第571話 全貴族招集

それから間も無くして王宮より各貴族に招集の命が届く。


通常なら全貴族では無く主要貴族のみの招集となるのだが今回は余程重要な用事な発表があるのか、全貴族が対象となって居るのが少し不安である。

既に同盟国の大戦も終わって平和になった筈である。


我が家の重宝期間からも不穏な情報は上がって来ていないし、思い当たる事は何もないのである。


また争い事等出ない事を祈りつつも命ぜられた日程通りに王宮へと赴くのであった。


謁見の間に到着し所狭しと居並ぶ貴族達。俺もその中に混ざりつつ見知った貴族と談笑をして謁見が始まるのをジッと待ったのだった。


程無くして国王陛下と宰相閣下が現れる。


「皆の者、急遽呼び出しして大儀じゃった。」と国王陛下が口火を切った。

これは非常に珍しく通常であれば宰相閣下から事前の説明等を行って締めの言葉程度を発言されるのが常である。

微妙に胸騒ぎがするのはきっと俺だけでは無いだろう。


そしてその後を宰相閣下が引き継ぎ発表を続けた。



「この度、公爵位の上に1つ大侯爵と言う爵位を設ける事を皆に宣言する。そしてこの大侯爵の初めての授爵者はオオサワ卿となる。」と続け更に俺が如何に先の大戦で貢献したかや同盟国のゲート網構築等、貢献内容をズラズラと並べ挙げたのだった。


俺が先日王太子妃の件を断った事で急遽考えたのであろう。

「オオサワ卿、大侯爵として今後も我が国の為によろしく頼むぞ!」と言う国王陛下に対して臣下の礼を取り「はっ、ありがたき幸せ。謹んでお請け致します。」と返したのであった。


並べられた功績の数々のお陰か何処からも反対意見は上がらずに全員から拍手が沸き起こったのであった。


突然の事の成り行きに少し照れつつも頭を掻きながら談笑をしてその後は解散となったのであった。



そうそう、1つ誤算だったのは侯爵家に並ぶ爵位『大侯爵』となったオオサワ家をこのまま法衣貴族のままにして置くのも体面上悪いとの事でとうとう俺も領地を授かって仕舞う事となってしまったのだった。


これには俺も顔が引き攣ってしまったが、そんな俺に釘を刺す様に何事も美味いところだけと言うのはあり得ないとの事で何やら上手く言い包められて結局仕方無く王家が管轄していた膨大な領地を授かったのであった。


まあ領地運営は前世でも経験済みなのでそれ程困難では無いが背負い込む物や者が強烈に増える為に正直面倒である。


折角今まで自由にやれていたのにそこに関しては非常にざんねんではあったのだった。


とは言え、王家の強権を発動して無理矢理ユキちゃんの縁談話をゴリ推しして来なかっただけでもありがたいと、これまでの前世の王家に比べて比較的に常識を持ち合わせている現王家をありがたく思うのであった。






さて、今回王家の管轄する王領地を大量に頂いた訳だが特に我が家に報奨金が発生して無いのが結構ミソである。


つまり、頂いた領地を委託開発するのなら、じぶんのお金の持ち出しとなるのだ。


これは実に美味くかんがえられててなる程な!と唸ったのだった。


今の所、オオサワ商会で加世田大半のお金が内部留保していて商業ギルドの口座でダブついて居る訳だが、それを間接的に世間に放出しろ!と言っているのだろう。

まあそう言う意味では放出するのも吝かではないのだが、出来る開拓や領地の整備は出来るだけ子供等の魔法組を使って効率良くやって行きたいと思うのであった。



■■■


さて旧王領地であったカサンドラスの街はそれ程のサイズの街では無く、元を辿ればお取り潰しになった子爵家の領地で、大取潰しにあって王領地となった後は殆ど手を加えられないまま現在に至る為、規模的にとても『大侯爵』様の領都としては些かどころか非常に寂しい。


そこで、まずは前世で培った土木技術で今の貧弱な城壁を拡張して大規模な都市としてしまおうと考えたのであった。


サイズ的に王都までとは言わないものの、直径2~3kmの城壁で囲んで管理下の村々もゲート網で結んでしまって何処の村でもゲートの恩恵にあずかれる様にしようと考えたのであった。


序でに各村の城壁もちゃんとした安心出来る物に変えてやっても良いな。


こうして都市化計画が持ち上がって、ノンビリして居た我が家も俄に忙しくなるのであった。


まずは領都となるカサンドラスの都市化である。


元々王家から派遣されていた代官が管理を任せられて居たカサンドラスだが、当面の間引き続き管理をお願いし、引きつりをコジー君にお願いしたのであった。


時の経つのは早い物で今では良い青年になったコジー君は非常に有能で、我が家に無くてはならない人物である。


こうして内政を掌握しつつも、まず手始めに城壁の拡張工事を始めるのであった。


そして王都のゲート網と繋いで人口の流入を促進し、新しい拡張エリアへの誘致も徐々に始めるのであった。


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