23話 コントリ

大きな古木がまるで森の守り主のように

天まで伸びており、その周りには若木が

生えていた。


鳥の鳴き声、木立の隙間から太陽の光が

泉の水面に当たり、陽炎のようにモヤが立ち上っていた。


ワッカは紅子をそうっと抱き上げると

ふわふわの草の上に座らせた。


ああ、気持ちいい。苦しいものが体から抜けていくよう、、。


ワッカは泉の水を手ですくい、紅子に飲んでみろと口まで持ってきた。


ごくん。

ワッカさん、このお水、すーーと喉を通るわ。

初めて。


ワッカは満足そうな表情を浮かべた。

ワッカは皮袋の中からコントリを出した。


ワッカさん、それは何ですか?

お琴の小さな物みたい?

それともバイオリン?


コレ、コントリ。オトキイテ。


ワッカはコントリを斜めに持ち、指で弾くよくに調べを奏でた。

その音は弦楽器なのに、ピアノの音のような

不思議なものだった。


紅子は自然と涙が流れた。

傷ついたこころが修復されるような

時間だった。




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