ちゃん」
ニアは隣に座る藍の方に眉を下げながら顔を向ける。
顔を向けられた藍は困ったように笑う。
「ニア、ごめんごめんお菓子お食べ」
世釋はくすくす笑うと、ニアはほっとした顔をし、またお菓子を食べ始めた。
「さてと。
僕、出かけても? これから用事あるもんで」
青年は席を立つと出口のドアの方へ進む。
「いいよ。期待してるね」
青年が出ていった扉は静かに閉まった。
◇◇◇◇◇◇
夜は静かに過ぎていく。
「ワン! ワン! グルルル……」
「ちょっと、どうしたの?
ジョン。
そんな大きな声出して……あら?
どうしたんです?
こんなところでうずくまって……」
道の真ん中にうずくまる少年を見つけ、近寄る。
ジョンはずっと吠えたままだった。
「……気分が悪いの? 救急車呼びましょうか?
こら、ジョン! 鳴かないの!」
「……」
ワンワンと声が響く。
女性が少年の肩に手を置いた瞬間、血しぶきとジョンをつないでいた手綱が切れる。
ぐちゃ、ぐちゃと内臓がつぶれる音。
骨がぼきっと軋む音も聞こえる。
ジョンはくぅーんと鳴くと、後ずさりをする。
「……おなかすいたよ」
少年は立ち上がり空を見るとつぶやいた。
同時刻、歓楽街。
がやがやと笑い声やお酒の匂い、たばこの臭いが充満する。
黒服に身を包んだ飲食店のボーイが薄い衣服に胸元が開いた若い女性に囲まれている男に貼り付いたような笑顔を向けると声をかける。
「岡田さん。
この子先日入った新人の美咲希ちゃんです。
仲良くさせていただいてもよろしいですか?」
「はははっ!
またまたかわいい子入ったねぇー! 美咲希ちゃんおじさんの隣おいでおいで!」
男は高級なスーツに身を包み、腕には高そうな時計をつけている。
頬は赤くなっており、だいぶ飲んでいるのが窺えた。
美咲希は隣に座るとグラスに氷を入れ始める。
「美咲希ちゃんは何歳かな?」
男は他の嬢や客に見えないように美咲希のスカートに手を入れると太ももをいやらしく触る。
「……二十四です」
「いやいや、もっと若く見えるよ?
お金に困ってるならさ、おじさんいい所教えてあげようか? 」
男は美咲希の耳元でそう呟くと、ニヤニヤと笑う。
「……いい所ですか?」
「おっ、美咲希ちゃん乗り気だね!
どうする? 今日行っちゃう?」
「二十二時に上がりますので、近くのカフェで待っていてくれませんか?」
美咲希は周りに聞こえないように男に耳打ちする。
男は満足そうに美咲希の手を握る。
美咲希が店から出ると先ほどの男が向かいのカフェにいた。
男は美咲希に気づくと店を出て、美咲希の肩を抱くとホテル街に進む。
少し高めなスウィートルームに案内されると、男は美咲希をベッドに座らせる。
そして、美咲希の服を脱がし始めた。
「美咲希ちゃん嫌がらないね。
もしかしてはじめてじゃないのかな?」
「岡田さんご家族は……?」
「ん? 妻とまだ中学生だが息子がいる。
まぁ、妻とは離婚調停中だがね……。
そんなつまらない話はせずに楽しもう。
美咲希ちゃんの好きな金額を言ってもらって構わないよ?」
「お金は要りません。
私、お腹が空いてるんです。
今日はまだ食べてないから」
「食事は後で持ってきてもらおう。何が好きなんだい?」
「私、お肉が好きなの。
一番好きなのはね……」
美咲希は岡田の腕を掴むと、にこっと笑った。
「貴方みたいな人よ」
腕はぐちゃぁと鈍く潰れ、岡田は痛みで声を出そうとしたが、開いた口へ美咲希の手が突っ込まれる。
「あがぁが……!!!?」
「はぁはぁ……ふふふっ、岡田さん?
ねぇ、
でもよかった、気兼ねなく貴方を
部屋中にぐちゃ、ぐち、と肉を噛む音が響く。
大柄の男は両手で少女を持ち上げていた。
「やめてよ……なんでよ……!
