閑話 ソクサって・・・①

 

 レナ視点の閑話になります。長くなりそうなので分割。

 ―――――

 


 新しく作った家に持ち込んだベッドの上で寝返りを打つ。

 壁に開いた光取り用の窓から月明かりがうっすらと差し込み部屋の中を静かに照らしている。


 今回の家は1人につき一部屋あてがわれたけれど、今まで自分用の部屋を持ったことがなかったので正直かなり戸惑いが先行している。そもそも私が住んだことのある家は1部屋しかないものだけで、前の家みたいな部屋と食事をとる場所が分かれているのも初めてだった。


 他の2人の反応を見る限りアンジェさんは私と同じようにこんな家に住んだことがなさそうだった。ミシャさんはどこか嬉しそうにしていたけれどあまり驚いた様子がなかった。普段の様子や知識から育ちがよさそうな感じがするから、似たような家に住んでいたのかもしれない。


 ごろりとまた寝返りを打つ。

 寝返りを打ったことで視界に隣で寝ているアンジェさんの姿が見えた。


 個人の部屋を貰った今回の家は、隣り合った部屋を繋げられる構造になっている。こんな構造の家があるなんて知らなかったけれど、こうやって部屋を繋げてみると結構便利なのかもしれない。


 今はアンジェさんとミシャさんの部屋を繋げて、前の家と同じようにベッドを隣り合わせにして3人一緒に寝ている。

 

 新しい家だからかうまく寝付くことができず、また寝返りを打つ。前の家よりも高くなった天井がうっすら見えた。


「ふぅ」


 少しでも眠くなるよう気持ちを落ち着かせようと軽く息を吐く。

 なるべく隣で寝ているアンジェさんとミシャさんを起こさないようにしないといけないのに、どうしても体がそわそわして落ち着かないため何度も寝返りを打ってしまう。


「レナ、起きてるの?」


「え?」


 隣で寝ていたはずのアンジェさんの声が聞こえてきたので、驚いて声を上げてしまう。

 もしかしたら寝返りを打ち過ぎていたせいで起こしてしまったのかもしれない。


「ごめんなさい。起こしてしまいましたか」


「いえ、私も寝れなくてずっと起きてたから大丈夫よ」


「ミシャさんは・・・」


「……反応ないし、多分寝てると思うわ。なんだかんだこの子結構図太いわよね」


 アンジェさんも起きていたということはミシャさんも起きているかもしれない。そう思って聞いてみるとどうやら寝ているようです。


「そうですか」


 そういえば、ミシャさんはここに来た翌日から普通に眠ることができていましたね。私はソクサさんに助けてもらって一緒にいるようになってから数日はまともに寝ることができなかったのですが、アンジェさんの言う通り、ミシャさんは肝が据わっているのかもしれませんね。


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