第547話 先立つ物 その2
俺は沼地の素面にフォース・フィールドの足場を作って歩きながら周囲の気配を察知して行く。
何だかは判らないが水中にソコソコのサイズの魔物が潜んで居る。
俺は魔弾を囮に使って水目に撃ち込んで水中に潜む魔物おを誘い出す事にしたのであった。
スパンポッチャン♪と水面を揺らす魔弾の一発が呼び水となって一斉に周囲の水面に魔物の反応が浮上する。
俺は空かさず、雷魔法の強めのパラライズで魔物共を感電死させて直ぐにマジックバッグに回収する。
居た居た!!!コレだヒュージ・フロッグ。
念の為に鑑定EXで鑑定すると、下記の様に表示された。
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【ヒュージ・フロッグ】:通常のヒュージ・フロッグ
レベル:8
スキル:伸舌 毒噴射
舌で搦めて毒を吹き掛けるので注意が必要。
備考:胃袋は伸縮自在で異次元と繋がっている為、更に付与をする事でマジックバッグの製作の素材として使える。
肉は意外に美味いので人気がある。
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正にコレである。
コレとオーク皮かちょっと贅沢ならオーガ皮で外側のバック部分を作って付与した胃袋を縫い付ければマジックバッグの完成となる。
俺は大漁にほくそ笑みながら何度も場所を変えてヒュージ・フロッグの一種のみを乱獲して行くのであった。
但し残念な事にヒュージ・フロッグ程度では乱獲してもレベルアップはしなかったのであった。
まあ、そうそう美味しい事ばかりは無いよなと納得し、100匹を越えた辺りで一旦乱獲を中止してドリアスの冒険者ギルドに戻ったのであった。
そして先程尋ねたの受付嬢に、
「あのぉ~取って来た魔物の解体をお願いしたいのだけど解体場頼めば良いかな?」と訊くと、「解体料金は別途掛かりますが宜しければ出来ますよ。」と応えてくれて、丁寧にカウンターから出て来て書いた嬢の方まで案内してくれたのだった。
まあこの後、マジックバックから無数のヒュージ・フロッグが出て来て驚かれる一幕があるのだが、マジックバッグの事を説明し、既に王都では販売されると言う事を教えたら素直に納得してくれたのだった。
初日と言う事で、30匹の解体を依頼し胃袋だけを持ち帰る事にして、肉は他の部位は買い取って貰ったのであった。
鑑定EXにあった通り、肉は鶏肉の様な感じで美味いらしく人気だそうで、これ程綺麗な仕留め方の物はそうそう出回らないらしく、驚く程に良い値で買い取ってって貰ったお陰で解体代金が浮いた程であった。
解体場のオジサンに礼を言ってまた持って来るからと言ってその日は拠点によって子供らの様子や嬉しげな笑顔をい見て心を和ませてから王都邸に戻るのであった。
それから1週間程ドリアスの冒険者ギルドの解体場に通って100匹のヒュージ・フロッグの解体を済ませた。
その1週間の間にドリアスの孤児院を訪れて園長に信用して貰う為の意味でも先に寄付をして、卒園生の就職際として王都の方で受け入れる容易がある事を告げると、3名の卒園予定の子等が手を挙げたので近日中に迎えに来る事を約束してその日は帰ったのであった。
その頃になると、俺はドリアスではなかなかにヒュージ・フロッグ狩りで評判の有名人となって居り、「また何れ再開しますが、これで一応一旦終了です。」と言った時には解体場のオッチャンだけでなく受付嬢や当初俺の事を渡って居た冒険者にも非常に惜しまれたのであった。
こうして人数も順調に増えて行きそうなので、王都の拠点の開いた部分に魔法で従業員用の宿舎を2棟と錬金関係の工房も建設する事にして、内装等を商業ギルド経由で職人に頼む事にしたのであった。
手慣れた俺が魔法でちゃちゃっと上物を作ってそれに合わせて内装を工事するので、意外と早く済んで3ヵ月程で大浴場を完備した男女別の従業員用宿舎と俺の錬金工房が完成したのであった。
これに伴ってバルケッタの森に密かに作ってあった俺の錬金小屋は撤去してここに集約したのであった。
新しい宿舎の完成に18名の子供等は大喜びして各自の部屋を決めてはしゃいで居る。
