第516話
ケンジが家を出てから数ヶ月が過ぎたが順調に行ってるのか家に泣き付いて来る事も無く表には出さないけれど、内心でホッとしていたのであった。
さてケンジが居無くなって寂しくなったオオサワ家であるがその穴を埋める様に存在感を鳴き声で表してくれているのが、可愛いマールちゃんである。
マールちゃんは女の子にしては活発なのか、生まれたばかりと言うのに存在感が凄いのである。
母子共に健康。これは非常に嬉しい事であるが、頻繁にミルク欲しがって泣くのでお母さんのルージェは大変である。
乳母やメイドも総出でフォローしているのだが、やはり、本当の母親のルージェからでないと飲みっぷりが違い、途中でグズるので困ってしまって居るのだ。
なので、ルージェが頑張ってなんとか対抗しているのだが、産後間もないだけに倒れない様に周囲が注意しているのであった。
そんなマールに掛かりっきりになってしまって寂しく悲しい思いをしない様にマークの面倒を俺とケンイチが中心になって見て居る現状である。
尤もマークはもうお兄ちゃんの自覚を持って居るので必死になってマールの面倒を見ているルージェに我が儘を言ったりしないのだが、『それでも』である。
ちゃんと大人のケアが必要な事は俺もケンイチも判って居るのでその分寂しく無い様に普段以上に可愛がって居るのであった。
マークと俺達が何をするか?って言えば出来る事はダンジョンに潜ったり訓練に付き合ったりぐらいであるが、気晴らし程度にはなっていると思いたい。
■■■
ハトーリさんの定期報告によると、ケンジ達のパーティーハウスに件のご令嬢の内の一番危険な天然風の
ハトーリさん曰くケンジが拒絶しても何のその・・・結構強引に強行突破してくると言う。 非常に恐ろしい状況である。
それでもパーティーメンバーも含め元クラスメイトと言う事もあって無碍には出来ずに困って居るらしい。
俺からするともうその親が裏で糸を引いて居るとしか思えないのだがどうしたものか悩ましい。
現在ハトーリさんに言ってキャリブレート子爵家の状況を調査して貰って要るのだが結果が出るまでにもう少しじかんが必要らしいい。
この世界にもインターネットがあれば大概の事は即座に判るのにと焦れったく思う俺であった。
1ヵ月の時が流れ、大凡の調査結果が判明した。
まず、キャリブレート子爵家の領地には前回の広域的な連鎖スタンピードで奇跡的にスタンピードを起こさなかったダンジョンがある事。
それ程裕福な領地では無いためにもしスタンピードが起こった際にその防備が無いので被害が甚大になる事が予想される。 と、ハトーリさんの推測が続く。
つまり、ケンジ達を引き込んで体の良い防波堤代わりいや、有事の際に俺を引っ張り出す為のの切り札にしたいのではないか?と推測を締め括ったのだった。
前回のスタンピードではダンジョンを持つ全ての領主が肝を冷やした事だろう。
防衛が間に合わなかった幾つかの領地では少なくない被害が出たのも事実。
それで今回の様な行動に出ている可能性があると言う事であろう。
それを判っているのか、ケンジは必死でその攻防を繰り返しているのだろう。
それに想定外の何か手に負えない事が在ればケンジの方から俺の方に連絡して来るだろうと思い、引き続き情報収集だけ継続して貰ってこちらこちらからケンジに動く事はしないのであった。
こうして漸く1つ理由が判ってスッキリしたのだが、こうして考えと、もう1人残ったもうハッセン伯爵家のご令嬢は本当に純粋なケンジへの好意からの物だったかも知れないと思うのであった。
尤も卒業した事で本来なら縁もきれたも同然なのに食い下がって来る養殖令嬢恐るべしである。ケンジが美味い事逃げ切れる様に祈る俺であった。
養殖令嬢はただ貴族家に生まれた娘と言う意味では有る意味『貴族らしい』自分の宿命を知ってる娘なのかもしれないが、もっと自由に生きられれば良いのだろうに有る意味貴族社会の被害者なのかも知れないな。
送還がれるとちょっと養殖令嬢が切なく思えてしまい、電話を手に取って、キャリブレート子爵家に電話を掛けてしまっていた。
「もしもし、マルク・フォン・オオサワ侯爵です。お初にお電話して申し訳ない。」と直電を掛けてしまっていた。
そして、慌てる先方のキャリブレート子爵に率直な提案をしたしまっていたのであった。
もし、スタンピードが起きれば、勿論援軍は出すので息子に付き纏うのを止めて欲しいと。
でなければ、万が一の際には援軍を出さないと『ヤンワリ』と伝えてみたのであった。
その効果は覿面で、翌日にには養殖令嬢の訪問がピタリと止まったとの報告が上がっていたのであった。
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