近づかないで!!
いやっ、ぐががぅぅっつ?!」
少女の腹が潰れ、骨と内臓が飛び出る。
少女はまだ息があるのか、ひゅーひゅーっと息を吐く。
「握り……潰しちゃったじゃないか……ふへっ! 」
握り潰すたびに少女から出る体液を見ながら、大柄の男は気味の悪く笑った。
「見つけました。
一足遅かったです。
被害が広がらないよう駆除します」
郁は男の頭に銃を突きつけると、引き金に指をかける。
銃弾が男の頭を貫き、そこから砂の様に崩れていく。
郁は次に同じように胸、足に銃弾を浴びせる。
力をなくした手から少女の身体が床へ落ちる。
「……ごめんなさい。もう少し早ければ……」
郁は倒れた少女を抱き起す。
少女は痛い、痛いと繰り返すが、少しずつ声が小さくなっていき、遂には郁の腕の中で息を引き取った。
「今回のデッドは河上武志と名乗っていました。
アパートの一室に引き籠っていたそうです。
いつデッドになったのかは調べてもらいましたが不明でした。
彼は外出と言っても近くのコンビニやアイドルのコンサート等で、それ以外は姿を見た方はいないようです。
その証言は近所の住民やコンビニ店員に確認済みです。
被害者は白崎綾音。
地下アイドル(スノー・ホワイト)に所属しており、当時はそのクループのコンサートライブがあり彼女は次のステージの小道具を楽屋に忘れ、取りに行くと同じメンバーの藤崎美雪に伝えたそうです。
戻った楽屋でデッドと接触し、襲われたのだと推測されます。
以上です」
郁はそう言うと、席に座り直す。
隣に座っていた夕凪は郁を見つめると瞬きを繰り返し、リリィはポカーンと口を開けている。
「……なんと言うかさすが元刑事さんだよねワンコくん。
この資料とかも作ったの?」
ラヴィは資料を手に取ると、ぺらぺらとページをめくる。
「はい。
わかりやすいかなと思って……パソコンとかはユヅルさんに借りました」
「まって?
ユヅルくんパソコンなんていう高度な機械持ってるの?」
リリィは驚いたような声を出すと、ユヅルの方を見る。
「高度って……リリィが機械音痴なだけでしょう。
いや、でも僕もすごいと思うよ。
ここまで分かり易くまとめられてるのは」
「いや、大したことでは」
「さて、次は夕凪だよ」
夕凪は席を立つと、ふうと一息つくと話し出した。
「姫川美咲希。
身分証情報ですので、それが本当なのかは第壱支部からの回答待ちです。
都内ホテルにて変死体が見つかり、部屋の中の残り香でリリィに追ってもらい殺すことはできました。
ただ……」
夕凪は言葉を濁す。
リリィはそんな夕凪を見ると口を開く。
「デッドじゃなかったの……」
「どういうこと?」
ラヴィはそういうと、リリィの次の言葉を待つ。
「デッド独特の血の匂いもしないし、体のどこも変異してなかったの。
自分の生命の危機の可能性もあるのにこっちに攻撃も仕向けて来なかったの」
「……デッドにしては、あっさり過ぎたんです。
今までデッドを斬ってきましたけど、こんなに後味が気持ち悪いの初めてだった」
「……つまり人間だったってこと?
