ボーイミーツスニーカーガール

楠治 加布里(くすじ かふり)

ボーイミーツスニーカーガール

 朝のニュースの星座占いが好きだ。順位が良くても悪くても、一日を頑張ろうと思える。今日の蟹座は一位。ラッキーアイテムは赤のスニーカーだった。

 高校へは自転車で三十分ぐらい。今日も今日とてのんびりと、愛しの学び舎を目指す。

 道中、大きな坂がある。上りは大変だが、下りは気持ち良い。やっとの思いで上り切り、全速力で下り始めた。

 下り切る直前、脇道から突然、猫が飛び出してきた。慌ててハンドルを切った私は、猫の無事と引き換えに横転し、両手両肘両膝をすりむき、一瞬で血だらけになった。

 痛む体を何とか起こしながら、一位だったのについてないなあ、なんて思った。

 再び愛車に乗ろうとしたその時、後ろから声をかけられた。

「大丈夫ですか!?」

 見れば、同じ高校の女の子がわざわざ自転車を止め、私の心配をしてくれていた。

 適当にあしらったのだけれど、彼女は鞄から絆創膏を取り出し、私に差し出した。

「これ、良かったら使ってください!」

 素通りすればいいものを、親切な人もいるものだなと思った。

 お礼を言い、ありがたく絆創膏使わせてただこうと屈んだ。ふと、彼女の足元に目が行った。彼女はは赤い色のスニーカーを履いていた。

やっぱり、朝の占いは嘘をつかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボーイミーツスニーカーガール 楠治 加布里(くすじ かふり) @kusu2ka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る