閑話 ソクサって・・・②

 

 前話と同じくレナ視点です。

 ―――――


 

 アンジェさんも起きていることはわかりましたが、このまま話を続けていいのか。ミシャさんは寝ているみたいですし変に会話を続ければ起こしてしまうかもしれません。


 しかし、このままでは何となく寝ることができそうにないので、気をそらしてどうにか眠りにつきたいんですが。


「寝れそうにないから何か話でもする?」


「……ミシャさんが起きてしまいませんか?」


 アンジェさんの提案に少し気持ちが動きましたが、寝ている方がいるので静かにした方がいいですよね。


「大丈夫よこの子は。前に確認した時は頬をつついても起きなかったから、大きな声で話さなければ起きないと思うわ」


「そうなんですか」


 いつの間にそんな確認をしていたんでしょうか。もしかして私も同じように確認されていたりするのでしょうか。


「それに起きたとしても、会話に入ってもらえばいいでしょ。なんだかんだこの子、人と話をするの好きみたいだし」


 普段の様子からもそれはよくわかります。見た目は大人びた方なんですが、やっぱり年相応なところが結構あるんですよね。


「それもそうですね」


「ま、話をしようって言い出しといてなんだけど、何を話すか何も考えてないのよね」


 そういえばアンジェさんと暮らすようになって、2人きりで話をするのは初めてかもしれません。


 いつも作業するときはミシャさんと一緒にすることが多いので、ミシャさんとは2人で話すことは多いのですが、アンジェさんはどちらかというとソクサさんと一緒に作業することが多いので、アンジェさんとこうやって話すことは少ないかもしれません。……その時も大体ミシャさんも一緒に話していたり、ソクサさんがいたりってことが多いような。


 このような場で2人揃って何を話したらいいのかわからず、少しの間沈黙することになってしまいました。


「そういえばソクサってさ」


 しばらく無言の時間を過ごしたところでアンジェさんがそう言葉を漏らしました。


「ソクサさんですか?」


「うん。あの人って何者なのかしら」


 何者かと問われても私にもわかりません。

 この森に棲んでいて獣人で、お母さんが死んですぐに男たちに売られそうになったところを救ってくれた人。

 腕っぷしも強くて何かと頼りになる方という認識しかありません。


「私もよく知りません。私を助けてくれた時にはこの森に棲んでいたようですし」

 

 当時は家も何もない状態でしたが、外の様子を知っている感じではなかったので、ずっとこの森の中で生活していたと思うのですが。


「それより前のことは知らないってことよね」


「はい」


 聞かれて気づきましたが私ってあまりソクサさんのことを知ろうとしていなかったですね。




 ―――――

 もう1話続きます。

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