26話 雪の降る日

その日は朝からみぞれが降り出した。

紅子はそれでも泉に行きたかった。

母親は近所の妊婦さんのお産の手伝いに行っている。

お産婆さんはご高齢なので、こうした時には

母親は手伝いに行くのが役目になっていた。


雨ガッパを着てワッカの車椅子に乗る。

みぞれは木の車輪にはきつかった。

滑りが悪く、方向も定まらない。

力もいった。


やっと泉についた時には、紅子は消耗し切っていた。

それでも紅子は石を探し、お祝いのメッセージを置いた。


起き終わった時には紅子はもう動けなくなっていた。


疲れちゃった、、。

少し休もう。

あの古木の下、、。


紅子は知らないうちに眠ってしまっていた。

みぞれはいつの間にか雪に変わっていった。


紅子の家では母親が紅子がいないのに気が付き

父親の学校へも連絡していた。

さすがの学校優先の父親も前の一件もあり

おまけに雪が降ってきたので、帰ってきていた。


どこか心当たりはないのか?


ええ、あちこちで聞きましたの。

雨ガッパで車椅子でどこかへ行く姿は見た方はいるのです。

どうも、アイスの村の方へ向かっていたようなんです。


そうか。わかった。

ここは土地勘のあるアイヌの村人に相談してこよう。

父親はすぐさま、雪支度をして出掛けて行った。



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