第541話 正しい授業のサボリ方
王立学園での日々の座学は退屈その物であった。
貴族の子息という見出なければ、冒険者になって身を立てる予定の俺には不要な物ばかりであって、無駄に時間を浪費して居るばかりであった。
幸いクラスには俺と似た様な境遇の者も多く何とかこの退屈で無駄な時間を別の事に向けられないかと思案していたのであった。
そして嘗ての俺が奏した様に、教師陣と掛け合って大層な屁理屈を捏ねて単位試験を受ける権利を得たのであった。
俺達は大喜びした物の何故かチェリー嬢からはブーイングが出たのは理解が出来なかった。
こうして、スキップしたい者達で集まって単位試験に向けた勉強会を開いたりしたのは新鮮で良い思いでとなったのだった。
しかし何故かスキップしたい者だけで勉強会を開いて居た筈が気が付いたら、いつの間にかチェリー嬢まで混じって居て彼女もスキップ試験を受ける事にしたらしいのであった。
あれだけスキップ制に反対していたのに何故そうなったのか甚だ疑問である。
座学に関してはそんな感じで、後は実技の魔法と剣術である。これは、試験を受けずして教師から教える事はもう無いのお墨付きを頂いての免除となった。
何だかんだで入学以来3ヵ月も掛からずにスキップ出来る物はスキップしてしまって王立学園に通わなくても良くなって自由を満喫する事が出来る様になったのだった。
まあ不思議なのは、折角自由になったにも拘わらず、何故かチェリー嬢の提案で週に1度はホームルームに出席する為に学校に登校為ざるを得なくなった事ではないだろうか。
尤もチェリー嬢自身や他の者達はまだ実技の授業は受けて居るので授業のある日は登校して居るのでその所為かもしれないが・・・。
とは言う物の、以前に比べれば意大幅に自由時間が増えたお陰で、冒険者ギルドの依頼達成が捗りアッと言う言う間にCランクへのランクアップを果たしたのであった。
一応、ギルドの話によると、最年少最速でのCランク冒険者と言う事であった。
このペースで在学中の内にAランクを目指したい物である。
成長期と言う事で低かった身長もメキメキと伸び始めて漸く『時空間庫』に仕舞ってあった黄金丸を手にしてもおかしくない体格に近付いて来たのは素直に嬉しい。
何気に前世で暗殺される際に『時空間庫』に入れたままで亡くなったのはラッキーであったと思いたい。
黄金丸は俺の大事な相棒で唯一『高周波ブレード』化しても壊れない剣である。
他の剣で『高周波ブレード』化したら一合の斬り合いすら保たないのである。そんな中で俺の意のままに使っても壊れない黄金丸は貴重な存在なのであった。
因みに黄金丸を鑑定EXで見てみると、
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【異世界の神剣】:トージによって異世界のダンジョンより発見された不壊属性が付与されたオリハルコン製の神剣
備考:トージの命名によって黄金丸と名付けられた。
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と面白い事が表示された。
前世から今まで何気に気に入って気にもせずに愛用して来たけど壊れないには理由があった事に今更ではあるがビックリである。
ホームルームの日以外は毎日の様に途中で肉串を買って冒険者ギルドに通って居る内に徐々に美味しい屋台が判って来て顔馴染みになる。
今日も今日とて軽口を叩きながら肉串を購入し冒険者ギルドへ向かうのであった。
Cランクにランクアップした今は1つ上のBランクの依頼を請ける事が出来るので効率も収入も以前に比べて凄く良くてホクホク物である。
いつの間にかギルドマスターのマクサーガさんが俺の担当の様な形になっていたが漸くどの受付嬢でも俺にBランクの依頼を斡旋して受理してくれる様になったのは喜ばしい事である。
まあ、受付嬢には俺の事が浸透したので良いだが、今でも時折俺の母親譲りの女顔の容姿を見て舐めて絡んで来る馬鹿がたまに居るのには嫌になる。
そう言う馬鹿には漏れなく痛い目にあって貰って懲りて貰う様にしているのだが、これで髭でも生えてくれば少しはマシになると信じたい。
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