第559話 ミノ亭爆誕

念願だったミノタウロスの肉をゲットした事でミノ亭の出店の二文字が急浮上する。


前世でも人々の舌を蕩けさせたミノタウロスの焼肉をこの世界でも爆誕させようと動き出したのだった。


直ぐに王都の人通りのある良い位置に店舗を購入してテーブル席の数だけ換気扇の魔動具を作り、魔改造を施す。


通りに面した所に換気扇の排気の出口を設けて、匂いに客が釣られる様に仕向けた。


魔動赤外線コンロを新規に開発して炭火焼きの様な焼肉用コンロを作りあげた。


貴族や富裕層用に豪華に仕上げた店内の内装とマッチする様に焼肉用魔動コンロを各テーブルにビルトインし、天井から換気扇のフードを吊り下げる。


そして、開店の準備が整ったら主要な貴族家にプレオープンの招待状を発送したのであった。


こうして準備も整い子供等で疑似客を装っての開業テストを経てイヨイヨプレオープンの日がやって来たのであった。


王都のメインストリートの一等地に突如として現れたミノタウロスの焼肉屋『ミノ亭』はオープン前から王都の話題を独占して居り、前評判は抜群である。



プレオープン当日、店の前に各家の馬車が集まって広い店内に貴族が詰め掛けたのであった。



予め十分な訓練をしていただけあって、何のミスも無くプレオープンは大成功で幕を閉じたのであった。


初めてミノタウロスの焼肉を食べた貴族連中は何時もお上品に振る舞っているのにこの時ばかりは目を見開きウットリとした恍惚の表情で唸って居たのだった。


流石は俺のプロデュースしたミノタウロスの焼肉である。


こうしてプレオープンを経て正式にオープンしたミノ亭は評判が評判を呼んで連日満員御礼状態となるのであった。


アンテナショップのトージ飯の方で広まった箸の使い方も相まって貴族層にも箸文化が根付き、ミノ亭でも箸で器用に肉をひっくり返したりする者が大半を占めるまでになったのであった。


ミノ亭の評判は凄まじく、何とお忍びで国王陛下と宰相閣下が連れ立って突然やって来て慌ててミノ亭を任せて居た子供達から緊急の電話が掛かって来たのであった。

そこで急遽俺が店のホール係として出て、お二方の相手をしたのであった。


国王陛下も宰相閣下もミノタウロスの焼肉を思う存分に堪能して口髭にタレを付けても気にせずに喜んで食べて居たのであった。


「オオサワ卿よ、お主は本当に面白い事や皆が思い着かない事をする天才じゃのぉ~。」と最後のデザートのフルーツシャーベットまで完食し満腹になったお腹を擦りながら国王陛下が呟いたのであった。


「本日は態々お越し頂き誠に光栄にぞんます。また何時でもお声掛け頂ければ貸し切りに致しますので。」とヤンワリ、来るなら来るで先に一方入れろや!!と言う意味を込めて提案したのであった。


そう、本日の予約分を急遽キャンセルして既にテーブルに座って食べ始めて居た貴族を放り出しての対応だったので子供等にはちと荷が重いハードな1日となったのだ。

尤も不思議なのは放り出されて側の貴族がなんでか喜んで居たのがちょっと理解出来ない。国王陛下に譲った栄誉って事だろうか?



そんな訳で『お忍び』と言えど仰々しい馬車と出で立ちや近衛騎士のご登場で台無しとなってしまい、ミノ亭は国王陛下が来た店と言う事で余計に評判に日が点いたのであった。



帰り際に「また来る際は事前に先触れを出すとしよう。また近い内にの。」と言い残して国王陛下と宰相閣下が帰って行ったのであった。


ミノ亭オープンから半年が経った頃既に国王陛下は頻繁にやって来る常連となって他の貴族が居ても気にせずに食べるまでになっていた。


この世界で、これは非常に希な事で通常ではあり得ない事である。


そんな訳で国王陛下もドップリ白米と焼肉のゴールデンコンビに嵌まったらしい。

勿論来る時には宰相閣下も一緒に来て居るが、時にはロイヤルファミリーと共にやって来たりして、王子殿下や王妃殿下になんか知った風に蘊蓄を垂れたりしながら微笑み在って仲睦まじく食べていたのであった。


まあ歳が歳だけにちゃんと野菜も食って食生活のバランスを取らなきゃ危ないのだが大丈夫だろうか?


通常なら頻繁に来られない金額設定にして居るのだがそこは国王兵かである・・・初回から請求してなくて、現在に至って居る。


まあ請求したところで痛くも痒くも無い金額かも知れないが通風等にならない様にヤンワリと止めて差し上げるべきだろうな。と心の奥底で思うものの、なかなか言い出せないで居る俺だった。


問題はこの世界では衛生面も問題のある事から生野菜サラダとしてを食べると言う風習が無い事で、どうしても火を通した野菜となるため物によっては栄養素が壊れたりするのであった。

尤も温野菜として出したとしてもそれは全然人気が無く誰も敢えて食べようとはしないのである。


なので専ら野菜はシチュー等やスープの具材としての消費が多い。


其処で注目されるのは俺のアンテナショップのトージ飯で出してる煮物類って事になるのだがここミノ亭ではメニューに無いので出すのは難しい。


俺自身ではサラダとして食うけど、美味いドレッシングが無いので今度何種類か作って再度メニューとしようと計画するのであった。



ちょこちょことドレッシングを作って見た結果、和風テイストの醤油ベースのドレッシングやちょとピリ辛風にした胡麻ドレッシング、前世の日本で言う所のイタリアン?フレンチ??ドレッシング的な物の4種類を作って生野菜のサラダを提供し始めると、以外や意外に好評で人気のメニューとなるのであった。


勿論使う野菜は事前にクリーンを掛けて綺麗にして専用の魔動具で浄化しているので衛生面は完璧である。



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