第587話 長閑な時間とその後の対策

2箇所目の砦の建設は慣れもあって最初の砦よりも早く1ヵ月半で完成した。


その後も残り3箇所の砦を同様のペースで建築して1年は掛からなかったものの、約8ヵ月の月日が掛かったのであった。


幸いだったのは建築中に何も攻めて来なかった事である。


一心不乱に建築して警戒を怠って居る所に攻め入られてしまうと、幾ら我が精鋭の魔法組と言えど損害なしでは済まない可能性があるからである。


こうして完成した5箇所の砦を国軍に引き渡して無事に役目を終えたのであった。



報告を終えた後王宮から報奨金を頂き、携わった魔法組にその報酬を分配してからお疲れ様の感謝を込めて少し長い休暇を与えたのであった。


今回5つの砦を増設したわけであるが、これで万全か?と言われると相手が機動性に優れた騎馬民族であるが為に砦の無い所を突かれるとアッと言う間に突破されるだろう。


であれば万里の長城のような城壁を国境戦に張ると言う非現実的な案もあるものの、我が魔法部隊を総動員したとしても数年掛かって半分さえ完成しないだう。


よって現状通りに砦を作り監視塔から国境戦を警備することが際斬の策であると言えるのであった。



俺は久々に自宅でノンビリ孫を構いながら過ごしている。


子供の成長は早い物でちょっと目を離した隙にアッと驚く程に成長している。まだ這い這いすらおぼつかなかったジュリーちゃんが砦を完成させて家に戻って来たらもう自分の足で立って身体強化を自然と使ってヨチヨチと歩いているのである。


勿論砦建設中も毎日自宅に帰って寝て居たけれど、こうしてユックリと孫と接する暇も無くて殆ど食べて風呂に入って寝るだけの生活になって仕舞っていた。


なので久々にジュリーちゃんに接してその成長っぷりに驚いた訳である。


一方アルス君はもう立派なお兄ちゃんとなって居り魔法も剣術も使える様になって日々怠る事無く訓練に勤しんで居る。


この分ならアルス君を森に魔物狩りに連れて行ったとしても問題が無いだろう。


そうして俺とジュンペイはアルス君を連れては王都の横の森に魔物を狩りに出かけたのであった。


アルス君は上手に魔弾でホーンラビットやゴブリンを仕留めてニコニコと微笑んで居た。


この子もそうであるが、我が家の血筋の子は何でここまで魔法に長けているのだろうと不思議に思う程に落ち着いて一発一殺の魔弾で魔物を1匹また1匹と屠って行く。


結果、7匹のホーンラビットにゴブリンを13匹、更に格上であるオークまでも1匹仕留めたのであった。


尤も流石にオークは魔弾では倒せないと思ったのか、とても7歳とは思えない冷静な判断でストーン・ブリッドに切り替えてヘッドショットをキメて可愛くドヤ顔をして居たのだった。



こうして穏やかな日が流れて行くのであった。


■■■


長引く不安定な戦況もあって砦を5つ増やした訳だがそれでも尚防御しきれるか判らない為に負う今日から再度王宮から呼び出しがあって更に砦を5つ増やして隙間を埋めたいとの打診が有った。


現国王は慎重な方だけあって、出来るだけ不安要素を取り除き念には念を入れたい様である。


そして結局砦の増設工事を仰せつかったのであった。



まあ丁度長期休暇も終わってこれと言って魔法組の最重用な課題も任務もなく訓練に明け暮れて居たのでこれ幸いと引き受けたのであった。


今の魔法部隊(魔法組)は自然と人数も増えてより効率アップして建築が出来る様になって居る。


こうして1箇所の砦を建てるのに以前より短縮された工期1ヵ月ちょっとで建てて廻っていた。


しかし最後の5箇所目を建設して居る現場にいきなり騎馬兵の軍勢が現れてしまい、いきなり予期せぬ戦闘に発展するのであった。


騎馬兵の巻き起こす土埃を発見した1人が大声で「敵襲っ!!!」と声を上げて警告を発する。


見ると向こうの方から約1万の騎馬兵がこちらに向かってやって来るところであった。


5つ目の砦は最初に城壁から着手した事で幸いにも最低限の防備は可能である。


俺は急ぎオオサワ騎士団と王宮に連絡して急遽此方に援軍を呼び寄せる事にしたのであった。


俺はアレコレと色々冷静に師事を出して真っ直ぐ此方に向かって来る騎馬隊の一団をみんなと一緒に待ち受ける。


そして射程範囲に入った所で相手側が攻撃して来たのを見てから、攻撃開始の号令を出したのであった。

但し建設途中であった為にスタッフ達の魔力はかなり減って居て枯渇でうごけなくならない様に無茶をさせられない。


敵軍は弓矢や魔法による攻撃を仕掛けて来て居て空に向かっては垂れる弓矢にさえ気を付けて居れば負傷することは無さそうである。



そして俺は単身ゲートで騎馬隊の前に出て極光のレーザーサーベルで一薙ぎして一挙に数百騎の騎馬兵を薙ぎ払った。


一気に最前列が殲滅されたことに怯み硬直する騎馬兵達をひとにらみにした後、再度一薙ぎしてからゲートで砦に戻ったのであった。



砦に戻ると、オオサワ騎士団の面々が威風堂々と整列して居り非常に頼もしく見えたのだった。



戻った俺の姿を見てザッと一斉に敬礼をするオオサワ騎士団。


俺は魔力が枯渇気味の魔法部隊を休ませて置き、その間に魔力が潤沢で買い俺に似て魔力回復効率の良いジュンペイとナツキちゃんの2人をここに呼び出し、騎馬兵達をどう料理するかを考えるのであった。


取り敢えず、前の戦の時と同じように敵兵の真ん中にミスト・バーンをお見舞いして混乱した所に騎士団を投入するプランで行く事にしたのであった。


俺とジュンペイ、ナツキちゃんとで敵陣営の真上に隠密モードで出てミストバーンの気化魔力を放出し始める。


今回は3人での発動なので余り広範囲には出来ない物の十分に硬貨が望める頃合いを見計らって急いで退避して着火する。


チュッドーーンと爆音の一瞬後に衝撃波が一体を包み込みあらゆる物を薙ぎ倒していた。


そして直ぐ様騎士団をゲートで送り出して追い打ちを掛けさせる。


敵の騎馬兵が半数程度に減った頃合いに退却の合図が出たらしく敵陣営が砦の前から馬に乗って走り去って行く。


騎士団には退却命令を出して一度砦へと期間させたのだった。


一度は撤退させた物の何時舞い戻って来るか判らないので、敵兵の遺体の処理と護衛も兼ねてオオサワ騎士団には居て貰った。


一休みして居る頃に漸く国軍と王宮騎士団に王宮魔法師団のご一行や送れてやって来て俺達だけで敵兵を排除したのを知って驚きながらも悔しそうにしていたのであった。



其処で俺達砦の完成に専念して急ぐ事とし、砦の前に散乱して居る敵兵の遺体の処理をオオサワ騎士団と連携して行って貰う事にしたのであった。


遺体の処理が終わる頃にこの最後の砦が完成して、無事に国軍に引き渡しが完了して我が家へと帰るのであった。

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