第572話 カサンドラスとオオサワ領の開発

結局イザ自分の所の開発となるとついつい欲がでてしまい、思いっきり突っ込んだ結果、工期に1年も掛けてしまって、その結果道路と言う道路は裏路地まで舗装して王都以上の出来映えとなったのだった。


お粗末だった旧代官屋敷もキッチリ大侯爵邸に建て替えて、何処から見ても恥ずかしく無い地位に見合った歳となったのだった。


その結果当初は数千人すら住んで居無かった旧は領民数万人となる一大都市と生まれ変わったのであった。


今やカサンドラスに出店して無ければ大商会と認められない程にまでとなっており、オオサワ商会の本店のある領都カサンドラスはある意味王都以上に商業の都市となっていた。


それに伴って我が家のスタッフの増員にも着手して騎士団は倍の人数にしてそれに加えて衛兵も雇って領内の治安維持に努めた。


それとは別にオオサワ商会の従業員としての孤児院卒園者を優先的に雇って我がオオサワ家は一大勢力となったのだった。


別に謀反を起こすつもりは無いのだがこれだけの勢力にまで成長させてしまって王家から訝しがられないかと少し冷たい汗が背中に流れるのを感じるのだが、探られても疚しい所は無いので、敢えて堂々としているのであった。


さて領都カサンドラスの開発が終われば当初の予定通り領地内の各村々の整備や開拓である。


既に各村々と領都カサンドラスはゲート網で結んでるが、城壁の建設に伴って井戸の水の出が悪いだとか細かい要望を聞き入れて生活環境を整えてやって廻る。


これによって各村々の領民の士気が上がってそれが収穫量に反映されて彼等の暮らし向きが良くなる事を祈るのであった。



ここまでで、カサンドラスの開発を終えてから1年が過ぎてしまっていたが、これでもまだまだ領地内に未開拓の地が多くあるのには我が領地ながら驚いてしまう。


国王陛下と宰相閣下が持て余して居た休眠地を一気に俺に引き渡したんでは無いかと思ってしまう程である。


何しろ領民は現在も尚増える一方なので、開拓村の村民募集を掛けると未だに多くの募集が在って直ぐに埋まる程である。

それもその筈、通常開拓村とは何も無い状況から井戸を掘ったり城壁ならぬ柵を作って害獣や魔物から村を守ったり、自分らの住む小屋を建てつつも畑を耕して来たるべき来年の春に備えたりと決して楽では無いスタートとなるのである。


では何故そう言う開拓村の募集に人々が乗って来るかと言うと、現状で食い扶持にあぶれて居たり現状の村の畑が限界を迎えて居たりして弾き出された結果で在るからである。


なのでハードスタートを覚悟して死ぬ気で応募して来るのが通常であるが、我が領地の開拓村の場合、最初から、城壁とか井戸等の安全に住むインフラを完備して居るだけでは無く畑もある程度土魔法で土を裏返してあり、更に土魔法で建てた簡易的な小屋まで付いてゲート付きなのである。


つまり、ハードスタートでは無く、住んで生きる事に必要な要素が準備されてる所からスタートして移住した翌日じから農作業に入れる環境で、しかも、開拓村に移住してから、3年間は無税で尚且つ、作物が育って軌道に乗るまでの優遇措置として食料の援助もして貰えるとあっては、下手な領地の辺鄙な村で農民をやっているよりは断然待遇が良いのだ。


そして人間食うにも困らない明日の夢を見られる状況を得ると自然と結婚して子を生すのである。そんな訳でわが領内ではカサンドラスだけで無く書く農村に於いてもベビーブームで人口爆増中である。




其処で俺は領民の為の領民向けのオオサワ領立学校を建設する事にしたのであった。


これは3年制で領民の子供出有れば何れも無料で入る事が出来て、読み書き計算や初級の魔法を教えるカリキュラムとなっている。


この世界の識字率は数字だけ読める人を含めて60%未満で、計算が出来る人間となるともっと壊滅的に少なくなる。


そう言う意味で孤児院で読み書き計算を教え込まれた孤児達は金の卵となる筈なのだが、何故か人気が無いのが現状である。


尤もそのお陰で我が家は有能な人材を豊富に得られるのでありがたい限りである。





と言う訳で オオサワ領立学校を設立した事で移住する人が増えてより一層オオサワ領が発展するのであった。


とは言え、こうした一人勝ち状況を苦々しく思う貴族家は多く、これまでより周囲の貴族の羨望と言うか嫉妬の眼差しが厳しい物になるのであった。


前世戸違うのは、これによって直接的な攻撃を仕掛けて来たい嫌がらせや横槍を入れてくる貴族が居ない事である。それだけでも前世よりはマシな世界であると言えるだろう。


なので表向きは余り他家の貴族を刺激しない様に心懸ける俺であった。

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