それをしっかり判断もせず斬ったってことでいいのかな?」
ラヴィの低い声によって部屋の空気が重くなる。
郁はラヴィの方を見れず、膝に置く拳を握り直した。
「人間でもなかったよ。
夕凪が回収してきた彼女からしっかりと残ってたよ。
ホテルで見つかった変死体の肉片。
腹の中からね」
部屋のドアが開くと、七瀬が入ってきた。
「デッドは1度肉体が死んでから蘇った状態ですので独特な匂いはしますが、彼女は人間なのにデッドのようになったのだと思われます」
七瀬の後に部屋に入ってきた少女は淡々と言葉を続ける。
少女は七瀬の所属している第伍支部のメンバーで、七瀬の後から派遣されていた。
「すいません。
ご挨拶をまだしていない方もいましたね。
私はチガネと言います。
見た目は幼いですが七瀬さんより年上です」
チガネは頭をぺこっと下げる。
「簡潔に言うと彼女は半分は人間のままだったってことです」
「半分人間……」
ラヴィは深く唸る。
夕凪や郁達も言葉が出て来ることがなく、しんと静まりかえる。
「正直今回の件。
上層部のお偉いさん達は責任取りたくないんだか、判断はラヴィあんたに任せるってさ」
七瀬は乱暴に椅子に座ると、はあっと大きくため息を天井に向けて吐いた。
「……半分人間って、どうすればいいんですか。
第一なんでそんな状態になったんですかね姫川さんって人は……」
郁がそう呟くと、ラヴィはふぅと溜息をついた。
「……とりあえず、鉢合わせたら一度保護して。
そのあとの判断は……考える」
ラヴィはそう言うと、ごめんちょっと先に席外すね。と言い、部屋を出ていった。
「私は、デッドと同じくすぐに殺した方がいいと思うけどねぇ」
七瀬はぽつりと呟く。
「半分人間だとしても、デッドと同じく人間を襲ってる。
保護したとしてもデッドと主食が同じだってこと自体で危険な存在なのは変わりないからね。
それに保護したとしても、元に戻るなんて保障がない限り生かすなんて無理よ。
本当、上層部の連中は都合悪くなるといつもこうだよ。
とりあえず今はラヴィの言うように保護。
判断こっちで仰ぐからすぐに連絡すること。
よろし?」
七瀬はにこっと笑う。
「それじゃあ、解散ー」と言うと、部屋を出ていった。
「こんにちわ。
私はリリィです!
以後お見知りおきを!」
リリィはチガネに近付くと、握手を求める。
「リリィさんは戦闘能力が高いとよく耳にしました。
いつか手合わせ願いたいです。
よろしくお願いします」
チガネは手を自身の服で一度拭くと、差し出された手を握った。
「チガネちゃんはどんな武器で戦うの?」
郁も少しだけ興味があったため、会話の様子を窺った。
「私はこれを使うんです」
チガネは自身の髪についていた歯車型のアクセサリーを手に取ると、郁たちにも見える位置まで移動した。
「この歯車は手の平サイズですが、戦闘時は倍になります。
今は発動はできませんが、自由自在に火を操ることができます」
少量なら出せますよ。と言うと、手の平に乗っている歯車は浮くと、ゆっくりと廻り出した。
微かだが、綺麗な青い火が灯されていく。
「よく七瀬さんやもう一人の仲間に煙草の火種に便利だと。
よく使われるんですけどね」
はははっと、チガネは浅く笑った。
「そういえば、チガネちゃんと一緒に来た人見てないね。
私、まだ会ってない気がする。
夕凪ちゃんと郁くんは会った?」
「俺も会ってないけど」
「
もう一人の配属されたのは」
八百とは、七瀬の所属する支部で最も長く在籍している方で七瀬とも互角でやり合える人だと郁は夕凪から聞いていた。
「いえ、八百さんはお留守番です」
「そうか。
来てたら手合わせお願いしたかったんだが」
夕凪は残念そうにふうと息を吐いた。
「そのかわりに東雲という者が来てます。
あの子、皆さんにまだあいさつしてないんですね。
すいません」
チガネは申し訳なさそうに頭を下げる。
「いや、チガネちゃんが悪いわけじゃないから。
えと、東雲ちゃんでいいのかな?
どんな子かね」
リリィはそう言うと、夕凪の方を見る。
「そうね。
早めには会っておくべきだな。
今からでもあいさつに行くか。
二人はどうする?」
夕凪は郁とリリィに顔を向ける。
「俺も行くよ。
一応これから一緒に戦うわけだし」
「私も行くー!」
チガネは壁にかかる時計を見ると、ドアの方に指を指した。
「この時間帯はトレーニングルームにいると思いますよ」
部屋を出て、チガネと別れると、郁たちは東雲がいるであろうトレーニングルームに足を進めた。
「それにしても色んな設備あるんだね。
ノアの箱舟内って」
「まあ、一応はな。
あとは七瀬さんが何年か前に作ったリラクゼーションルームもあるし、温泉もあったな。
あとサウナとか」
「え、温泉湧いてるの?
