第539話 王立学園入試

ノンビリとした王都での日々が過ぎて行き、イヨイヨ王立学園の入試の日となってしまった。


前日は一応建前上本を読み返して勉強した振りをして、何時もより若干早めに起きて、朝食を取って王立学園まで迷わない様に馬車で送って貰うのであった。


受付を済ませた俺は筆記試験の受験海上である教室へと移動をして早めに席に着いて待って居ると、其処にガラッと扉を開けて、フォーセント辺境伯家の令嬢たるチェリー嬢が教室に入って来て俺を見つけて喜ぶ子犬の様に「トージ様」と呼びながら足早に駆け寄って来た。


「ああ、これはチェリー嬢、ご機嫌麗しゅう。」と貴族っぽい挨拶を交わし遇う。


試験前に余りウッとしくされるのも周囲に迷惑も掛かり困るので、

「試験お互い頑張りましょう!」と言って簡素に会話を打ち切ったのであった。


どうやらそれで察してくれた様で大人しく自分の受験席へと引き下がってくれたのでホッとする俺。



受験時間5分前になると監督官の男性が入って来てまずは面倒な国史の試験から始まったのであった。


問題は一通り学んで置けば誰でも判る様な簡単な物で時間が余って2度程見返す程であった。


順調な滑り出しの次の時間は周辺各国を含めた国際情勢の試験で、これもオーソドックスな問題ばかりで特に問題も無く回答して行くのであった。


更に続く3時間目最後の試験は算数の四則演算の試験で日本での義務教育を受けた俺には簡単な問題ばかりで、完璧に解いて見直しも2回行って全筆記試験を無事に終えたのであった。


これで午前中の試験は終わりである。昼休憩を挟み午後は実技の試験となる。


今回の人生は自重無しで思いっきり自由にやろうと決めているので、

剣術も、魔法も気兼ね無くやらせて貰うつもりである。



午後の最初の実技は魔法からである。


何気にこの世界の他人の魔法を初めて見る俺は少しわくわくして順番を待っていたのだがそれも最初の者が魔法を放つまで・・・。


試験監督が

「良いか?持てる最大の魔法で的を攻撃せよ!的はも割れない丈夫なコーティングが施されている。」とよくあるテンプレ的なセリフを大声で宣言する。


そしていきなり最初の奴が、


「我願う、極大の炎の力を持って敵をなぎ払わんファイヤー・ボールっ!!」と変な詠唱を真顔で唱えヘロヘロのファイヤーボールを的に当ててドヤ顔を作って居た。


そしてファイヤー・ボールは的に当たって分散して消えた。


どうやらこの世界の魔法は詠唱を唱えてだすのが主流らしい。


さてこれはどうしたものか? 詠唱何他小っ恥ずかしい物はしてられないが、的を徘徊しちゃって良い物だろうか?とどんな魔法をどの程度で使うかを思案して居る内に名前を呼ばれて俺の順番が来てしまったのだった。


ここは一つ派手な魔法が良いだろうと思って、炎系の派手な所でファイヤーストームを選択して指を波チュンと鳴らして的を中心ファイヤーストームを無詠唱で起動する。


酸素を送り込む事と無属性の煙突を周囲に作る事で煙突効果もあって爆発的な火炎旋風となって燃え盛る俺のファイヤー・ストームに驚く周囲の子供等や試験監督官の男性。


ファイヤー・ストームが消えた後には溶けてしまった的の残り滓が地面に落ちているのであった。


「流石はトージ様ですわ。」とその様子を見ていたチェリー嬢が歓喜の声を上げると感嘆の声と疎らに拍手がパラパラ鳴るのであった。


試験監督官の男性はその後ちょっっと恨めしそうな顔をしながら新たな予備の的を設置したりとバタバタしていたが特に何も文句を言われる事も無く次の剣術の試験会場へと移動をしたのであった。


剣術の試験会場では先程見えた俺の火柱でザワついて居たが何事も無かった様に知らぬ振りして黙って他人の剣術試験の様子を診ながら順番を待つのであった。


当然であるが、ソコソコやる奴とヘロヘロで殆ど剣を振れない奴の差が激しい試験で、試験官相手に勝つ奴は皆無であった。


俺の目からも試験官はソコソコ強い相手でこれはどの程度やれば良いのかを納悩む俺であった。


素の身体能力だけで行くべきのか、身体強化在りでも良いのか?悩ましいところである。


勿論、閃光流を持ってすれば素の能力のみでも打ち合う事は可能だが、勝つ事は難しいかも知れない。


どうするか悩んだ挙げ句、俺は弱めに身体強化を掛けて『勝ち』を取りに行く事にしたのであった。


「開始だ。好きに打って来て良い。」と俺の順番になって舞台に上がって試験官に声を掛けられる。


既に何人もの試験を見て来たのでこの試験官の腕の程度は判って居るので、最初は軽く身体許可を掛けた程度で様子見をして徐々に本気度を上げて行く事にしたのであった。


そして、手に持った刃の潰された片手剣を正眼に構えつつ、試験官の懐まで駆けて行く。

しすると、俺の事を舐めて居たのであろう試験官が慌てて構えを変えて迎撃態勢を取ったのだった。


試験官が構えてのを確認した上で、俺は試験官の剣を翻弄して行き防戦一方に刺せてしまう。

何合か切り結びあった後さらに身体強化を強化して、試験官と打ち合う俺。

2分程打ち合った後、

「判った。ストップだ!!ここまでだ。このままじゃ俺の身が保たない。」と試験官が試験の終了とも降参とも取れる言葉を発してきたのであった。

こうして無事に剣術の試験も終えて午後の実技試験を終わらせたのであった。


筆記試験は満点のじしんがあるし、魔法も剣術も豪華くらいを遙かに超えてる自信がある。


これで不合格なら合格する奴なんて居ないだろう・・・。と遣り切ったと言う気持ちを携えて王立学園を後にする事にしたのであった。


息は馬車であったが、もう帰してあるので帰りは適当にゲートで王都邸までも度って来て1日の疲れをマッタリして取るのであった。



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