閑話 ソクサって・・・③
私が出会う前、ソクサさんはどのようにこの森で生活していたのでしょうか。
最初、助けられた後にここへ連れてこられたときはほとんど何もない場所でした。
一応家はありましたが、今回建てたものとは比べるまでもない、とりあえず安全に寝るために周りを囲っただけのものでしたし、長い期間ここで過ごしていたとは思えないくらいの状態でした。
「軽く聞いた感じ、ずっとこの森で暮らしていた感じではあるんだけど、ここで生まれ育ったって感じじゃないでしょ」
「そうですね。私が来たときはこの森しか知らない、みたいなことを言っていましたが」
森の中で生活を続けていたにはかなりの知識を持っている方なのでずっとこの森にいたというのは不自然です。以前他の方と一緒に過ごしていたのかと質問をしたことがありましたが、一緒に過ごすのは私が初めてといわれましたし。
「そうなのよね。でも、その割に外のことを知らなすぎっていう。なんというか知っていることがちぐはぐよね」
知識はあるのにどこで学んだのかが分からない。他の方と一緒に暮らしていなかったとなれば、誰かに教えてもらったわけではないということです。
もしかしたら私に本当のことを言ってくれなかっただけなのかもしれません。
「完全獣人の割にかなり穏やかな性格だし、ほとんど使えないはずの魔法もガンガン使えるしで、本当に普通じゃないのよねソクサって」
私は獣人の血が入っていますが人とのハーフで、お母さんが魔法を使えてそれを教えてもらえたから使うことができますが、獣人が魔法を得意としていないの常識として知られています。
それなのに使いこなしているのは普通ではありません。しかも一度教えてもらっただけなのにあそこまでできるのは異常です。
「完全獣型の獣人って本能に忠実というか、荒い奴が多いんだけど本当に何なのかしら。それに料理も上手いっておかしいわよね」
何か最後のものは少し私情が混じっている気もしますが、確かにソクサさんは料理が得意な方だと思います。あまり食材の種類がない中でおいしいものを作ってくれるので。
私も料理はできる方だと思っていたのですが、比べてしまうと劣ってしまいますね。
「ごめんね」
「どうしました?」
「お話ししましょうって言ったのに私ばかり話しちゃって」
「大丈夫ですよ。私あまり話しかけるのが得意じゃないので、こうやって話を振ってくれると助かります」
昔から話し相手はお母さんしかいなかったので、私から他の方に話しかけるのは慣れていなくてあまり得意ではないんですよね。
「そう言ってくれるとありがたいわ」
「ぁふ」
アンジェさんと話ていたら気持ちが落ち着いてきたのか、眠気が差してきてあくびが出てしまいました。
「だいぶ眠くなってきたわね。レナも眠くなってきているみたいだし、話はこの辺りでやめて寝ることにしましょ」
「はい」
そう言ってアンジェさんとの会話を終わらせてそう時間がかからないうちに、私は眠りに落ちていきました。
―――――
次話から次章になります。
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