22 完成へ
家の骨組みが完成した翌日。
切り出してある木材から床や壁、屋根に使う板材を作り出していく。
さすがに魔法を使っても俺が知っているレベルの薄い板材に加工するのは難しいので、厚みがそこそこあるものになってしまうが、床や壁に使う分には厚みがあったほうが安心できるので問題はない。屋根に使うには重量が気になるところだが、なるべく柱を増やして負荷が分散するようにしているので、多分大丈夫だろう。
もくもくと木材を角材に加工し、そこからさらに板にしていく。丸太から加工する際に出た樹皮や端の丸みを帯びた木材は下地材や壁に使う予定のため、別の場所で保管しておく。
「この板をあの柱の溝にはめていけばいいんですか?」
「ああ、よろしく」
出来上がった板材は出来上がり次第、レナとアンジェが指定の場所に運び壁として組み込んでいく。
板まで加工すればレナでも運べるくらいには軽くなるため、ここから作業効率が上がった。作った端から運ばれていくので、俺も早く作らないといけないのはちょっと誤算だったが。
ミシャは残念ながら腕力の関係で、補助に回ってもらっている。
この日は壁を作り、作業を終え皆と一緒に森の中に食料調達に向かった。
翌日。最後に残った屋根を作っていく。
雨などの不安があったため先に屋根を作りたかったが、屋根を載せるための強度に不安があったため、先に壁を作り屋根を後回しにした。
一応、骨組みを作った際に大丈夫かどうかの確認はしていたが、念には念を入れて作業したかったのだ。
屋根用の板は前日の壁と合わせて加工しておいたので、あとはこれを屋根の上に並べていくだけだ。
「この木の皮は屋根板を置く前に敷けばいいのでしょうか」
「いや、樹皮は板の上に重ねるようにしてくれ」
板をそのまま屋根に張り詰めただけでは雨が降った際に雨漏りしてしまう可能性があるため、樹皮をその板の上に重ねていく形で取り付け雨漏りを防ぐつもりだ。
神社などの古い建築物で雨対策として樹皮を重ねて屋根に張っていたのを思い出して取り入れてみたが、あやふやな知識しかないためこれで合っているのか、実際に効果があるのかは雨が降ってみないとわからない。
ここは様子を見て駄目そうなら別の方法を考えていくことにしよう。
「そうなんですね。わかりました」
ようやく自分も直接手伝える作業ができたことで張り切っている様子のミシャがまとめておいた樹皮を数枚持ち、屋根板を取り付けているアンジェ達のもとへ小走りで向かっていった。
4人で屋根材を取り付け、太陽が頭上を越えたあたりで新しい家の作業を終わらせることができた。
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