ここ」
郁は驚きで、隣に歩くリリィに顔を向けた。
リリィは人差し指を唇に置くと、微笑んだ。
そういえば前にリリィが男湯の暖簾と女湯の暖簾交換して、ユヅルを女湯におびき寄せたみたいな話をしていたな、と郁は思い出した。
どこか違う場所だと思っていたが、内部の施設だったのだなと郁は一人で納得した。
トレーニングルームに近付くと、微かにランニングマシーンの音が聞こえる。
郁達が部屋をのぞくと、後ろ姿だが頭にタオルをかぶり、走っている小柄な姿があった。
「東雲さんって彼かな? なんか声かけづらいね。
どうする夕凪ちゃん」
郁はそう言うと、夕凪の顔をじっと見る。
夕凪も少し考えた顔をし、ふうと息を吸うと吐いた。
「邪魔しちゃ悪いしな。
あとにするか」
「そうだね。
じゃあ、行こうか。
……リリィ?」
夕凪と郁はその場を離れるように歩みを進めるが、リリィはじっとその場を動かず、東雲を見つめていた。
郁は心配そうにリリィに声をかける。
「リリィ、どうした……」
「
郁はリリィの顔を覗き込むと、リリィは目尻に涙を溜め、震え出した。
ランニングマシーンが止まる音が響くと、東雲はマシーンから降り、頭の上に置いてあったタオルで体を拭き、郁達に視線を向けた。
「……リリィ?」
東雲はリリィを見ると、驚きで目を見開いた。
「よかった、真緒ちゃん。
大きくなったね……!」
リリィは嬉しそうに東雲に近付き、手を伸ばすが、東雲はその手を強く払いのけた。
「触んな」
東雲は低い声でリリィにそう吐き捨てると、近くに置いてあった水の入ったペットボトルを乱暴に取り、リリィの横を通り過ぎようとした。
「ごめんなさい真緒ちゃん。
ずっと謝らなくちゃって、真緒ちゃんに会ったら謝らなくちゃって……ずっと、ずっと思ってて」
リリィは東雲の腕を握るが、東雲は同様に払いのける。
「五月蠅い。
まさか本当にお前がいるなんてな。
最悪だよ。
その面、もう見せんな。
謝罪なんて要らない」
「そう、だよね。
ごめんね真緒ちゃん。
でも、また会えてよかったよ……」
「……俺は、会いたくなかった」
東雲は入口付近にいた郁と夕凪にぺこっと頭を下げると、トレーニングルームを出ていった。
少しばかり重たい空気が漂う。
リリィは眉を下げると、夕凪と郁ににこっと笑顔を向ける。
「……うんと、真緒ちゃんは同じ施設で育った仲で、ずっと前に疎遠になってたから姿見るまで分かんなかったー……」
「そうか。
あの施設の出身か東雲ってやつも」
夕凪は東雲が去った廊下の方に視線を向ける。
郁は東雲に払いのけられたリリィの手を見る。
少しだけ赤く腫れていた。
「真緒ちゃんは私より三つ年下だよ。
烏天狗さんで、黒い羽根が綺麗なんだよ。
ぜんざいとか大福とか、和菓子が好きで、よく昔は笑う子でね。優しくて……私は、もう多分真緒ちゃんとお話出来ないと思うから郁くん、夕凪ちゃん仲良くしてあげてね」
「……うん」
リリィと東雲の間に昔何があったのか、郁は気にはなったがリリィが辛そうに笑うので、それ以上は聞くことができなかった。
◇◇◇◇◇◇
「本当にこのあたりなの?」
夕凪はあたりを見渡す。
郁達四人は古びた商店街に来ていた。
まだ昼間だというのに多くの店はシャッターは閉じられたままになっていた。
「この商店街の近くで、女性の変死体が見つかったらしいです。
もう死体の方は身元不明とのことで警察の方で回収はされているようですが」
チガネは一枚の写真を郁達に見せる。
写真には顔の半分がなく、残っている顔も判別がつかない程損傷していた。
「リリィ。
なにか匂い残ってるか?」
リリィは大きく鼻で息をするが、微妙な顔をした。
「色んな匂いが混じってるから、何を言っていいのか。
デッドの匂いはしないけど、ほのかに柑橘系の匂いと、あと動物の匂いがする。
多分犬だと思う」
「リリィさん。
この匂いですか?
