第544話 大会 魔法部門

一晩明けてやってきた『剣術・魔法大会』2日目、朝食を取って何時もの様に王立学園に向かう俺。



昨日は剣術部門で総合優勝し気分も良いので今日もこのまま自重無く魔法部門も総合優勝する予定である。


さて2日目も元気に登校して、クラスメートと大会が行われる会場へワイワイと談笑しながら移動を開始したのであった。


昨日の優勝のお陰か、会場までの道中で結構な人数の視線を感じつついどうしていたのだが居心地が悪くこれが有名税って奴か?と直ぐに諦めたのであった。


もし本日も優勝して総合優勝してしまうと、市場初となるらしいのでこれ以上に注目されてしまうだろう。


かと言って態と手を抜いたりする気もないので、なる様になるさと腹を括る事にしたのだ。

魔法部門のとな面とだが、100m離れた的に当たった数によって勝敗を決める感じとなる。


本当なら魔法線のPVPが一番手っ取り早いのだろうが寸止めや手加減が難しい為に死傷者が多発するので今の形に落ち着いたらしい。


確かに本気でやって良いのならば全校生徒を相手にPVPをやっても負ける気はしないし、その後には無惨に額を綺麗に撃ち抜かれた死体の山が出来るだろう。


今回の的は当たった本数を数える為に入試の時の様に壊れ難い物ではなく通常の木製の的となって居るので魔弾でも良いのだが目に見えない魔弾では派手さに欠けるのでにんちされないだろうと思って、見た目に派手なファイヤーアローで行く事にしている。



こうして昨日同様に学年別のトーナメントが開始されて、詠唱の五月蠅い中で俺1人だけ無詠唱でサクサク順調に勝ち進んで、またもや学年代表の座を勝ち取ったのであった。


Sクラス以外からの周囲の視線が痛いが、そもそもだが100m離れた的に当てすら出来ない者のなんと多い事か。これは既に詠唱云々以前の問題だと思うのは俺だけだろおうか?


そんな中1人だけ無詠唱で青白いファイヤー・アローを全弾名中させて的を的確に破壊する俺は大人げなかったかも知れない。



各学年の代表が決まった所で再度総合トーナメントが始まって百発百中の俺はダントツで2回線の2年の女の子を退け、決勝で3年生の代表と戦うのであった。


ここでも容赦無く実力を発揮して全弾名中させて、10発目まで命中させて俺のスコアに食う付いて来た3年生代表を11発目で黙らせたのであった。


なかなか希に見る好勝負に会場からは惜しみない拍手が鳴り響いたが結果俺の総合完全優勝と言う結果に会場がワーッと沸いたのであった。


この総合優勝に我が事の様にテンションの上がったSクラスのクラスメートに胴上げをされたのだが初めての体験でこれはこれで悪く無い気分であった。



こうして気分の良い形で大会を終えて王都邸に帰ろうと思ったのだが、チェリー嬢発案によってみんなで大会の慰労会と俺の総合優勝祝賀会をやろうと言い出して、結局誰もがノリノリになったので主役でもある俺は断るわけにも行かず参加する事になったのだった。



チェリー嬢によって王都の名高い名店のレストランを抑えてあるらしく、会場はそこに決まって居た。


一応、レストランに入る前にクリーンだけ掛けて綺麗にしてから入店し、この世界で初めて入る高級店に若干緊張しつつも表にそれを出さない様に気遣っていたのであった。


貴族の俺でさえやや緊張していたのでクラスメートの平民出身の子とかは尚一層緊張していたであろうが、それでも分け隔て無く無料で参加させてくれていたチェリー嬢はそこらのきぞくの子弟と違ってなかなかに見所があるのかも知れない。


勿論俺も半額ぐらいは出す予定で居たのだが、チェリー嬢が受け取ってくれなかった。


贅を極めた食材を使った料理は大変美味しく、この世界に来て正真正銘最高の料理であった。


美味しい料理を食べると、俺の中の料理人魂がムクムクと刺激されて動き出す。


早くこの世界で米を探し、醤油と味噌を製産して、和食や色んな料理を再現したくなるのであった。



楽しい祝賀会は終わってチェリー嬢にお礼を言って王都邸に戻るのであった。



自室に戻った俺は『時空間庫』から前世のマイムを取り出して、


***********************************************************************************

【マイム】:異世界でマイムと呼ばれた穀物。この世界ではライサーと呼ばれて居る物が同じ様な穀物となる。

備考:ライサーは家畜の餌や飼料として大量に生産されていて易いが、資産される土地によって甘味や味が変わる。

  マイムに似た味なら、ベルゲン地方のライサーが日本風のお米と似ていてお薦め。

***********************************************************************************


と嬉しい情報まで出て来た。


こうなると、早速ベルゲン地方まで出向くしかない。


直ぐに調べたところ、


ベルゲン地方・・・正式にはベルゲン伯爵領と言うらしく、広大な穀物地帯で小麦の生産でも有名らしい。


王都からかなりの距離が離れており連日飛んでも1週間近く掛かりそうな気がする。



俺は早速翌朝からベルゲン伯爵領に向かってウィングスーツによる滑空で移動を開始したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る