17 使い方次第
レナとミシャに一通り魔法を見せてもらった後、俺も同じように魔法を使ってみることになった。
なるほど。魔力を意識して使いたい魔法をしっかりイメージすることで、そのイメージが結果として現実に反映されるわけか。
火はしっかりものを燃やすイメージがないと魔法にはならないし、水は液体であることを理解しなければならない。風も土もしっかりとどのようなものなのかを把握していないと、魔法として使うのはかなり難しいな。
とはいえ、しっかりイメージできたとしてもその先、才能、いや適性がないと魔法として形を維持することはできないようだが。
レナもミシャもイメージはできても、すべての属性を使えるわけじゃないからなぁ。特にあれだけすごい土魔法を使えていたミシャでも火は起こせないみたいだからな。
そんなわけで一通り使ってみたはいいんだが、はっきり言って結果はあまり芳しいものではなかった。
「ソクサさんはえっと、あの…あまり魔法を使うのは向いてはいないようです。風に関しては一応使えてはいるのですが、実用するには少々その……」
周囲を少し暖かくはできるが火は起こせない、水を出すのは水滴が精々、風を起こせるのは自分の周りだけ、土を操るには出力不足と、どの属性も一般的に魔法を使えるという基準を超えていない結果にミシャが言い辛そうに俺にそう告げた。
「いや、それでも獣人としては相当使えている方なんだけどね。あたしが知る限り、獣人だとその程度だったとしても使えるのは数人しか知らないから」
今までの光景を見ていたアンジェからすれば、純粋な獣人である俺がこの程度でもできているのは相当すごいことらしい。その後に自分だけ魔法が使えないことを愚痴っていたが、別に使えなければならない理由はない。
まあ
魔法が使えないからといってアンジェを仲間外れにするつもりはないし、邪険に扱うつもりもない。他の2人も同じだろうが、本人がそう感じてしまうのは俺たちではどうすることもできないんだよな。
まあ、アンジェの場合、魔法が使えなくても家事全般ができるからレナとミシャとは違った面ですごく助かっているんだよな。
ただ、レナやミシャならともかく俺があれこれ言ってもいいように取られないような気配がするから言葉には出さないけどさ。
「アンジェさんは料理ができるじゃないですか。そちらの方が羨ましいです」
この中で料理がまともにできるのは俺とアンジェだけだ。
「あ、あー、あなたはアレだったわね。いや魔法を使える方が役に立つでしょ」
レナもあまり家事全般ができない感じだったが、ミシャは本当にやばかったからな。箱入りの娘みたいに育てられたのかってくらい、家事全般本当に何もできなかった。料理に関しては本当に危なっかしくて任せられなかったし。
「いえ、魔法が使えるよりも常に必要になる技術を持っているアンジェさんの方が役に立っていますよ。魔法なんて常に使うものではありませんから」
「そうかしらねぇ」
ミシャの言葉にアンジェはまだ納得していないようだが、確かに魔法は常に必要としていない。レナが毎日火をつけてくれてはいるが、毎日使うような魔法はそれくらいで、他は必要になったら使う感じだ。
その火だって夜の間も消えないようにすれば毎日使う必要もない。
「得意なところで手を貸してくれればそれでいいんだよ。全員が何でもできる必要はないだろう」
「そうですよ」
話の流れに合わせてそれっぽい発言をしたらレナが大きく頷いて肯定してくれた。
「それならいいんだけど」
ようやく納得してくれたのかアンジェの表情が少しやわらんだ。
それからあれこれとやったものの俺の魔法は最初に出した結果以上の成果は得られなかった。
「やはり、ソクサさんはあまり魔法を使うことに向いていないようです。魔力はたくさんあるようなので持続力はあるのですが、如何せんうまく魔法が発動していないので……」
「風属性だけは火おこしの時に使えそうだけどね」
「ですかねぇ」
苦し紛れに使えそうな用途を言ったレナだったが、ミシャとアンジェは首を傾げた。
そもそも魔法で火を起こしている以上、空気を送って種火を大きくする必要がないんだよな。下手に炎を大きくしても危険なだけだし、薪の消費も増すだけだからあまりいい使い方とは言えない。
そもそも俺が起こせる風は自分の体の周りだけだし、火おこしに使うとなれば相当体を近づけないといけない。今までのことを鑑みれば大丈夫だと思うが、見た目は相当危なっかしく見えるだろう。
しかし、体の周りであれば結構強い風を起こせることはわかった。範囲が狭すぎて一般的な使い方ができないがそれでも使うあてはいくつかあるだろう。
細かい部分の掃除にも使えるだろう。体を洗った後の毛の乾燥も早くできるだろう。
これだけだとしょぼいかもしれないが、ゲームで見たことのある風の鎧みたいにすれば、投擲物の直撃を避けることができるかもしれない。弓矢とかもおそらく弾けるだろう。剣で切れない体毛があるの段階で必要かどうかはわからないが。
「いや、これでも十分悪くないぞ」
しかし、それ以上にあることができるんじゃないかと俺は思っている。
「え?」
「俺の風魔法でも十分できることがあると思う」
これだけのことができるなら、おそらく俺が想像していることもできるようになるはずだ。
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