現場の近くにありました。
首輪の端に少しだけ血がこびりついていたので、回収しておきました」
チガネはジッパーの袋を開くと、薄い緑の首輪を取り出す。
首輪の横には花の形をしたキーホルダーがちょこんとついていた。
リリィは顔を近づけると、頷いた。
「……純粋に疑問だったんだけど、ノアの箱舟って情報が入るの早いよね。
この写真も警察に回収される前に撮ったわけだし。
現場に警察関係者でもないのにうろついてたら怪しまれないものなのかな、なんて」
「怪しまれるわけないだろ。
もみ消すんだから」
夕凪はきっぱり言う。
「上層部の人で警察関係者でお偉いさんがいるんだよ?」
きょとんとした顔をするとリリィはこてんと首を傾げる。
「え、初耳なんだけど」
「正確にはデッドの存在を知ってる一部の人間だとは思うけどね。
私もそこまで知らないから詳しくは話せないけど。
だから現場にうろついてても怪しまれないってこと」
郁は疑問が残り、ふとっ思い出す。
「……じゃあ、俺がここに居るってことも知っているってこと?」
「そうかもしれないな。
郁を半吸血鬼にしたことは言われたけど何を考えてるのかあっちからは郁についてそれ以上何も言ってこない」
「そっか。
他にもそういう関係の人が上層部にいるってことなんだね。
知らなかったこといっぱいあるんだな……」
郁は遠い目をしたが、夕凪はふっと息をする。
「郁、しんみりした顔してるけど、そんなにショック受けた感じじゃないわね」
「まぁ、多少は驚いたけど。
なんとなく納得した感じがして」
「大丈夫だよ。
郁くんはノアの箱舟で期待の新人さんなんだからね!」
リリィは郁をフォローするように言ってくれているのを気づいて、一瞬遠い目をした自分自身に恥ずかしさを覚えた郁だが、何かに気づき体を反対方向へ向けた。
「何か、聞こえない?」
「あっちだ」
夕凪が指さす方向に郁達は急いで走り出した。
「三人とも、先に行く」
郁は屋根に飛び乗ると、速度を速めた。
屋根と屋根を飛び越えると、見えてきたのはデッドに追われている少女だった。
少女はバランスを崩すと、地面へ倒れ込んだ。
後ろから鋭い爪が伸びてきて、少女は来るであろう痛みに固く目を閉じた。
銃声と微かな煙の臭いがし、痛みが来ないためそっと目を開ける。
「大丈夫?」
郁は肩で息をすると、少女の目線まで腰を下ろした。
「あ…」
少女は先ほどまでの恐怖に全身が震え出し、声が出ない。
そんな少女の手に郁は自身の手を重ねる。
「大丈夫だから。
よかった。
君を助けられて……」
「郁、無事か?!」
少し遅れてきた夕凪が郁と少女の姿を見ると、ほっと胸を撫で下ろした。
「君、立てそうですか?」
チガネは少女に声をかけるが、少女は震えているためかうまく立つ動作が出来ないでいた。
「……俺の首に腕まわせる?」
少女はこくんと頷くと、震える腕を郁にまわす。
郁はひょいと少女を抱きかかえた。
リリィは「はぅ」と言いながら、キラキラした目を向ける。
「ごめんね。少し我慢してね」
「…王子、様」
「え?」
少女はそう言うと、郁の首に顔をうずめた。
ノアの箱舟に戻ると、少女を医務室のベッドに座らせた。
少女は少し落ち着いたのか、先ほどより顔色が良い。
しかし、やはり不安なのかぎゅっと郁の服を握っている。
そのため、郁も隣に座る形になってしまっていた。
チガネは少女の足の擦り傷の処置をてきぱきする横でリリィは夕凪に「やっぱり男の子だよね!
お姫様だっこなんて絶対少女漫画でも恋に落ちちゃうパターンだよ!
