第523話 何気無い日常 その7

面倒な戦いのループは10日間続き、戦局は有利な物の敵が撤退する気配も無く泥沼の戦いにウンザリとした日々を過ごして居たのであった。


敵の魔法部隊は頻繁に城壁を夜中の内に壊し、朝を待たずして攻撃を仕掛けて来たりと少しずつ変化を付けて来たりするのだ。


こちらサイドに人的被害は殆ど無いが非常に鬱陶しいのである。


細々と無差別な殺戮と言う反撃も行って居るが、それでも敵の軍勢を多少磨り減らす程度で効果が薄い。


正に膠着状態と言っても良いだろう。


こうしている間に調査して居たコーエンさんから好悪妙に隠された敵の兵站部隊の拠点が判ったとの報告を受けたのだった。


俺は特に隠密モードを得意とする者を20名選抜した特選部隊で敵の軍事物資を奪取して兵站ルートを壊す事としたのであった。




お誂え向きなことに新月の夜がやって来て暗闇に紛れて作戦実行開始とする。


作戦は音も無く無事に2時間で遂行完了したのであった。



勿論その日の夜中にも敵の魔法部隊による夜襲があったが居残った魔法部隊と王宮魔法師団の奮闘でなんとか対応し子と無きを得たのだった。


俺と特選部隊は無音のまま悪い笑顔を携えてホクホクしながら誰一人欠ける事無く帰還を果たす。


朝日が昇る前から建築部隊が何時もの様に城壁修繕に取り掛かっているが、


これで敵の兵站が尽きてしまえば残る兵士は戦意を失って撤退するしかなくなるだろう。



そしてあの鬱陶しい敵の魔法部隊も食料無しでは魔力の回復もままならずに攻撃不能に陥るであろう。とライバック王国の国軍の司令官に報告するのであった。



兵站奪取作戦から3日が過ぎたが目に見えて向こう側からの攻撃回数が減って居る。


それは夜中の敵魔法部隊による攻撃も同様で今までの様な勢いや圧を感じられ無くなったのだった。



更に5日が経って、敵の陣営に変化が見られた。どうやら、前線の部隊に殿を務めさせて部隊後方では撤退が始まって居るらしい。其処で俺達は、気付いていない振りをして、撤退中の部隊の先回りして、全軍をゲートで移動させて待ち受ける事にしたのであった。



「敵が待ち伏せしているぞ!!!!退却!」と混乱して何処に逃げて良いのか判らない状態の敵兵の本隊をライバック王国軍と我が国の国軍や魔法師団、そして魔法部隊で取り囲んで行く。


そうすると、1時間も戦闘しない内に敵陣営から白旗が上がったのだった。



こうして何だかんだで開戦から2ヵ月近く掛かったアンドレア王国との戦争は幕を閉じたのであった。


尤もここからアンドレア王国本国との終戦処理の交渉には多大な時間と手間が掛かったのだが、俺達には関係なのでサクっと帰ろうとしたのだがそうはいかないらしく、


結局今回の大戦の最大戦力と言う事で敵の王都まで付いて行かざるを得なくなり、何故か、魔法部隊の者に空路をアンドレア王国の王都まで行かせて、其処からゲートで繋げてライバック王国の国軍と俺達を呼び寄せさせて敵の王都をほぼ無傷で攻め落とし、和平交渉となったのだった。



最終的に俺はこの大戦で更にレベルアップを果たしてしまい、最終的なステータスは下記の通りとなったのだった。

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名前:マルク・フォン・オオサワ

レベル:35

HP:585/585

MP:9856/9856


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装 錬金 料理


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後はお見合い宜しく、当事者同士に任せて帰りたかったのだが、帰りのゲートの事や最高戦力に睨みを利かせて欲しいとライバック王国に懇願されて、立場上俺と王宮魔法師団と魔法部隊の一部は帰るに帰えられずに敵の王都に居続ける事になったのだった。



この滞在中、後で判った事であるが、ライバック王国の同盟国である我が国・・・更に最高戦力である俺の戦力分析がかななり綿密にされており、その上で勝てるとの算段での開戦出会った事が判明したのであった。


こうして1ヵ月程退屈な敵地での窮屈な生活を終えてから屋敷に戻ったのであった。


突如として始まった戦争であったが、幸いな事に我が陣営からは1人の死傷者も出さずに済んだ事にホッと一安心する俺であった。


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