第566話 緊急招集
3年の月日が経ち10歳になったジュンペイは無事に首席で王立学園に入学した。
ジュンペイの剣術は俺から習った閃光流とコベンスクさんから習ったグレンラッダ流の良い所取りのハイブリッドとなって、今や俺でも油断が出来ない程の腕前となって居る。
それに加えて元来の魔法の腕前もあるので今や我が家で最強なのは若きジュンペイなのかも知れない。
4歳のナツキちゃんはもう初級魔法を使い熟す様になって、兄姉同様に魔法の才能に溢れて期待の有望株である。
そうそうユキちゃんは王宮騎魔法師団の役職が付いた様で部下も出来たらしい。
今はその部下達にウィングスーツによる滑空を教え込もうと悪戦苦闘しているらしい。
まあ、俺がまた特別講師として教えに言ってもいいのだけど、余り子供の活躍の場を取り上げるのも良くないと思ってグッと我慢しているのである。
きっと必要になったらユキちゃんの方から言って来るだろう。
この様な穏やかな日々が続いていたが、そんな平和な日々はローデッシュ王国が我が国の同盟国であるタキオン王国に攻め入った所為で途切れて仕舞うのであった。
我が国と南西の国境線で隣接する同盟国タキオン王国のさらに向こう側にはローデッシュ王国と言う戦闘民族の様に好戦的な国が素因罪し、我が国としてもタキオン王国が緩衝材となってくれる事で平和を維持出来ると言う事で同盟国となって有事の際には兵を出し合う事で平和を維持する様にしていた。
このローデッシュ王国と言う国は幾つもの部族が寄り集まって構成されているが軍事拡大に余念が無く何年かに1回は周辺各国を発作の様に攻めてあわよくば領土を拡大し、負けた国の民を奴隷として飲み込み膨らんで行くと言う恐ろしい癖のある国であった。
このいくつかの部族の集まって出来た国と言うのが厄介で、所謂王都の様な場所はあっても宮殿が在る訳でも無く本拠が無いので攻めようがない国なのである。
つかみ所と言うか攻め処や要所がないと言う意味では一件スライムのようだがスライムの方が核が在る分攻め易い。
こうして直接我が国の存亡とは関係無い物の同盟国の危機と言う事で王宮に主要貴族の緊急招集が掛かるのであった。
急遽呼ばれた王宮の会議室で事の次第を説明されて俺には緊急でゲートをタキオン王国の王都とその最前線の砦に繋げて欲しいとの特命が下ったのであった。
俺は話もそこそこにタキオン王国との国境に近い都市へ固定ゲートで移動して道を間違えないように地図を写し、直ぐにウィングスーツの滑空で出発したのであった。
タキオン王国の王都までの3週間日中は黙々と只管飛び続け、漸く到着した王都で書状を見せて王都間を結ぶゲートを設置するまでに役1日すったもんだを挟み急いでゲートを設置した後、俺は戦場となっている国境の砦に向かって、再び飛び始めたのであった。
再び空の人となった俺は急ぎつつも道を間違えない様に慎重に只管飛び続ける日々を送ったのであった。
4週間掛かりで漸く最後の都市に辿り着いて一旦地上に降りてゲートを設置してタキオン王国の王都と繋ぎタキオン王国の王宮に最後の都市とゲートが繋がった事を報告を入れた後にピンチ状態の砦へと急いで飛ぶのであった。
こう言う時の為にユキちゃんに協力しウィングスーツの滑空にを部下に教えておけば良かったとチラリと思ったのだが、今となっては後悔先に立たずである。
砦は最後の都市から近く1日も掛からずに上空に到着し、取り囲む軍勢に籠城して必死に耐えて居る状態であった。
俺は、まずは取り囲む軍勢を多少薙ぎ倒して味方の援軍と理解して貰える様にと考えて上空から群がるローデッシュ王国軍に向かって小規模なメテオ・インパクトをお見舞いしたのであった。
突然のドッコーンと言う爆音と大地を揺るがす衝撃にローデッシュ王国軍の兵士も騎士も全員が薙ぎ倒されていた。
騒然とする戦場を横目に砦に着陸して、ポカンとする現場の指揮官に援軍である事を先に告げたのだった。
そしてゲートを先の最後の都市と繋げてれんらくをすると、砦に続々と援軍の兵士や騎士、それに補給物資を持った平坦部隊がやってくるのであった。
これで、孤立状態で困窮していた砦の兵士の士気が一気に上がり、ワーーと完成が上がるのであった。
俺としても今回は何とか間に合った様でホッと一息付いていると、暫く経ってユキちゃん達王宮魔法師団と我が国の軍勢が援軍としてやって来たのであった。
「お父様、お疲れ様でした。」と微笑むユキちゃんに思わず長旅の疲れも忘れて微笑む俺。
今度は道に迷わず、砦の陥落前に間に合ったので本当に良かった。これでお役御免かと一旦王宮に報告に戻る事にしたのであった。
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