第588話 国王陛下の拭えぬ不安

今回は運良く俺達だけで撃退出来たけど、国軍だけだと1万の騎馬兵相手では厳しかっただろう。


尤も砦にはちょっとやそっとでは子えっられ無い様な城壁を作ってあるので大丈夫だと思うが、持ち堪えて居る間に援軍が駆けつけられなければ意味がない。


そう言うスクランブル出動の様な訓練をした方が良いのではないかと、王宮に具申するのであった。



今回の一件もあって国王陛下はより一層国境の防備が心配になったようでもっと砦を増やすべきかと俺に尋ねて来るのであった。


現状で11箇所の砦を築いており、これだけでも十分な範囲を警備出来る様にはなっている。


なのでこれ以上作ったとしても余り効率的とは言えないので、そんなに不安であれば防御力はないけど防御力のある砦ではないけど簡素な監視塔だけを増やしたらどうだろうか?と提案したのであった。


監視塔とゲートのみであればコスパが良くそれ程高額にならないと言う事を説明し、その説明に安心したのか即決でGOが掛かるのであった。


コストが安くなった事で気を良くした国王陛下は宰相閣下に命じて砦と砦の隙間を広範囲に埋める様に監視塔を沢山建設する様にめいじたのであった。



砦に比べ1箇所当たり安く出来るとは言え、それでもそこそこの価格となる監視塔を今夏のオーダーではなんと、一気に20箇所も増やすと言う事であった。



こうして俺はオーダーを頂いた簡素な城壁を持つ監視塔を20箇所建築しに廻るのであった。


1ヵ月半掛かって20箇所の絶妙な位置に監視塔を建築して国軍に引き渡した。

砦と違って短納期で引き渡した事は大いに喜ばれた。


そして引き渡しが完了した監視塔が直ぐに稼働し始めた。


但し砦と違って快適な設備が無い監視塔は任務に着く兵達に非常に不評であった。


それは当然と言えば当然で、長い階段を上り下りしてトイレに行ったりしなければならず、一休みする温度調節された休憩室も無いのである。


尤も任務時間は1日8時間の3交代制である。暇なので居眠りしてしまいそうになるのが最大のネックとされている。

こうして従来の砦に20箇所の監視塔の体勢が組まれて行くのであった。


しかしこの体勢になってから早3ヵ月で監視塔の1つから騎馬兵の土埃が見えるとの報告があり、あわてて王宮騎士団と王宮魔法師団がスクランブル出動するのであった。


今回は200騎程の威力偵察だったらしく、此方の方の軍勢を確認したら、大慌てでUターンして戻って行ったのであった。

今回は大事にならずに済んでホッと一息と言う事であったが、この一件からも判る様にローデッシュ王国は先の戦で懲りる事無く幾らでも攻めて来る気満々である事が判った。


これには王宮も頭を抱えて居る状態である。


通常の国であれば王都を落とされたり国王を打たれたりすれば国の親族や内政の混乱があってそれ処では無くなるので戦を仕掛けて来なくなるのだが、このローデッシュ王国だけは他の王国と違ってそもそも国の主体が不明でつかみ所が無い為に手の打ちようが無いのであった。


結局積極的な攻撃による防衛は出来ずに現在の様な消極的な防御方法しか手が無いのであった。



監視塔20箇所を引き渡した後も何か敵の動きが在る度に俺は王宮に呼び出されて、結局現場に『総司令官』として派遣されるのであった。


仕舞いには、国軍の監視兵から直接俺の所にも第一報が入る様にまでなってしまって、いつの間にか立場上拒否も出来ず苦笑いするしか出来ない俺であった。


今回のローデッシュ王国軍勢は策士なのかちょこちょこと彼方此方の監視塔や砦の近辺に姿を現し、俺達をあざ笑うかの如くにUターンして去って行く。


恐らく空中から追撃を掛ければ追撃が出来るのだろうけど、それが出来るのは我が家の魔法部隊と王宮魔法師団の極一部のみであった。


よってタイミング良くスクランブル出動して追撃出来るかは微妙だと言う事である。



こんな事ならいっそ一気に攻めて来てくれた方が何倍もスッキリ対応出来るだろう。


こうして我が国はスッキリしない悶々と過ごす日が続くのであった。




■■■


季節は変わり夏である。今年の夏は暑く雨が少ない。


ソロソロローデッシュ王国に動きが有るんじゃ無いかと思っていた矢先にに20番目の監視塔から敵軍の急報が入ったのであった。


今回のは威力手一殺ではなく本気の侵略行動の様だと監視塔の警備兵から2~3万規模の騎馬兵との悲鳴に似た報告がった。


俺は取り敢えずオオサワ騎士団とお魔法部隊、ジュンペイにナツキちゃんを引き連れて10分掛からずに急行したのであった。



俺達はまず敵兵の数を減らすべく何時もの様にミスト・バーンで削る事にした。敵軍の上空からミストバーンの気化魔力の靄を充満させて、一気に爆発させてチュッドーーンと言う爆音と共に

1万近い兵にガメージ与えたのであった。

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