第540話 王立学園合格発表

入試から1週間が過ぎて合格発表の日がやって来た。


合格している自信はある物のやはりこの目で結果を確認するまでドキドキはする。


朝食を済ませ家令のアンデッセンさんに一声掛けてから密かにゲートで王立学園まで移動する。


もう合格発表の慶事がされてる様で歓喜の声や嗚咽等が掲示板の前辺りから聞こえて来る。


俺は努めて冷静に振る舞いつつ掲示板に自分の名前を探すのであった。


すると、当然の様に掲示板の一番最初に俺の名前を発見しホッと胸をなで下ろす。


早速入学受付まで行って制服の注文をするのだが、顔の所為か女の子と間違われてしまって危うくスカートの制服を作られそうになってしまったのであった。


無事に制服の採寸と注文を終えて手続き全般を終えた俺は何事も無く王都邸に戻ったのであった。


さて、これで入学前に必要な事は全部済ませてしまった。


後は制服が届けられた後、入学式を迎えるだけである。


一応、無事合格した事を両親宛に手が見を書いて知らせておいて、後はDランクに上がった事だし、冒険者ギルドで依頼でも受けて過ごそうかと思っているのであった。


■■■



入学式までの2週間、俺は毎日冒険者ギルドに通ってCランクの討伐依頼を受理して貰って点数稼ぎに励むのであった。


中には王都からちょっと離れた村の討伐依頼等も混じって居たがウィングスーツによる滑空で空を行ける俺には関係無いし帰りはゲートで一瞬である。


日々良い感じに依頼を請けて10日間もする頃にはCランクへのランクアップも見えて来るのであった。


しかし残念ながらタイムアップ。 いよいよ入学式の前日となってしまった。


あと1週間あればCランクも夢じゃ無かったのに非常に残念でならない。


俺は入学式前日に届いていた制服に袖を通しサイズに問題が無い事を遅まきながら確認したのであった。




首席での合格となる為、明日の入学式では新入生代表でスピーチをする様に言われて居る。スピーチの存在をスッカリ忘れて居た俺は少し胃が痛くなりながらスピーチの文章を考えるのであった。



入学式当日の朝、一応貴族と言う事もあって馬車王立学園まで送って貰って校門を潜った。


直ぐにチェリー嬢に発見されて一緒に暮らす分けの発表を見に行く事になり、おれとチェリー嬢は偶然にも同じSクラスになっており、チェリー嬢が凄く喜んで居たのであった。


余り疎ましく付き纏われるのも問題なのだが、我が家に取っては寄親所のご令嬢である。無碍に出来ない所が難しい。



講堂に入ってSクラスの席に着席して待って居ると30分位で入学式が始まった。


最初は学園長の挨拶が30分ぐらい続き、次に在校生代表で生徒会長のアーリンセグ王子の挨拶と続き最後に俺のスピーチの出番となった。


昨晩考えたスピーチを簡素に話して無事に出番を終えて拍手を頂きそれからクラスに移動して、ホームルームを行って漸く解散となったのだった。


やっと解放されたと喜んで居ると、チェリー嬢から、フォーセント辺境伯家の馬車の所まで是非とも来て頂きたいとせがまれて付いて行くと、そこには、恰幅の良い貴族っぽい男性とその奥さんの様な女性が待って居て、

「君が我が娘チェリーを助けてくれたトージ君だね。お礼を言いたくとお会いする日を待ち構えて居たのだよ。ここではなんだから、是非ともこれから我が家までご足労願えないだろうか?」と強権の無い頼みをされたのであった。


我が家的に拒否は出来ないと即座に悟った俺は、了承して、我が家の馬車に乗ってフォーセント辺境伯家の王都邸まで付いて行くのであった。



到着したフォーセント辺境伯家の王都邸はそれは広く豪華で格の違いをまざまざと見せつけられたのであった。


そんな意別世界の屋敷の中で何度もお礼を言われ歓待を受けた俺は逆に恐縮しながら美味しい夕食をご馳走になるのであった。


最後に俺にお礼のお金を渡そうとして来たのだが固辞すると逆に先方の面子を壊す事になるのでありがたく受け取っておいたのだった。


日が完全に落ちる前にお暇して、漸く我が家の王都邸に到着為た時にはスッカリ夜の帳が下りていたのであった。


今度から出来るだけ表だって貴族関連を助ける際には正体がバレない様に気を付けようと心に決める俺であった。



こうしてドッと疲れた入学式の1日は終わり、翌日から学園生活が始まるのであった。




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