第576話 トージ暗躍する
どうやら現国王陛下は簡単に人に流されてしまう様なので国王としての資質が有るのかが疑わしい。
こうもアッサリ前言撤回されてしまうと、もし仮に今回これからゴネに言って先の通りに意見を変えてもまた別の奸臣が現れて操ろうとするかも知れない。
そう考えると今回取り巻きだけを処分したとしても無意味となる可能性がある。
折角せめて来た王宮騎士団を無傷で制圧して監禁したのに無駄になってしまうだろう。
前世での一件もあるし迂闊に国王陛下を抹殺すると思わぬしっぺ返しを食らって命を落としかねない。と過去の人生を思い返して思案するのであった。
現国王陛下の弟である旧第二王子殿下は現在クラウツベルグ公爵当主となって王宮からは離れて居られる。
とは言っても、そのクラウツベルグ公爵が現国王陛下よりマシなのかはお人柄を全く知らない為に何とも言えない。
そこで俺は現国王陛下が退職に追いやった元宰相閣下に連絡して話し合う事にしたのであった。
元宰相閣下デアルグラウツマン公爵に電話を掛けると待ってましたとばかりにワンコールで電話が繋がる。
俺は事の次第を詳細に話して今後の対策と、現国王陛下の弟君であるクラウツベルグ公爵のお人柄についてを率直に尋ねたのであった。
俺のこの質問にピンと来たのであろうデアルグラウツマン公爵が声のトーンを落とす。
結果から言うと、弟君であるクラウツベルグ公爵のお人柄は申し分なく、単純に何方が国王の器かと問われるのなら100点満点で推せるお人と言う事が判ったのだった。
産まれた順番さえ間違って無ければ今俺達はこんな苦労をして無かったであろう。
話は少しズレるが、現国王陛下は結婚もして居らず従って子供も居ない。なので現状国王陛下に何かがあった場合の王位継承権第一位は弟君であるクラウツベルグ公爵になるのである。
こうして俺は元宰相閣下との秘密会談を終えて、打ち合わせ通りにまずは国王陛下の取り巻きをこの世から秘密裏に排除することにしたのであった。
本来なら暗部に頼みたい内容であるが我が家には暗部に相当する部門もないし、それを子供等の手を汚させて行うのは嫌なので俺自らが行う事にしたのであった。
■■■
ゲートで王宮に移動を起動して完全に一目に付かない透明化になって国王陛下の側近達の執務室を探る。
そうすると好都合な事に、宰相用の執務室に五人全員が雁首を揃えて悪巧みをして居る最中であった。
俺はそれをここぞとばかりに前世で作った魔動カメラの動画モードで記録して置き十分に証拠が取れた所で鉄槌を下す事にしたのであった。
さて、ここでの殺し方であるが、出来るだけ綺麗に自然に殺すべきだろう。
俺は、雷魔法のパラライズで五人を麻痺させた後、水球で顔を覆って1人又1人と窒息させて処理して行くのであった。そして、最後の仕上げには、この五人の死体を『時空間庫』に一旦仕舞って、今度は国王陛下の執務室に向かって、好都合な事に単身でいるのを確認した上で、
国王陛下にもパラライズを放って麻痺した状態で同様に水球で窒息させてから、取り巻き五人の死体を出して気絶状態の陛下の手足を押さえてる風に形作って宰相の手に握らせた短剣で陛下の心臓を一突きしたのであった。
そう、恰も取り巻き五人全員が寄って集って陛下羽交い締めにして亡き者にした様な絵図である。
この世界には鑑識による指紋照合も死亡時刻を推定する様な知識も何も無い。 これで真犯人が俺と結び付ける者は皆無であろう・・・。
一連の汚い仕事を終えた俺は自身の身体にクリーンを掛けて、身も心もクリアにして王都邸に帰ったのであった。
それから2日もすると国王陛下訃報が王都に居る主要貴族の間に元宰相閣下の発信で流れ、俺はニヤリとするのであった。
そして、その訃報の後に武装解除して監禁して居る応急騎士団の面々を元宰相閣下の要望と言う事で特別に解放することにしたのであった。
あまりの琴子展開に着いて行けずポカンとする応急騎士団長とその団員達に、国王陛下を意のままに操ろうとした取り巻き連中が陛下を取り押さえて暗殺してしまったらしいと、あくまで『陛下の名を騙った亡き宰相からの命で我が家に攻撃命令は取り巻き連中の仕業であり誤った命であった』と信じ込ませたのであった。
結果として一人も死傷してないが故に若干釈然としない風ではあったものの、比較的簡単に騙されてくれたのであった。
こうして、王国は直ぐに時期国王の戴冠式を執り行うべく王位継承権第一位のクラウツベルグ公爵が国王陛下となるのであった。
国王陛下の戴冠式に合わせ固定式ゲート網のリモート起動を行って3週間ぶりにゲート網が正常に起動し始めるのであった。
尚、前国王陛下を暗殺した罪で五人の取り巻きの家はお取り潰しとなり、その財産は没収されて、今回の一件で不利益を被った我が家やその他の関係各所の補填に充てられたのであった。
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