19 より良い家づくり

 

 

 風魔法を覚えた翌日、予定通り俺は新しい家を作るために木材を加工することにした。

 今の家は割と突貫というか適当に作っただけのものなので、今回はしっかり木材で骨組みを組んでしっかりしたものを建てることにした。


 前日に形にした風魔法を手に纏わせ木材を加工していく。

 木材にほぞを作り、その臍をはめ込むための加工を別の木材に施す。

 こうやって形になっていくとあれこれ工夫してみたくなってくるところだが、残念ながら木組みの特殊加工に詳しくはないため、これ以外の加工は自分には無理だった。どこかに詳しい人がいれば師事してみたいところだが、まあこの世界では難しいだろう。


「ねえ。これはここにおいておけばいいの?」


 次に加工する木材を持って来たアンジェが確認のために声をかけてきた。


「そこで問題ないよ。ありがとう」


「いいえ」


 そう言うとアンジェは次の木材を取りに木材置き場へ戻っていった。


 アンジェも先に宣言した通り、家づくりの手伝いをしてもらっている。まだ、加工前後の木材を運んでもらうくらいしか手伝ってもらうことはないが、木材の加工が終わればそれを使って家の骨組みの組み立てを手伝ってもらうつもりだ。


 そして加工した木材を組み置く家の基礎は、ミシャに頼んで土魔法で頑丈なものを作ってもらった。

 できる限り固く作ってもらったので、もとは土でも石並みにカチカチの強固な基礎になっている。


 間取り的にはそこまで複雑な物ではないが、これぞ家の基礎といった見た目になったため結構興奮した。

 ただ、この世界的にはあまり見ない工法らしく、ミシャを含めた3人はどうしてこんなことをするのかよくわかっていないようだった。かくいう俺もあまり詳しいわけではないので、理由を聞かれても答えることは難しいのだが。


 3人からあれこれ話を聞いた限り、都会に出ない限り高床式のような家や石積みの家が大半のようだ。都会の家は木材やレンガなどを複数使った、前世でよく見たファンタジーに出てくるような家が多いらしい。

 らしいという曖昧な言葉を使った理由は、3人とも都会に出たことがなく、人伝で聞いてそういうものだと認識しているだけだったからだ。


 それとついでにわかったことだが、地震などの自然災害が割かし少ない世界らしい。

 そのため、そこまで家を頑丈に作る必要はないのかもしれないが、何かあった時に不安になるような家は御免なので予定通りの家を建てるつもりだ。

 俺だけが住む家ならともかく俺以外にも住む人がいる以上、何かあってからでは遅いのだ。できる限り頑丈で住みやすい家を作らないとな。



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