第10話 ユーイング肉腫
おはようございます。
昨日はご迷惑をお掛けしました。
リンコは一番に師長に頭を下げた。
まあ、もう大丈夫なの?
中堅どころの貴方だから、個人衛生の大切さは
わかりきっていると思いますけど。
気分が悪いなら早めに報告してね。
今は昔と違って頑張るだけでは困るのよ。
はい。やはり小児と言う点で気負いがあったかもしれません。
気をつけます。
そうね、そうしてちょうだい。
それとね、ガクホ君の希望もあってね
担当は森野さんでお願いしたいの。
私ですか?
そう。やはりね、新人には彼のような患者さんはまだ難しいし、川島さんも貴方に任せたいって。
川島さんが、、。
はい、私も勉強になります。お願いします。
そんなやり取りをしていると、すでに申し送りの準備が始まった。
神川さんですが、外来でのCT.MR結果を検討された結果、膝関節にユーイング肉腫が出来ている可能性が大きいとのことです。
今後、PET.骨シンチを行いう予定で予約が入ってます。
痛みは体動時にあるようで鎮痛剤が処方されています。昨夜も眠れないようで、痛みを我慢しておられる様子でしたので、声かけして
鎮痛剤内服され、その後は入眠されています。
自分から訴えるタイプの子ではないようですので声掛けお願いします。
それと、本人には悪性腫瘍についての告知はされていません。注意して下さい。
ユーイング肉腫。今は昔と違い、切断だけが全てではなく、人工関節を入れたりすることで
できるだけ温存する方法もあるけれど。
肉腫が神経や血管に絡みついていたら、、。
彼は若いから、進行度も早い。
転移を考えたらどの選択を医者はするのだろうか。
小児科は行きたくなかったなぁ。
リンコは暗い気持ちになる自分に喝を
入れる事もできなかった。
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