ねぇ、ねぇ夕凪ちゃん!」とキャーキャー言いながら小さな声で騒いでいた。
夕凪は少女に向かって口を開く。
「私は夕凪だ。
貴女をさっき襲っていた化物(デッド)を撃退しているの。
貴女を無事に家に送り届けるから心配しないで」
少女はこくりと頷く。
「お姉ちゃん達はさっきの人達にいっぱい出会ったことあるんだよね?
あの、ね」
少女は言葉が飲み込むと、うつむく。
郁の服を握る手が微かに震えた。
「お兄ちゃんが変なの……あの日から前のお兄ちゃんじゃない気がして……、お兄ちゃんを助けてほしいの」
「お兄さんが変?
その話、詳しく聞いてもいい? 」
少女は郁の顔を見ると、こくりと頷き、口を開く。
「お兄ちゃん昔から体が弱くて、どこの病院に行っても良くならなくてね。
隣町の大きな病院が出来たらしいって話をご近所の人からお母さんが聞いて、もしかしたらよくなるかもしれないからって」
少女は佐藤奈々と名乗った。
奈々の兄 恭哉はその病院から戻ると以前と比べて食欲も増し、明るくなったという。
「でもお兄ちゃん。
あの日から時々冷たい顔をしたり、夜こっそり家を出たりするの。
お母さん達はお兄ちゃんのことは心配しないでって私に言ったけど、でも私……」
「親御さんが、奈々ちゃんにそう言ったのはいつ頃?」
「……一週間前」
「それで今日はどうしてあの場所に?」
「お兄ちゃんが今日、病院の再診に行くの知ってたから。
絶対何かあるんしゃないかって思ってそれでお兄ちゃんの後を追ってたら、あの人に襲われて」
「その病院。
案内できるか?」
夕凪の言葉に奈々はこくりと頷いた。
◇◇◇◇
隣町の病院は最近新調され、クリーム色を基調とした建物だった。
緑が多く、患者の子供だろうか広い芝生でボール遊びや追いかけっこをしている。
自動ドアが開き、郁達は奥の受付へ進む。
受付ではまだ真新しい名札を付けた女性が座っていた。
「すいません。
こちらに佐藤恭哉さんを診られている先生は本日ご在籍ですか? 」
「えと、
本日はどんなご用件で」
「彼女、佐藤恭哉さんの妹さんなんですが、お兄様とはぐれてしまったと聞いたもので。
佐藤恭哉さんを診られている先生のところにいるんじゃないかと思いまして」
郁がそう言うと、女性は納得した顔をする。
「そうですか。
灰都先生でしたら」
受付の女性に場所を聞くと、エレベーターに乗る。
扉が閉まると、夕凪は口を開く。
「……リリィ。
なにか匂う?」
「ううん。
特に特徴的な匂いはしないよ。
デッドはいないと思う」
エレベーターは指定された階につくと、ゆっくりと止まり、扉が開いた。
壁には内科、耳鼻科、呼吸科と矢印がふってある。
歩みを進めると、灰都と札が下がっている病室の前に立つ。
扉に手をかけようとしたが、扉が開き、学生服を着た一人の少年が出てきた。
「お兄ちゃん!」
奈々は少年に抱き着く。
少年は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「奈々?
どうしたついてきちゃったのか?」
少年は奈々の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「あれ?
