第545話 食材ゲットの前に
ベルゲン伯爵領に向かう事早はや1週間。こうして飛んでみると、この国の広さを改めて知る。
途中で盗賊に襲われて居る商団の馬車を3度程助けてお陰様で愛児とのお宝を頂いて懐がホッコリと潤って居る。
3度共にアリーシアの様に捕らわれている女性等がいなかったのは幸いであった。
こうして日々只管に飛んで行って漸く広大な穀倉地帯が見えて来てベルゲン伯爵領に入った事を告げて来た。
まずはベルゲン伯爵領の領都にお邪魔して帰るだけの『ライサー』を狩って帰ろう。
尤もライサーだけ在っても醤油や味噌の供給がないと意味が無いので、そっちの製造も急がねばならない。
つまりライサーだけでなく、大豆も必要と言う事である。
これだけ広大な穀倉地帯なら大豆もありそうだと空からラストスパートを掛けて領都を目指したのであった。
やっと領都に到着してて城門を潜って衛兵に冒険者ギルドの位置を訊いてまずは情報収集をしに冒険者ギルドの扉を開いたのであった。
この時初めての街の冒険者ギルドでは絡まれる可能性が有る事をスッカリ忘れて油断していたのだが、キッチリここでも俺の女顔で舐めて掛かって絡んで来る奴が居たのだった。
「おいおい、お嬢ちゃんか?何しにこんな所に来たんだ?オジサンが相手をしてやろうか?」と言う息の臭いオッサンに、
「臭ぇから近付くんじゃねぇよ!」と煽り返してやると効果覿面に怒り狂うオッサン。
結局殴り掛かって来た所を一本背負いで床に叩き付けてやると鈍い音がして気絶してしまった。一応、大事に至らない様に回復魔法で治療をしておいたので直ぐに目を覚ますだろう。
そして一連の騒ぎでビビる受付嬢の所に行って、Bランクの冒険者かカードを見せつつ驚く受付嬢に市場への道順を尋ねたのであった。
市場の道は直ぐに教えて貰えて歩いて行くと何やら肉串の良い匂いが漂って来るので屋台のオッチャンの所に寄って肉串を2本購入し食いながら市場を目指すのであった。
肉串1本を食べ終わってもう1本を食べようかと言う時、何故か熱い視線を感じ立ち止まる俺。
ちょっと辺りを見廻すと、ガリガリに痩せた子供が此方の肉串を食い入る様に見て居たのだった。
俺は放って置けずにその子の元まで近寄って、
「良いぞ。食うか?」と肉串を差し出したのであった。
すると、
「兄ちゃんくれるの?」と言う子供にクリーンと回復を掛けてやってから、
「ああ良いぞ、もっと買ってやるから遠慮せずに食うと良い。」と言ってあげたのだった。
その子は肉串を一口美味しそうに食ってから残りを持って帰ろうとする。
話を聞くと、まだまだ沢山の子供が腹を空かせて居るらしく持って帰りたいのだと言う。
「じゃあ、もっと他ウサ買ってやるから、持って行こう。」と言って、近所の屋台で沢山購入してその子の案内で塒にして居るスラムへと案内して貰ったのであった。
案内されたスラムの掘っ立て小屋から同様にガリガリに痩せた子供が10名程出て来て驚きの余りに胸が痛くなる。
これは一食だけほどこした位では意味が無い。
俺は『時空間庫』からストックして居た食料を取り出して、前世のマイムを使い寸胴で雑炊を作る事にしたのだった。
子供等に薪になる木を持って来させて居る内に小屋の中と子供にクリーンを掛けて綺麗にしてやり寝床を清潔にしてやった。
そうして、漸く出来上がった雑炊を配膳してやって、子供等に笑顔が溢れるのであった。
話を聞くと子供等は孤児院から溢れた孤児達で、個々で身を寄せ合って暮らして居たと言う。
下は3歳から上は7歳位の10名どうしたものかとライサーを買うと言う目的を忘れてしまって、真剣に悩む俺。
今の俺の全財産を合わせると、王都にソコソコの家一軒位なら購入出来るが、基本的に日々掛かるお金までは良い所2ヵ月程度しか保たないだろう。
かと言ってこのまま放って置く事も出来ずに苦悩する俺であった。
そこで、最年長の7歳のコジー君に言って此方の用意が出来るまでここで上手くやり繰りする様にある程度の食料を提起的に保って来る事を提案し、喜んで了承してくれたのであった。
ここで思わぬ時間を食った事で今日の市場行きは断念し、後日仕切り直すとしてゲートで王都邸に戻るのであった。
こうなると本格的に効率良くお金を稼ぐ手段を確保する必要がある。
荒稼ぎとなるとマジックバックの販売であるが、俺の『時空間庫』の中には約100個の在庫はあるものの、この世界でも製産出来ないと意味が無い。
1つ取り出してカンテEXで見てみると、
***********************************************************************************
【マジックバック】:異世界でトージが作ったマジックバック。容量無制限時間経過停止が付与されている。
備考:マジックバックの素材となつビックイーターやフュージフロッグは王都ダンジョンの30階層か、
ドリアス伯爵領の『暗黒の森』の沼地に棲息している。
それらの胃袋を使ってこのせかいでも製産が可能である。
***********************************************************************************
と表示された。
やった!!!これで固定的な金のなる木を見つける事が出来た。
王都ダンジョンは時間掛かりそうだから、まずはドリアス伯爵領の『暗黒の森』の沼地を目指せば良いと言う事だろう。
まずは手元の前世で作っておいたストック分を50個程売ってそれで生活基盤を固めてあの子達を移住させようと心に決めたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます