第585話 ローデッシュ王国の実態

王都に戻った俺達は、王宮へと報告に上がり、故国王陛下より労いのお言葉を頂いたのであった。


これでローデッシュ王国が2度と我が国に侵略して来ないと良いのだが、そもそも謎の多い国だけになんとも言えない。


いっそ、ローデッシュ王国に王都に行って、王宮でも在ればそこを攻めて仕舞えば話は早いのだが、そもそも王国と言ってはいるが、聞いた話によると部族の集まりで王宮等無いとの

話なので何とも大元を攻めようが無いのである。


なので宰相閣下とも話した結果、今まで謎に包まれていたローデッシュ王国に探索の手を伸ばして実態と現状の把握から始めようと言う事になったのであった。


そうと決まれば話は早い。


俺は早速自宅に戻り魔法部隊数十名に命じてローデッシュ王国内部を探って王都に該当する首都があるのかを調べさせる事にしたのであった。



それから6ヵ月が経ったがまだ敵の実態も都市さえも掴めず魔法部隊はローデッシュ王国内を彷徨って居る状態であった。


俺の元に上がって来た報告によると、前世の世界にあったパオの様な独特の形状のテントを張った遊牧民の集落は幾つか見かけたがこれと言って我が国で言う様な街や村、況してや都市と言う形態の者では無く、本当に放牧しながらキャンプして居る様な根無し草な生活に見える物しかなかったと言う事であった。


そしてその遊牧民に接触を試みたらしいのだが、言葉が通じずに断念したと言っていた。おそらくは言語が違うのだろうけど、意思疎通ができないのでは話し合いによる解決も共存もあり得ないだろう。


ここに来て初めて前の戦で幾人か殺さずに生かして置いて尋問をすれば良かったと後悔したのであった。そうすればこんな闇雲な苦労を魔法部隊に掛けずに済んだかも知れない。


ここまでで判った事を王宮に報告して無駄な捜索を続けるかの判断を仰ぐのであった。


止める気満々であったが王宮からの返答は意外にも続行と現場の子供等にはハードな内容であった。


尤も毎日日帰りして貰い余分な残業はさせてないので訓練代わりと言えば言えなくもないのだが・・・各人が単独で当てもなく初春の空を飛び続けるのは嘸かし苦痛であろう。


王宮の方でも周辺各国にローデッシュ王国の事についての情報を問い合わせて居るが未だに謎のままである。



冷静に考えて、攻め込まれる様な固定式の都市すら持たないローデッシュ王国は有る意味、『失う物も守るべき物』も無い無敵の国家なのかも知れない。


攻める側で考えるとこれ程旨味も攻め甲斐も無い国は珍しいのかも知れない。


こうして探索開始から早2年が経った頃、続々と一箇所に集まる騎馬兵達を見つけたとの報告が入るのであった。


その中心には特大のパオの様なテントにローデッシュ王国の国旗が高々と掲げられて居りその周囲を取り囲む様に何十何百と言うテントが密集して居るのであった。


つまりローデッシュ王国は通常は散けて暮らして居るが全国集会の様な決まった日に一定の地に集まる習慣の様である事が判明したのであった。


謂わば今この瞬間がローデッシュ王国の首都であり国の全体と言っても過言では無いのかもしれない。今日ここに集まったローデッシュ王国民の千は大凡五万任程。


その知らせを直ぐ様王宮に報告してお窺いを立てると、国王陛下より遺恨を経つ為にも集まって居る今の内に攻めてしまえとの命が飛んだのであった。



直ぐ様前回の戦争時と同様の面子に声を掛けて急遽王都の騎士団の訓練場に招集が掛かったのであった。


我が家からも、ジュンペイにナツキちゃんを含めたオオサワ騎士団に魔法部隊を合わせた500名の混成部隊が直ぐに整列する。


王宮騎士団に王宮魔法師団、そして国軍の兵士達に加え諸侯の私兵や騎士達も含めアッと言う間に1万を切る位の戦力が集まったのだった。


総大将は前回に引き続き俺が指揮を執る事となってゲートを潜った直後の奇襲戦の手順を書く部隊の指揮官に伝達しフレンドリーファイヤーが起きない様に最深の注意を呼び掛けたのだった。


まず最初に我が家の魔法組による、ミスト・バーンで混乱に陥れる事として、隠密モードでゲートを潜って敵の上空からミストバーンの準備を開始する。


十分に帰化魔力が充満した頃合いを見計らって慌てて俺が合図を出してゲートで退避にしつつ、点火する。


チュッドーーンと言う爆音と衝撃波で辺り一面飛び散るついさっきまで人であった何か・・・。


ゲートで戻った魔法組が予定通りに複数のゲートで一気に1万人余りの部隊を移送して来る。


やって来た者の多くは硬直したりミストバーンの起こした惨状に目を覆い、中には嘔吐する者も少なくなかった。


そしてこの奇襲は絶対数的なハンデを跳ね返し、僅か3時間程で粗方制圧を完了したのであった。


さて、この戦闘のミスト・バーンで俺のレベルがアップし下記の通りとなった。

*************************************************


名前:トージ・フォン・オオサワ

レベル:22

HP:240/240

MP:1575/1595

力:320

知能:1146

器用:1146

俊敏:1146

運:20

スキル:魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 気配察知 剣術 投擲 魔力超回復 (偽装) 錬金 料理

    気配察知

加護:(創造神ロキシーの加護)


*************************************************


最近戦でばかりレベルアップしている様で気が滅入って仕舞うが、こればっかりは致し方無い。


さて、件のローデッシュ王国の国旗が高々と掲げられていた一際デカイパオであるが、パオ自体は爆風で吹き飛んだものの、中に居た国王と思しき人物は捕獲に成功して居る。


尤も言葉が通じない事もあって、生かして確保したものの尋問は手子摺りそうである。


まあそれは俺の仕事出ないので知ったこっちゃ無いのだがな。


こうして無傷の圧勝と言う結果で奇襲戦を終えたのであった。




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