第560話 どうやら予想以上に儲かったらしい
ミノ亭オープンから1年、ゲート開通から2年が経過した頃、何故か王宮から突然呼び出しを受けてしまう俺。
このところ悪い事も目立った個共何もして無いので思い当たる節は無い。
なんだろうな・・・と思いつつ王宮に赴くとあれよあれよと言う間に流れる様にまたこの世界でも侯爵位を授けられたのだった。
呆気にとられてポカンとして居る俺はもしかして、ミノ亭の美味しさで叙爵??と?マーク前回だったが宰相閣下からの説明によると、年度末の集計の結果遅まきながらゲートの経済効果で税収が鰻登りに上がった事による叙爵と言う事が判ったのだった。
そんな訳でオオサワ侯爵となった俺はこれまた前世の様に領地を授かる事も無くこれまで同様にお気楽な法衣貴族のままであった。
宰相閣下の言によると、俺の場合領地経営で縛り付けるよりも法衣貴族のままで自由気ままにさせておいた方が国全体としてプラスになると考えたと言って居た。
俺も特に領地を持ちたい訳では無いのでこのままお気楽にやらせて貰う事に否はなかったのだった。
と、ここまではまあ良かったのだが、俺が侯爵位を叙爵してから、これまで割と上位の爵位の家からの側室の縁談等がウザかった過去を思い出すかの様に、今度は買いの男爵や子爵位からの擦り寄りが多くあった。
その多くは、自分らの領地にもゲートを設置して欲しいと言うお願いであったり、お零れに預かりたいと言うのが見え見えのおべっかであったりしたので辟易したのであった。
そこで王宮の方と話し合って伯爵位以下の領地へのゲートの設置に関しての初期導入料金を決めそれを支払ってくれれば『どんな』過疎領地にでもゲートを設置すると取り決めたのであった。
元々ゲートは王都と領地ペアで設置する必要があり1つのゲートを設置するのにもそれなりに場所を取るのである。それを年に1回か2回使うか判らない様な所に他のメジャーな主要都市と同じ利用料金に設置費用を乗せる遣り方を適用出来る訳が無いのである。
そうして、一律に過疎領地への設置料金を設定した後に手を挙げる計算の出来ない領主は居なかったのだった。
まあぶっちゃけ本当は王都と直に結ぶので無く最寄りの主要都市と結ぶと言うプランなら王都の狭い土地を圧迫為ずに設置出来る事も在って王宮側への上納金が易く済む分ので多少割り引いても良かったんだが、それは今更なので口に出さない事にしたのであった。
どうせ作ったところで利用されるか怪しい所である。言わぬが仏? いや知らぬが花か。
そんな感じに有象無象の弱小貴族共のクレクレ攻撃を煙に巻き平穏を手にいれたのであった。
■■■
さて俺のミノ亭やアンテナショップのトージ飯が評判になるに従って俺の所で使って居る特殊な調味料である醤油と味噌等の一般販売を望む声が商業ギルド経由で高まって来た。
そもそもだが当初醸造所の規模や製造能力の問題で一般売り出来なかったのである。なので此方としても醸造所の規模を拡大して製造能力の増強に努めて居たのであった。
そして漸く従来では人員に頼っていた部分も魔動具化して人員を極端に増員せずとも効率化して製造量を増量出来る様になったのだった。
と言う事で醤油や味噌、みりんに日本酒に豆板醤等の調味料をついに一般販売し始めたのであった。
これによって、今まで謎とされてきたトージ飯やミノ亭の焼肉のタレに似せた味を作ろうと各食堂や屋台の反収らが奮起したのであった。
この事で特に王都の食文化は販売開始からのたった数ヶ月で何年分もの進化を遂げるのであった。
尤もチャッカリと王宮でも今回販売開始した調味料類を購入しており、国王陛下と宰相閣下から我が家の極秘レシピ・・・特に焼肉のタレのレシピをクレクレされたのであった。
まあ勿論こればかりは社外秘と言う事で丸っと丁寧にお断りしたのだが、かなり執拗に強請られたのであった。
余談ではあるがゲート網が出来た事で子供達を各都市の孤児院に派遣して必要となる新規の卒園者の就職先としてスカウトに向かわせている。
その結果、王都の邸宅の敷地内だけでは宿舎が足り無くなったので、急遽王都近郊に作った醸造所の方にも宿舎を増やす事になったのだった。
まあやってる事は世界が変われど前世と同じと言われればそれまでだが、そうでもしなければこの世界でも孤児院卒園者の就職は厳しいのだ。
そんな訳で助けになればお互いにwin-winと言う事で俺も孤児達に依存しているのであった。
俺に取っては下手な人材よりも信用に足る子供達なのである・・・。
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