もしかして恭哉君の妹さん?」
恭哉の後ろから白衣を纏った女性が顔を出す。
首から下げられた名札には灰都と書かれている。
「そうなんです。
先生、こいつが俺の妹の奈々です」
灰都は髪を耳にかけるしぐさをすると、奈々の目線まで姿勢を下げ、にこりと笑った。
「こんにちわ奈々ちゃん。
私、恭哉君の担当をしている灰都って言います。
ふふ、可愛らしい髪飾りしてるわねウサギちゃんかしら」
「…」
奈々は少しこわばった顔をし、恭哉から離れると郁の後ろに隠れた。
「えと、貴方達は?」
灰都は首をかしげると、郁達の方を見る。
「お兄さん達は私が病院の場所がわからなくなっちゃって、案内してくれたの!」
奈々は灰都に咄嗟に言い、郁もそれに続いて頷いた。
「そうなの。
恭哉君、次回の診査の日だけど下の階の受付でしてね」
「はい。
ありがとうございました」
恭哉はぺこりとお辞儀をすると、エレベーターの方に向かう。
郁達も後に続いた。
灰都はエレベーターの扉が閉まるまで、ずっとこちらに手を振っていた。
エレベーターが下の階につくと、恭哉は会計をしに受付に向かう。
奈々は郁の側から離れないでいた。
「奈々ちゃん。
どうしたの?」
郁は小さな声で奈々に話しかけた。
「……帰りたくない」
「すいませんお待たせしました」
会計をおえた恭哉は郁達に近付くと、奈々はうつむき言葉を詰まらせた。
「今日はありがとうございました。
もう大丈夫ですので、奈々帰ろう」
恭哉は奈々に手を差し伸べるが、奈々はぎゅと郁の服を握っていた。
「途中まで送るよ。
外もだんだん暗くなってきたし」
郁は恭哉にそう伝えると「そうですか。ありがとうございます」と言った。
夕日に照らされ、ゆらりゆらりと影が揺れる。
「先生にはすごいお世話になってて、今までは放課後になると体が怠くてしかたがなかったのに全然疲れないんです」
恭哉は横に歩く郁に向かって嬉しそうに話していた。
郁の反対側には奈々がぴったりとくっついていて兄妹に挟まれる形となっていた。
夕凪とリリィはその後ろを歩く。
「あと、すっごく腹が減るんです。
三食ちゃんと食べてるんですけど、夕飯食べた2時間後にはお腹鳴っちゃって。
でも、朝起きると満腹感がするんですよね。
逆ですよね」
恭哉は、ははっと笑うとお腹をさする。
恭哉は歩みを止めると、郁達の方へ顔を向けた。
「お兄さん達今日はありがとうございました。
ほら、奈々行くよ」
いつの間にか彼らの家の前に着いていたらしい。
一般的な二階建ての暖色的な家だった。
玄関には可愛らしい小人の人形が置かれている。
「この置物ってお伽話の白雪姫の小人だよね?」
「はい、母が好きなので。
ほら、奈々お兄さん達帰れなくなっちゃうだろ?」
「……うん」
奈々はおずおずと郁の服から手を離すと、恭哉のもとまで歩んだ。
「奈々ちゃん」
郁は奈々を呼び止めると、奈々は振り向く。
「俺たちにまだ言えないことあるかな?」
奈々が先ほど郁に言いかけた言葉がなぜか郁の中で引っかかっていた。
奈々は言葉を詰まらせ、下を向く。
「ないよ。
今日は本当に助けてもらってありがとう」
奈々はにこっと笑うと、兄の恭哉に続いて家の中に入ってしまった。
「うーん」
道中リリィは自身の鼻をつまんだり、手でこすったりしていた。
「どうしたの?
リリィ」
夕凪はポケットからティッシュを取り出すと、リリィに渡す。
リリィはそれを受け取り、鼻をかむとスッと鼻で空気を吸った。
「あの病院から鼻がおかしくてね。
ずっと鼻の奥で何かの匂いが纏わりついてて他の匂いがわかりづらいの」
リリィはうーっと言いながら、もう一度鼻をかみ出す。
「わんわん! ぐるるる……」
一匹の犬が郁に向かって、吠える。
少し毛皮が汚れていて首輪がついていないためノラ犬だろうか。
リリィはその犬の前にしゃがむと、犬も大人しくなり腹をリリィに向けた。
「この子だ」
「え?」
「あの、場所にあった首輪の子と同じ匂いがする。
柑橘系の匂いこの子から!」
リリィは犬を持ち上げると、顔を近づけ、犬の身体の匂いをかむ。
「血の匂い。女性の。
あと、奈々ちゃんの匂いがする」
郁は奈々の家に駆け出していた。
空はだんだんと薄暗くなり、半透明な月が薄っすらと浮かんだ。
奈々の家に着くと、玄関先に近付く。
ドアノブに手をかけると簡単に開いた。
「奈々ちゃん、恭哉くん?
