21話

こうして半月ばかりが過ぎた頃、

紅子はワッカに会いたくなった。

それまでもお礼を言いたいと思いながら

自分の姿を見られる事が嫌だった。


その日、縁側に座ってワッカを待った。

ピピピーピュールリリーーー!

口笛が鳴り出した。


紅子は

ワッカさーーん!と声を掛けてた。

口笛は止まった。


ワッカさーーーん!お願いです。どうかこちらに

いらして下さい。


暫しの静寂の中からのっそりと大きな体の

ワッカが姿を現した。


ワッカさん、もっと近くに来てください。


ワッカは遠慮がちに紅子の方は歩いてきた。

そして、ワッカは紅子の左足が無い事に気がついた。


フレ、オマエ、アシドウナッタ?


紅子は驚いた。あの日以来、お見舞いに沢山の人達がきたけれど、誰ひとりとして

無くした足の事は話さなかった。


あのね、傷が深くて、、。ダメだったの。

ワッカさんやお母さんには本当にお世話になりました。


ソウカ。

フレ、アペフチカムイ、マモル。

シンパイナイ。


ワッカさん?アペフチカムイって何のことですか?


ベニ、アカイヒ。ホノオ。

アペフチカムイ、ホノオノマモリカミ。




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