第522話 何気無い日常 その6

俺は屋敷に戻ってケンイチに後の事を頼んでマールを抱き上げてマール成分を吸収してから、先行して居る王宮魔法師団と合流したのであった。



現地に到着してみると、戦況は思わしく無く、かなりの損害が出て居るようであった。

今回突然宣戦布告して来たアンドレア王国の精鋭は練度が高く、更に彼の国の魔法部隊も非常に有能で脅威の大将らしい。どうやら十分な準備と策を練って来たようである。

一方迎え撃つ我が方の同盟国であるライバック王国は元々商業と農業で栄える国で練度という面に於いては非常にショボく国軍と言っても俺の所の領軍のみで滅する事が可能なレベルに思える。


既にライバック王国の国軍は半数以上が死傷しており事実上壊滅に近い状態であった。


尤も王宮魔法師団が緊急で治療をしたお陰でなんとか形を残して居ると言っても過言ではないだろう。


「オオサワ侯爵、これは如何に盛り返せば良いでしょうか?」と俺に訊いて来る王宮魔法師団長。

ここに来て俺に振ってくるのかよ!?と思う所がなくもないが、下手な役割でジリ貧になるよりはマシかと考えからを切り替えて無い知恵を絞り出す。


まず一旦敵の後方を攻撃して、浮き足だった前線を俺の極光でなぎ払うと言うプランを出してみた。


俺は魔法部隊のコーエンさんを呼んでミスト・バーンで中盤から後方に掛けてをフットバス様に命じたのだった。


更に前線のこちらサイドの兵士には退却わを命じて爆発に備える様にと伝令を飛ばした。


コーエンさんと魔法部隊が、隠密モードで空中から中盤の上空にフォース・フィールドの足場を出して留まり其処からミスト・バーンのミストを出して居る。


十分に気化魔力が満ちた所で撤退の合図と共にゲートで此方の後方に戻って来ると、チュッドーーンと言うこれまでこの戦場になかった爆音が鳴り響いて中盤の兵士が壊滅し後方からの爆風と衝撃波で前線の兵士にもダメージが入った。

これでかなりの兵士を間引く事が出来た。


おれは前線に立って極光のレーザーを一振りして、前線に残って居た兵士の命を刈り取った。正直魔物相手なら気が咎める事は無いが人間相手にこれを使うのは気が引ける。


焼け焦げた斬り口の放つ匂いと呻き声・・・凄まじい地獄絵図に思わず目を背けたくなるが、これでもまだ今回進軍して来たアンドレア王国軍のたった1割を削った位だそうである。


一応これで一旦退ける事が出来たので今の内に壊された王都の城壁の修繕をと言う事で俺は建築部隊を呼び出して修復を急がせるのであった。


俺達の攻撃で今回の戦で初の大ダメージを食らったアンドレア王国軍は体勢を立て直す為に暫しの空白時間を取る事にした様で、その間に俺はコーエンさんに言って敵の司令部を探す様に命じておいた。



先の攻撃から2時間程経った頃だろうか・・・敵陣営に動きがあって、20名程の一団が修繕の終わった城壁に近寄って来て、

「我願う地の精霊よ、火の精霊よ、力を貸して憎き敵を焼き尽くす炎とならん事を・・・ボルケーノ・インフェルノ!!」と詠唱して慌てて城壁から離れて行ってのだった。


俺はこの世界に来て初めて詠唱らしい詠唱を聴いて少しワクワクしていたが、次の瞬間、俺が立って居た城壁が揺れて、城壁の地面との接地面が噴火を起こして、城壁が溶けて沈んで行く。


俺は慌てて城壁から離れて、『アブソリュート0絶対零度』を掛けて地面の噴火を抑えようとするも、一度始まった熔解は思う様に止まらずに折角修繕した城壁を壊して行くのであった。



城壁が溶けた事で面する家等に火災が起きてしまい、慌てて魔法部隊や王宮魔法師団等が消火に走る。


的の魔法部隊は意外にヤルらしい事を知って改めて敵陣営の本拠地である司令部探しを急がせたのであった。


建築部隊に再度城壁の修繕を急がせて、夜に備えたのであった。



夕闇が辺りを包む頃、俺と魔法部隊は敵の陣営の上空にフォース・フィールドの足場で立って、メテオ・ストライクを発動したのだった。


夕闇を切り裂く赤く炎を纏った隕石がゴーーと言う風切り音と共に10個敵陣営に降り注ぐ次の瞬間夕食を取って居たであろう兵士達の絶叫と隕石が地面に激突した衝撃と爆風が全てを飲み込んでしまう。


ドッゴーーーン。

その衝撃は凄まじくライバック王国の王都全体が揺れた程であった。


これはやはり敵だけでなく味方側にも二次被害が大きそうなので余り使わない方が良さそうである。




その後夜中の間にまた件の敵の魔法部隊の詠唱魔砲によって城壁が溶かされてしまったりしたのだが、今回は早めに強めのアブソリュート0を掛けた事で被害を抑える事が出来たのであった。


漸く朝になると、また建築部隊に城壁を修繕させて、その間に俺は場外を最前線まで歩いて行って、モーニングコール代わりに極光のレーザーソードで横薙ぎに敵兵を斬って進んだ。


しかし、尽きる事の無い敵兵の数はさて置き、おここまでやって挫けない敵には驚きである。




更に中盤のエリアまで行って中規模のミスト・バーンを仕掛けてやると、チュッドーンと言う音と共にレベルアップを果たしたのだった。


余り嬉しく無いレベルアップであるが、ステータスは下記の通りとなった。

*************************************************


名前:マルク・フォン・オオサワ

レベル:34

HP:575/575

MP:9656/9756


ギフト:異常耐性 物理耐性 魔法耐性 頑強 魔法 鑑定EX 魔力感知 魔力操作 剣術 投擲 魔力超回復 偽装 錬金 料理


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午前中は先日の繰り返しで新しい事も何も無く辟易とするのであった。

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