そして毎日勉強の時間と魔法の訓練の時間とを取る様に義務付けたのであった。
毎朝俺に寄って魔法の訓練を行い徐々に魔力を感知出来る子が増えて行き、2ヵ月も経過する頃には18名全員が魔力感知を覚え、徐々に魔力操作を覚えさせるのであった。
偶然か、それともロキシー様の導きのお陰か、何と俺の庇護下に集まった子等はみんな魔法に関しては有望で、驚く程早く上達して行くのであった。
◇◇◇
拠点を王都に設けてから、早1年、俺も無事に2年生へと進級し、俺の教育した子供等は全員が初級の魔法を難なく使える様になっている。
ここに来た当初ガリガリだった子等もふっくらと肉が付いて子供らしい体型になっている。
その後、商業ギルド経由でマジックバックの再販の要望の声が止まらずにこの半年間で密かに作成して居た新規のマジックバックと前世での残りの170個・・・今度は幾つ販売するか悩む所である。
物が物だけに一気に大量に世に出すと値崩れ起こすのでそこら辺は商業ギルドのギルドマスターのオリバーさんと相談の上決める感じだろう。
今や、王都で『マジックバック』のオオサワ商会を知らぬ者はいない。ここの拠点もオオサワ商会の物と判って居るので結構面会に来て自己談判しようとする商会やなんかが居るので、子供等に良からぬ者の魔の手が忍び寄らない様に冒険者ギルドに護衛の依頼を冒険者に他ので居る程である。
尤も身体強化も出来る様になった子供等の自己防衛力は日々上がっており、そんじょそこらの冒険者よりも場合によっては強かったりする位である。
その後も王都やドリアス、ベルゲンの孤児院から孤児院の卒園生の受け入れを続け、今では家の子等は20名を越えて居る。
一応、そんな子供等のリーダーは新参の子の方が年齢が2つ程上だったりして既に最年長では無くなったコジー君のままである。
さて学校の方であるが、今年もあの『剣術・魔法大会』が開かれ今年も昨年同様に完全優勝を勝ち取っておいたのだった。
2年への進級時にクラス替えも無くまたチェリー嬢と一緒のクラスであるが、最近オオサワ商会が俺の商会と知ったらしく、そこで孤児院卒の子供等を雇っていると知った様で「大変素晴らしいですわ。」と褒めてくれたのであった。
そして褒めながらも「お忙しいでしょうけど、たまにはお茶会でもお付き合いください。」と下手に廻られて無碍にも出来ずに俺の拠点へと茶会にご招待したのであった。
茶会では俺の作ったスィーツを茶請けとして出してやるとおきに召した様で一口食べた後目を見開いて「美味しいですわ!!」と小さく叫んでいたのであった。
それはそうだろう・・・この世界ではまだ世に出していない何れもとびきりのスィーツの数々である。
これらは何処で購入出来るのかと訊かれて、全て俺の自作だと答えた時には本日で一番驚いてくれたのであった。
尤も購入して再び食べる事が出来ないと知って凄く悲しそうな表情にその一瞬後になるのであった。
「そうですの・・・ではまた何時の日かお茶会にお誘い頂けないと味わえないのですね? トージ様お店を出されません事?」とスィーツ屋の店舗を出せと懇願されたのであった。
「まあ、今は学生でもあるので忙しいですけど、少し時間に余裕が出来たら検討してみます。」と言うに留めたのであった。
今はやってやれない事もないが、俺としては先に醤油や味噌の製産を行いたいのである。
マジックバックや従業員の育成が漸く本格的になって来たので少しずつ本格始動して行きたいと思っていいるのであった。
尤も醤油や味噌の醸造まで出来る程の人員確保は出来て居ないのでどう言う風にするか日々構想を練っているところである。
折角時間とかねを掛けて開発してもそれをパクられてしまうとどうしようもないのがこの世界の厳しい所である。
絶対的なオンリーワンにするのにはそれ相応の見えない労力がひつようなのである。
なので出来ればズルイかも知れないけれど、俺に対して恩義を感じて絶対に裏切らない様な人員で構成する必要があるのである。
これまでの前世ではこの遣り方でトラブルもパクリ商品も出なかった事なので今世でもそれで行きたいと思っているのであった。
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