第12話 カンファレンス

ガクホの入院生活も一週間が過ぎた。

検査も終わり、今後についてのカンファレンスをすることになった。


まずは担当医の近藤医師からの病状説明。

神川君はユーイング肉腫と診断されました。

整形の先生とコンタクトとり、肉腫が神経と血管に絡んでいるので、右下肢の温存は困難であり膝関節上部からの切断となります。

今のところ他臓器への転移は認められてません。

若いので進行も早いので、早いOpeになります。

術後の化学療法は整形では無く、小児科で

引き受ける事になる予定です。

ご家族にはすでに説明してあります。

あとは神川君に告知をする事になりますね。


リンコはズンと胸にきた。

あからさまに暗い表情をした。


リンコ、しっかりしなさい。

小児科では特別な事じゃないのよ。

川島が小声で話しかけてくれた。


顔を上げて周りの看護師をみると、真剣だけど

動揺している者はいなかった。

どんなキツイ事でも受け止めて看護師としての役割を果たすだけ、そんな覚悟が伝わってきた。


強いな、私もターミナルの患者さんとは何人も探したけど、若い人となるとダメだなぁ。


近藤医師は

神川君に告知する時には担当の看護師さんにも同席をお願いするね。


はい。わかりました。

リンコは必死に答えた。


その夕方、もう帰ろうとエレベーターの方へ向かっているとディルームの窓から西陽を

眺めるガクホが立っていた。


ガクホ君?

どうしたの?


ああ、森野さん。仕事終わったんだ。

この夕焼けは明日も明後日も同じように見られるのかなぁ。


そうねぇ、季節が変わると違うから。


ふふ。森野さんって鈍感だね。


ひっどいなぁ。繊細なのよ。


ねぇ、森野さん、手を出して。


え?こう?


そう。

ガクホはリンコノ手に自分の手を重ねた。


リンコの中にイメージが食べなだれ込んで来た。

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