第570話 特別講師再び
大戦からここまで日々の教訓によって王宮魔法師団にウィングスーツによる滑空を教え込む補助をする事にした俺は、それに苦労をして居るユキちゃんに申し出るのであった。
斯くしてまたもや俺は特別講師となって王宮魔法師団の本部に通う事となったのであった。
ウィングスーツによる滑空を覚えさせるには魔装やフォース・フィールドの足場から始める必要があり、非常に面倒ではあるが無属性魔法の基本から再度頭に叩き込む事にした。
エリート意識の強い王宮魔法師団の団員にこれまで培った魔法の技術とは全く違う無属性を教え込むのは本当に面倒ではあった。ユキちゃんが如何に苦労して居たのが理解出来る。
とは行っても嘘でも魔法のエリート集団俺が特別講師になって1ヵ月もする頃には無属性魔法をマスターして魔装もフォース・フィールドの足場も物にして好きな価値に展開出来る様になったのだった。
そして最後の難関である重力制御魔法を皆に教えるに際して重力とは何ぞやを教え無重力になれば物が浮かんだまま動かなくなる事を見せてやりそれをマスターするのに、更に1ヵ月掛かるのであった。
漸くウィングスーツによる滑空を体験させる準備が整い生地で作ったウィングスーツで実体験させてから魔装でウィングスーツを作らせて纏い飛ばせるまでに更に1ヵ月の月日が掛かったのであった。
段階を居って噛み砕きつつジックリ教えた結果、事故も無く全員が無事にウィングスーツによる滑空をマスターしたのであった。
これで漸くミッションコンプリートである。
魔法師団長にもお礼を言われてお役御免となったのであった。
ナツキちゃんの可愛い盛りの一番良い時を大戦やその後処理で取られてしまったが、
それ以降は特に問題も事件も起こらず平穏な日々が続き穏やかにナツキちゃんと過ごす日とダンジョンの日を1日置きに作って過ごすのであった。
ナツキちゃんの成長は早く、他の子がそうであった様に早くも魔法の才能を見せつつある。
どうやら我が家の子はみんな魔法の天才らしい。
「とーちゃま」と言いながらヨチヨチ歩いて来る可愛いナツキちゃんであるが既に身体強化を自然と使って居るのであった。
長男のジュンペイも順調に成長しており、最近では少しずつ貴族当主の仕事とオオサワ商会の仕事を教え始めて居り学校と此方とで目まぐるしい日々を過ごしている。
と言うのも直ぐに死ぬ気は無いが戦場に駆り出されたりとこの所気忙しいので万が一に備えてジュンペイにもある程度教えておくべきだろうと思った訳だ。
繰り返しになるが素抜きは無いが単純に万が一に備えての事である。
■■■
突如王宮から呼び出しがあり、何事かと思いつつ王宮へ赴いてみたら先のタキオン王国のゲート網の構築の件と王宮魔法師団にウィングスーツによる滑空を教えた件の尾ホイ目の言葉であった。
「何時もの事ながらトージ卿よ、良くぞやってくれたのぉ~。これまでは最高位の癪意故に卿の貢献に応える術が無かったのじゃが、何か良い手はないかと考えたのじゃ。」と言う国王陛下のお言葉に嫌な予感がする俺。
そして出された次のプランに驚愕したのであった。
何と、ユキちゃんを王太子妃として迎えると言うのである。そして王族の縁続きとなる我がオオサワ家を公爵に叙爵させようと言うなんとも飛んでもないプランであった。
それには流石の俺もお恐れながらと待ったを掛けさせて貰った。
そして、そもそも当家では結婚は本人の自由意志に任せて居り政略結婚や断り辛い結婚を是としていない事を説明し、ユキちゃんの意志を尊重させて貰う事を宣言したのであった。
王宮から邸宅に戻った俺はユキちゃんを招集して上記の事を説明し、ユキちゃんの好きな様に断れる事を明言したのであった。
話を聞いたユキちゃんは大変驚いたものの「ありがたい話だけど、お会いした事もないお方なのでお断りして欲しい。」とお願いされてのであった。
それはそうであろう。角は立つだろうが娘の為である。ここはキッパリとお断りをしてしまおうと心に誓う俺であった。
王宮にお目通りを打診して王宮かっら許可が下りて王宮に赴く。
そして角が立つ事を恐れずにキッパリと断ると、まさか断られるとは思っていなかったのか、大変に狼狽されたのであった。
宰相閣下が横で苦々しい顔をして居り想定外の事態になったらしい事が覗えたのであった。
そもそも前回の謁見の際にその場でお断りする事も許して頂く許可も頂いてあるにも拘わらず、想定して無かったのかよ!と俺は言いたい。
こうして何とかユキちゃんの縁談話は回避出来たのであった。
しかし、この話はこれで終わらなかった。
そのもそもの発端が俺に褒美をと言うところからはじまった話なので俺の癪意を上げるなりしたかったが故の奇策だったのである。其処らの名誉欲のある貴族なら喜んで飛び付いたで有ろうが、生憎俺にそんな欲も娘を犠牲にする気も無い。
なので俺の方では終わった物として考えて居たが、王宮としては面倒な事に振り上げた拳をそのまま収める訳に行かず、次なる奇策を練って居たようであった。
尤もそれを知ったのはこの事の随分先の事であるのだが・・・。
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