っ?!」
ばっと郁は鼻と口を塞ぐ。
「すごい臭いだな」
郁の後ろにいる夕凪も同じく袖で鼻と口を包むと、呟いた。
玄関には靴が散らばり、奥にはリビングへと続く扉と階段があった。
郁達は音をたてないように、廊下を進みリビングのドアをゆっくりと開けた。
「……無残だな。
死後一,二週間か?」
リビングには壁と床に血が広がり、肉片が飛び散っていた。
かたんと、音がすると郁の胸に何かが飛びついた。
「っ、奈々ちゃん!」
「うっ、ぐすっ、」
郁は奈々を抱きかかえた。
「助けて、お兄ちゃんを助けて……」
「何があったんだ?
奈々ちゃんこの人たちは……」
「もういやだ。
怖い怖いよ……!
私のせいなの!
お兄ちゃんは悪くないの!」
「落ち着いて奈々ちゃん。
……恭哉くんは?」
奈々は玄関の外を指さす。
夕凪とリリィはこくりと頷き、外へ駆け出す。
家の中に取り残された郁は奈々の背中をさすると、優しく問いかけた。
「……俺に、何があったか話せる?」
奈々は息を落ち着かせると、口を開いた。
「お兄さん達が、あの化物みたいな人を殺せるって言ったから、そしたらお兄ちゃん殺されちゃうかもしれないと思って。
私、嘘ついた」
「うん」
「本当は、体が弱かったのは私なの……病院に行ってたのは最初は私だったんだ」
「え?」
郁は驚き、奈々の顔を見る。
「灰都先生に会ったことはなかったんだけど、お兄ちゃんが付き添ってくれて病院で看護師さんに注射をしてもらってね、そしたら体が楽になって来たんだけどそれから一緒にいたお兄ちゃんの様子がだんだんおかしくなってきて……最初は生きた鳥の死骸だった」
奈々の両親も息子の変わりように、日に日に恐怖を感じていたという。
昼間は今までの息子のままなのだが、夜が近づくと、様子がおかしくなってきた。
それが何か月も続き、二週間前には昼間同級生の腕を噛み怪我をさせたそうだった。
「お母さんがお兄ちゃんを迎えに行った後、家に戻ってきてお父さんに話してるのを聞いちゃったの。
同級生の腕にはくっきり歯形が食い込んでいて、もう一足遅かったらちぎられていたかもしれない深さだったって……」
「……リビングにいるのは、ご両親?」
奈々はこくりと頷く。
郁は、もう一度リビングに目を向ける。
「朝、お兄ちゃんの服や口元には血がついていて、昨夜どこに行ってたのか聞いてもお兄ちゃん覚えてないって言うの。
それで、一週間前にいつものように外へ出るお兄ちゃんをお母さん達が止めた」
恭哉は暴れ出し、両親を襲い始めたという。
奈々もその場にいたが、母親にリビングの外に出されたという。
「お母さんが扉を閉める前に言ったの、奈々心配しないで。
お兄ちゃんの事は大丈夫だから奈々は寝室にいなさい。
朝になるまで扉を開けちゃダメよって……!
でも、朝起きたら……っう」
朝起きて、二段ベットの下に眠る兄とリビングの風景を見た奈々はすべて理解したそうだった。
幼い彼女にとってそれはどんな心境だったのだろうと、ただ郁は奈々の体を強く抱きしめた。
「林檎の保存方法知ってる?」
玄関の方から声が聞こえ、郁は顔を向けた。
「……貴女は、灰都さん? なんでここに」
「林檎は特にエチレンガスを多く排出する果物なんだよね」
コキンコキンと関節が折れる音がし、灰都の姿が変わっていく。
「その影響で、他の野菜や果物と一緒に保存しておくと他の果物が腐っていってしまうんよ」
ゴキンっと大きな音がすると、灰都はふうとため息をついた。
「どうも、お晩です。アルカナの強欲の悪魔シキ・ヴァイスハイトええます。よろしゅうな~」
白衣姿にスラリと伸びた背。
楕円の形をした眼鏡には十字架のチェーンが吊り下がっている。
狐みたいな細い目はにこりと笑った。
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