第549話 独断専行と合流
漸く入場出来た俺は一刻も早くお父様と兄上と合流すべく奔走したのだが、今等の局地となっているフォーセントで何処に彼等がいるのか突き止める事が出来ずにヤキモキしたまま一晩を拠点で過ごし漸く最前線に居るらしいと言う情報を掴んだのは再び戻ったフォーセントで朝の10時くらいの事だった。
俺は直ぐ様最前線へと出陣する国軍の増援部隊とは別にウィングスーツによる滑空を使って、1人先に最前線を目指すのであった。
1時間も掛からずに土埃の舞い上がる最前線が見えて来た。
そこでは魔法と怒号や悲鳴が飛び交いさながら地獄絵図である。
この人混みの中から我が家族を見つけ出すのは至難の業である。
一つ幸いなのは我が国の陣営は全員国色である青い布を腕に巻いておりそれが敵味方の区別と鳴って居る様である。
俺?そんな物を持って無いので何処かで調達する必要がある。
俺は急いでゲートでフォーセントに戻って腕に巻く識別様の布を調達して巻いて貰って直ぐに最前線に戻ったのであった。
上空から戦況を見て居るとどうやら我が方は初動の遅れもあって分が悪く押されて居る様子である。
一先ずお父様達との合流を諦めて1人で先行して好き勝手にやらせて貰おうと思って、そのまま最前線を通り過ぎて敵陣営の奥深くまで行くと、大きな荷馬車を傍に置いた大きな天幕を発見。
恐らくあれが敵の兵站部隊であろう。俺はほくそ笑んで隠密モードを使って地上に降りて兵站部隊の天幕の中に入り大胆に物資を『時空間庫』に回収して行く。
兵站部隊の天幕五箇所を廻って全てを回収し尽くして、食料だけに非ず、ポーションや弓矢や剣等の消耗品も全て回収してやったのだった。
これで安心した俺は、中盤の辺りの上空にフォース・フィールドの足場を出して周囲に味方がいない事を確かめた上で、ミスト・バーンの準備を始めるのであった。
上空から舞い降りる白い靄にも気付かぬほどに戦に熱中しているのか、誰も不審に思われる事も無く準備が完了し、俺が退避すると同時にミスト・バーンが敵陣営の中盤で炸裂したのであった。
チュッドーーーンと言う爆発音と共に人や嘗て人だった物の一部が当たり一面に吹き飛びその一瞬後の爆風で、爆心地から、半径1kmぐらいの人や馬等が転げ横倒しになったのであった。
これで粗方敵軍の戦意を挫けただろうとほくそ笑んで我が陣営上空に戻って上空からお父様達を探すのであった。
ところがである。敵軍の攻勢は留まる所を知らず、中盤にあれだけの被害があったにも拘わらずその攻撃の手を休める事をしないのであった。
これは些か計算違いである。
どうしたものだろうか?
俺は空中から、我が方の本陣を見つけてそこで、お父様達との合流を謀る事にしたのであった。
夕闇が迫る頃敵軍の退却の合図が鳴って最前線から撤退して行く敵兵とそれに合わせて我が方も引き揚げて行く。
本陣の天幕に近付くと警備の騎士に止められて、
「すみません、バルケッタ家の次男でトージ・フォン・バルケッタと申します。戦と訊いて遅参いたしました。先に此方に来ているお父様や兄上と合流したいのですが。」と言うと、
「相わかった暫し待たれよ。」と言って天幕の中に入って行ったのだった。
暫くすると、フォーセント辺境伯にお目通りが叶って天幕の中へと招き入れられて、
中には50代くらいの身体のゴッツいオジサンが居たのであった。
「その方が、噂のトージか。何時も娘より噂は聞いて居る。 ・・・さてざんねんあ話を為ねば鳴らぬのだが、冷静に聞いて欲しい。お主のお父上は果敢に敵を斬り捨てて居ったのじゃが、飛んで来た矢に当たって怯んだ所を着られての。戦士してしまったのじゃ。長男のジュリアーノもその時に負傷して今は救護様点とで休息して居る。」と衝撃の事実が告げられたのであった。
「え!?お父様が!兄上までも・・・。」と絶句する俺に兄上は一命は取り留めて居るから安心する様にと告げられて救護用の天幕まで配下の人に案内して貰うのであった。
救護用天幕に入った俺はその中の怪我人全員に回復魔法を掛けつつ兄上を探したのであった。
漸く寝息を立て居る兄上の姿を見つけて再度念入りに回復魔法を掛けて、兄上を揺り動かして起こすのであった。
「ん・・・あトージか? すまんお父様は俺を庇って・・・命を落とされてしまった。」と言葉少なくやっと絞り出す様に状況を告げて括る兄上。
「ええ、先程既に聞きました。お父様の件は残念ですが、でも兄上が無事でなによりでした。」と俺も何とか返答し、何とかお父様の共ライ合戦をしようと兄妹で近い合うのであった。
その後、バルケッタ家に割り当てられた天幕に移動してバルケッタ家の騎士や領軍と合流し兄は早めに休息を取って貰う事にしたのであった。
俺は『時空間庫』から景気付けに食料や酒を提供し、お父様が戦士した事で静まり返った兵達に鋭気を養わせるのであった。
さて俺は闇に紛れて妨害工作と偵察を予て敵陣営の奥深くへとまたやって来た。
不思議な事に兵站を奪取した筈なのに食料でパニックを起こしている様子も無い。
とてもダメージを受けた様に見えないのである。
もしかして、俺が奪取したのはダミーの兵站だったのか?と思ってしますほどの落ち着き振りである。
いや、ちゃんと中身を確認しつつ奪取したのでそれはない。と言う事は他にも予備があったと言う事だろう。全く忌々しい・・・。
このまま戻るのは癪に障るので、また後衛に悪戯をする事にした。
今度もミスト・バーンを選択して就寝に付いた頃合いを見計らってミストバーンの気化魔力の靄を昼間以上に所充満させる。
そして頃合いを見て、退避し、それと同時に爆発させたのであった。
チュッドーーンと闇夜を揺るがす大爆発。
建ててあった天幕は吹き飛び暫くすると辺り一面呻き声や断末魔の声で溢れるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます