第574話 子供等の成長と訃報

俺が大侯爵となってから早4年が経過してナツキちゃんも10歳になった。子供の成長は早い物である。


いよいよ王立学園に入学となりこれまでの様に3人でダンジョンに行けなくなってしまった。


ユキちゃんも好きな男性を王宮魔法師団の同僚の伝手で見つけてしまい、アッと言う間に結婚してしまった。所謂貴族間では珍しい恋愛結婚と言う訳だが

こう言う場合何度体験しても娘を送り出す父親と言うのは寂しい物である。結婚のぎでは謀らずしも号泣してしまいチェリーに慰められたのであった。



一方奥手なジュンペイは特に好きな女性も居らず結局俺の方に来た縁談話でお見合いをして、バリントン侯爵家のご令嬢であるマリシア嬢と婚約したのであった。


マリシア嬢はジュンペイと違ってコミュ力があり、会話に掛けてはジュンペイをリードしてくれて居る様で上手くバランスが取れて居る様である。



さて我がオオサワ領であるが王国内で一番税が安い領地であるものの、色々な経済効果の複合で税収は鰻登りに上がっており、王国に収める税金も王国随一の金額となって居る。

まあ税収の殆どを占めるのはオオサワ商会の収益から来る税ではあるが、家の商会以外の商会の売り上げに掛かる税収も馬鹿に出来ない位多く在るのである。



ここのところ国際情勢は安定しており、特に紛争も侵略も無く平穏である。なので折角増強した騎士団は治安維持に、魔法組改め『魔法部隊』も建設現場意外に活躍の場は特に無い。


平和な事は良い事である。


俺はする事が無い日はマリシア嬢とのデートに出かけてしまう嬉し気なジュンペイを見送り、これまでとは違って1人寂しくダンジョンに潜るのであった。


■■■


長い冬が明けた頃、王宮の方に少し良く無い変化があった。


これまで週1回のペースで高級レストランに通っていた筈の国王陛下が子供等の報告ではここ数週間来てないのである。


これはどうやら国王陛下の健康状況に良く無い変化があったのではないかと言う噂が流れている。


普段から運動せずに不健康な生活をしていたらそりゃあ健康だって壊す可能性もあるだろう。


国王陛下の1日も早い回復を祈りつつ日々を過ごして居るのであった。



しかしそんな俺の祈りも虚しく国王陛下は急激に病状が悪化して発作を起こしてしまい、崩御してしまったのであった。



この訃報は王国全土を駆け巡り、アッと言う間に王国全体が無き国王陛下を悼む雰囲気となったのであった。



まさかあの食いしん坊の温和な国王陛下が、こうもアッサリと逝くとは思いも寄らなかった・・・。



こうして王都で国葬が行われる事となり、その際に王太子殿下が王位を継ぐ事となったのだった。


国葬の式典は新国王の王位継承まで含めると何だかんだで1週間掛かり、その間の沈んだ様子の王都民からも亡き国王陛下が如何に慕われて居たのが垣間見えるのであった。



そして我らがアインランド王国に新しい若き国王が誕生したのであった。


本来であれば新国王の誕生は目出度い事なのだが、その経緯が経緯の為に王都は浮かれたムードにはなっていないのだった。




新体制となった王宮であるが宰相閣下はそのまま宰相として残留となったものの、王太子の取り巻き何名かが要職に抜擢されたのだった。



この取り巻き達の要職就任は王太子改め国王陛下の意向を傘にして傍若無人を働いたりと非常に多くの問題を引き起こし呼び全国王陛下の際にはなかった様な問題で王宮の結束を乱すのであった。



この王宮の非常事態に宰相閣下が国王陛下を諫めようと意見を具申するものの聞こえの良い言葉ばかり並べる取り巻き達に掻き消され、その結果宰相閣下はお役御免となり誰も止める物がいない状態となったのであった。


王宮からの急激なお達しによってアインランド王国内の税率が変わり国内が大混乱に陥り、その影響は少なからず我がオオサワ領にも及ぶのであった。


具体的には今まで固定ゲート網の運賃から数%を収益としてもらい受けそれを建設費無料の財源としていたのだが、その建設時の系約に基づいた数%を無理矢理徴収し我が家の収益を0にしたのである。


これにはおれも激怒して国王陛下にお目通りを願うも、新しく宰相となった取り巻きの1人が俺を寄せ付けずに謁見は出来なかったのだった。


これはもうしょうがない・・・・直ちにゲートの仕様をリモートでシャットダウンして王都を中心とするゲート網は不通状態となったのだった。


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